石油採掘面
★石油採掘面→ここ掘れワン!ワン!
石油の採掘にはどれだけの時間がかかるのだろうか。
この問題は異世界転移後の日本において非常に重要な課題である。なぜならば、日本は石油が転移前の消費量に比べて爪の垢程度しか採掘ができないエネルギー輸入国だからである。異世界転移によって海外(地球)からの輸入経路が絶たれた時、日本は遅くとも2年以内には石油を異世界の土地から発見し確保する必要がある。
しかしである。
簡単に石油を発見と書いたがこれはかなりの高難易度の話である。完全に知らない未知の土地から石油を発見する事は至難の業だ。簡単に石油が発見できる様ならば、今頃、世界中のオイルメーカーは苦労はしていないだろう。
石油を発見する事は異世界転移後の日本において最大の課題かもしれない。
だが、異世界転移後、石油の発見に成功したとしても問題は残る。
石油の発見に成功したとしても、その石油を掘る手段と日本へと輸送する体制を確立するにはどれくらいの期間が必要なのかである。
石油を発見したとしても、すぐにそれを利用できる訳ではない。
なぜならば、石油資源を発見したら、必要に応じて採掘施設を建設し、関連する石油プラントやパイプライン、さらにはタンカーへと石油を詰め込む為の港も整備しなければならない。
これら一連の事業は一体、どれだけの期間を要するだろうか。
今回は、サウジアラビアやアフリカ、南アメリカの一部産油国を例に見て考えていこうと思う。
誰もが知る石油王サウジアラビアは1938年にダンマン油田が発見されて以降、1946年に油田の開発が本格始動した。そして1949年に採掘施設が本格可動した。つまり建設には3年がかかった。なお、この本格可動前のサウジアラビアはまだ産油国では無い貧乏な国家であった。
次にアフリカの赤道ギニアを見ていく。
石油が出た版のアフリカの北朝鮮とも言える赤道ギニアは1980年代に石油資源の探査が行われ、1992年に採掘が本格的に開始された。こちらは建設期間は不明である。ちなみに豆知識として、赤道ギニアは石油発見前、少数派の国民を弾圧しまくって世界中の国から現在の北朝鮮と同様に批判や制裁を受けていた。これによってアフリカの北朝鮮との呼び名が日本では広まったが、石油が出るとわかった途端にこれまで批判や制裁をしてた国々がどれも目の色を変えて批判も制裁もトーンを静めて赤道ギニアと商売をする様になり、赤道ギニアはアフリカの北朝鮮と呼ばれながらも、急激な経済発展を達成したやっぱり世の中金なのねと思える面白い例の国である。
次に西アフリカのガーナを見てみる。
チョコレートの国ガーナは世界的に見ても産油国の新入り国である。2007年に油田が初めて発見され、2010年に石油採掘が本格始動した。ガーナの場合、石油採掘にかかった期間は3年である。
次に南アメリカのガイアナを見る。
ガイアナ何それおいしいの?レベルで、産油国としてのガイアナを知る人は殆ど居ないのではないだろうか。私も調べるまで、知らなかった……ガイアナは産油国としては超超超新入りである。2015年に油田を初めて発見。2018年に本格的な開発が開始。2020年に本格始動した。概ねではあるが、石油採掘の本格化までにかかった期間は2年。ちなみに豆知識として、ガイアナは人口80万人の小国だが、ここで生産される石油は油田の埋蔵量の多さから10年後にはサウジアラビアと同等になる可能性が指摘されている。なお、サウジアラビアは人口3千万。もしかしたらガイアナは貧国から一転して世界で一番の金持ち国家となるかもしれない。その始まりの兆候なのか、実はガイアナ、このコロナによる世界的不景気の中、2020年のGDPの成長率は世界最高値の驚愕の86%を達成している。今後もガイアナに注目!注目!
とりあえず、ここまでではあるが、これが、それまで石油が完全未開発状態であった国の上記4カ国が採掘するまでに掛かった時間である。赤道ギニアはその詳細が不明ではあるが、少なくとも探査を含めて約10年で石油の採掘ができたと見て良いだろう。
他に関してはサウジアラビアとガーナは概ね約3年、ガイアナは2年で石油採掘プラントや輸出設備の建設が完了している事が分かる。
ただし、赤道ギニア、ガーナ、ガイアナの3国の油田開発期間を見る上では注意が必要で、この3国の油田は海底油田である。つまり、陸上に採掘設備を建設するのではなく、石油採掘プラットフォームと呼ばれる海上採掘施設を設置する事で採掘を行っている。もちろん、海上施設以外にも陸上に保管施設を建てたりもしているが。一方でサウジアラビアは陸上である。
上記の開発例から、異世界転移した日本においても、石油の採掘及び、その他関連施設の建設には2年から3年程の時間が必要な可能性は高いのではないだろうか。
もしくは、異世界転移日本の場合は国家経済の存亡が掛かっている重大問題な為、日本の総力を結集する事で1年程は工期を短くできるかもしれない。それ以下にまで工期を短くするのは流石に厳しいのではないだろうか。そう考えれば、油田の工期は短くても1年。普通にやって2年から3年程の開発期間が必要という事になるのではないだろうか。
それでは話を整理してみよう。
まず、石油探査にはかなりの時間がかかる。完全に未知の惑星の土地で石油を探すのは至難の業だろう。下手をすれば何年もかかる可能性もある。
そして油田発見後には採掘施設や輸出設備の建設及び設置だ。
油田開発の工期は短くても1年。普通にやって2年から3年程の開発期間が必要だと思われる。
一方で日本の備蓄石油の寿命は2年。
日本の備蓄石油の寿命は2年………………2年!?。
ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、これはまずいのでは!?!?!?
だ、だ、だって、2年経っちゃったら日本は年間産油量10億リットルの沼にはまっちゃうんですよ!?!?!?
2年以内での石油油田の開発……転移して数ヶ月中に石油発見!とかいう超超超ミラクルでも起きない限り2年以内に石油供給を再開させるって事実上不可能という事になってしまうんですがこれは……。
この上記の話しを前提に考えると、異世界転移後のエネルギー政策面で日本政府がとれる対応が見えてきそうです。急いで考えてみましょう。
日本政府は偵察や調査などで日本が異世界転移したと正式に分かった時にはすぐに、今後のエネルギー政策の方針を決めると思われます。
この時に、日本政府は国内の備蓄石油等のエネルギー情勢や上記の新たな油田開発にかかる必要な時間等を考慮して政策を作るわけです。
では、それらを考慮して異世界転移後に作られるというか、日本政府がとりうる選択肢を考えてみましょう。
日本政府がとりうる選択肢その1は、1年以内に新たな油田の発見、2年以内に輸出体制を整え、備蓄石油が枯渇する3年目までに日本への供給を目指すというもの。つまりは、エネルギー面のコラム?エッセイ?でも書いている様な2年以内での問題解決を目指すというもの。
その1は、かなり運に左右される。運が良く油田を発見できれば、問題はないが、発見できなければ、最悪である。
なお、この時に日本に必要とされる運は宝くじが当たるレベルの運である。
それだけ、油田の発見は難しい。
例えばだが、前述で紹介したガイアナは石油の探索をエクソンモービルという世界的石油企業が担っており、さらにガイアナは昔からこの辺りには莫大な石油資源が眠っていると予測されていたにも関わらず、石油の発見までに数年の時間を要した。
当たりの目星を地域的につけていたにも関わらず、発見には時間を要したのである。
日本政府がとりうる選択肢その2は、備蓄石油の供給を大幅カットし2年の備蓄石油の寿命を3年から、もしくは4年、5年程度まで延命を図り、その間に油田の発見と、輸出体制を整え、国内への供給を目指すというもの。
これは油田発見や開発までに、その1よりも長く時間をかけられ、備蓄石油が枯渇する前に発見と開発ができる可能性がその1に比べれば高まるという利点があるものの、もともとかなりの燃料節約をして2年という寿命を叩き出しているにも関わらず、それをさらに節約するという話な訳で、その1よりも、強烈な経済や国民生活やサービスへの打撃は避けられない。
ただし、このその2の考え方の基礎としては、この燃料節約で日本に住む人間全員がその1よりも苦しいかもしれないが、それでも年間10億リットルの沼にはまるよりはマシという考え方だ。年間10億リットルの沼に一度はまれば、その2を実行した日本よりも年間10億リットルの沼に嵌った日本の方が遥かに地獄である。
これは一応ですが、その2を誰でも簡単に視覚化できる実験をご紹介しましょう。
同じ容量のコップを複数個用意して下さい。その内、1つのコップに水を満杯に入れて下さい。そしたら、その中身の水を他のコップに注いで分けて下さい。コップ1個=1年分の時間を表し、水=備蓄石油を意味し、そして、あなた自身は、その消費者、つまりは日本国を表します。
そして、あなたは運動をします。
汗をかいて疲れますよね?その時に水が満杯に入ったコップなら、喉の渇きを潤せますよね?でも、水を複数回に分けて幾つかのコップに分けたら、1つのコップの中身を飲んだ程度では喉が乾きますよ?その喉の渇きが異世界転移後の日本の経済不況を表す訳です。喉の渇きが強ければ強い程、それは経済不況の強さを表します。
以上が実験となります。
日本政府がとりうる選択肢その3は、もはや2年以内の油田発見を諦めて、備蓄石油の枯渇に備えるというもの。備蓄石油などの資源がまだ余裕がある内に、これらを使って石炭自動車なり、電気自動車なり、人造石油プラントなどの開発を進めるというもの。そして、それと平行して石油の探査は行い、発見しだい開発を開始するというもの。
このその3の利点は、備蓄石油が枯渇して年間10億リットルの沼にはまっても、その1やその2を実行したのに油田を発見できず枯渇してしまった世界線の日本に比べてれば、遥かに経済や国民生活やサービスへのダメージが抑えられる事。それは当然と言えば当然の事で、例えば石炭自動車を作った場合とそうでない場合では、そうでない場合の備蓄石油が枯渇した日本では年間10億リットル分の自動車しか動かせない訳だが、枯渇に備えて石炭自動車を作った日本では、年間10億リットル分の自動車にプラスして石炭自動車がある為、それだけ輸送能力が高い訳だ。
運悪く油田を発見できずに何もせずに枯渇した日本でも、いざ枯渇したとなれば、石炭自動車なり、電気自動車なり、人造石油プラントなどの開発を進めるだろうが、余裕がある内に開発をやった日本と燃料を使い果たした余裕の無い日本では、雲泥の差があるだろう。
そして、代替エネルギーで、ある程度の社会と経済を回している間に油田を探がして日本への供給を目指す。油田発見や開発の時間は稼げるだろう。
デメリットはこれをやった場合、運良く2年以内に油田を発見して輸送体制が整ってしまった場合に作った物が無駄になってしまう可能性がある事だ。このその3を実行した日本は間違いなく、莫大な予算や資源をかけてこれを行っている。なぜならば、備蓄石油が枯渇して年間10億リットルの沼に嵌る事態を想定しているからだ。だが、運よく2年以内に油田が発見され燃料供給ができるとなると、莫大な投資や資材の投入の多くが無駄となる可能性がある。転移して早めに油田が発見されたのなら、使われた予算や資材は少なくすむが、ある程度、時間が経過した後に発見がされたのなら、それだけ無駄になってしまうかもしれない。
他には、その2をやりつつ、その3を、その3での説明内容よりはその開発規模が小さくなってしまうだろうが、石炭自動車なり、電気自動車なり、人造石油プラントなどの開発も進める事もあり得る。これはさながら、日本政府がとりうる選択肢その4といった所だろう。
ただし、その4は利点が非常に少ない。むしろ中途半端な政策と言える。
備蓄石油の節約と同時平行で石炭自動車なり、電気自動車なり、人造石油プラントなどの開発を進めるというのは、方や、石油資源を節約し、方や国内資源を積極的に消費させる行為だからだ。これでは備蓄石油の寿命延長の効果が薄くなる可能性が高く、さらに、備蓄石油の節約をやっているが為に、石炭自動車なり、電気自動車なり、人造石油プラントなどの開発にも制限がかかるだろう。
よって、その4で得られる結果はその2やその3を集中的にやった結果に比べて中途半端な結果になる可能性がある。しかしながら、それでもその何もせずに枯渇するした場合よりはマシだろう。
なお、その1とその3の組み合わせは難しいのではないかと思う。
その1においては備蓄石油の寿命は2年間な訳だが、その状況でその3をやれば、2年間の備蓄石油の寿命がさらに短くなり、油田の発見と開発を2年以内にやるというプランに矛盾が生じる可能性がある。もしくは2年間の備蓄石油の寿命はそのままに、公共交通にまわしている分の燃料をその3の開発にまわすという考え方はあるかもしれない。
あとは、転移初期の最初の数ヶ月から半年程度の間だけ、その1を実施し、油田の発見ができればそれで良しで、できなければ、それ以降はその3の政策に移行するというのも有りかもしれない。
以上の概ね、この4つのどれかが異世界転移した日本政府が転移初期に決める石油に関するエネルギー政策ではないだろうか。
個人的にはその3が最も実行される可能性が高いかもしれない。
理由を挙げると、まず、やはり未知の土地で、しかも未知の惑星上での油田探査を考えると、政府としては石油探査が長期に及ぶ可能性を最初に考える筈だ。また、未知の惑星という環境を考えれば惑星の組成が違い石油が無い可能性すら政府内では指摘される可能性もある。
探査計画が2年以上の長期に及んだ場合、国内の備蓄石油が油田発見前に枯渇してしまう可能性がある。何の対策も無く年間10億リットルの沼に嵌る事だけはなんとしても避けたいと思う筈だ。
そう考えた場合、備蓄石油が枯渇し年間10億リットルの沼に嵌っても、何もしないよりはマシな選択肢をとる可能性は非常に高いのではないだろうか。
これは例え話をするならば、こんな感じ(ストーリー仕立て)。
A「【悲報】ワイ、失業して貯金も尽きてしまう……」
B「哀れなAよ。そんなお前に救済のチャンスを与えよう」
A「な、なんだと……?頼む!B!助けてくれ!」
B「お前の前にαとβの2つの箱がある。2つの箱のいずれかから、1つの箱を選んでもらう」
A「ふむ」
B「それぞれの箱には選んだ時点でAに対して権利が与えられる」
A「権利?」
B「αの箱を選べば、xヶ月分の生活費として月々10万円が貰える権利が与えられる。βの箱を選べば、αの箱のxヶ月に比べれば短い期間のyヶ月分だが、月々20万円が貰える権利が与えられる。なお、αの箱もβの箱もどちらを選んでも貰えるお金の総額は同額」
A「ふむふむ」
B「ただし、箱を選んで貰えるお金にはルールがある。αの箱の10万円は好きに使って良いが、βの箱で貰えるお金は貰った月中には必ず使い切らなければならない」
A「つまり、αの箱を選べば、使い方次第では、貰える期間が過ぎても金が少しは残るかもしれなくて、一方でβの箱を選べば、金が貰える期間が終われば一銭も残らない訳だな。しかも、金の支給期間はβの箱の方が短いと……そんなん長期間貰えるαの箱一択やんけ!」
B「まぁ待てA。話はまだ終わってないんだ」
A「え?」
B「それぞれの箱の中にはそれぞれ別の権利書が入っている」
A「権利書……?」
B「そうだ。αの箱の権利書は、今後、月々100万円が貰える権利が貰える」
A「つ、月々100万円!?そんなんやっぱり、αの箱いったくやんけ!」
B「まぁ、待て。説明を全部聞け。一方で、βの箱は月々今後、5万円が貰える権利が貰える」
A「たった5万かよ」
B「ただし、βの箱の権利で貰える5万円は1年ごとに上昇率は低いもののZ%毎年支給額が上昇する」
A「ふーん。でもαの箱の方が良いじゃん。だって100万円だろ?」
B「実はまだ、説明は終わってないんだ」
A「え?まだ?」
B「うん。じゃあ続けるぞ。実はαの箱の権利書には運要素がある」
A「運要素?」
B「そう。αの箱の中身はW%の確率で中身が入っていない。つまり権利書が入ってないって事だ」
A「はぁ!?それじゃあ、中身が入ってなかったら100万円は貰えないって事!?」
B「その通り。でもそれじゃあ、無かった時が流石に可哀想だから一応、中身が入って無くても月々1万円はもらえる権利をやろう。さらにβの箱の権利のZ%よりは低いかもしれないがb%の上昇率で毎年支給額が上昇するようにしてやろう」
A「えぇ……」
B「さらになんだが」
A「まだ何かあるのかよ……」
B「あるぞ。これが最後だがな。実はαやβの箱のどちらを選んでも、毎年1回だけ、第三の箱であるyの箱を開けるチャンスがある」
A「yの箱?箱の中には何が?」
B「yの箱の中にはαの箱の中の権利書と同じ権利書が入っている」
A「つまり毎月100万円?」
B「そうだ。ただし、権利書が箱の中に入ってる確率はa%の低確率だ。必ずしも、権利書が中に入ってるとは限らない。さぁ、選ぶ時がきたぞ。αとβ、どっちの箱を選ぶ?」
A(……αの箱を選べば、運がよければ権利書を引き当てて毎月100万円が貰える……。でも、運が悪ければ、最初に貰える月々の金を使いきれば、毎月1万円しか貰えない地獄の極貧生活……。一方でβの箱を選べば、最初に貰える月々20万円の金は、絶対にyヶ月間に使い切らなければならないが、その後、毎月5万円は貰える……)
B「どうする?」
A「……正直、100万円が確実に当たるならαの箱1択だけど、当たる確証がなくて、しかも、もしも当たりが出なかった時には、月々1万の生活になるぐらいだったら、βの箱選ぶわ。100万円の権利書はyの箱でもa%の確率で引くチャンスがあるんだろ?」
B「そうだ。必ず当たる訳ではないけどな」
A「それでも、チャンスはある訳だ。ならやっぱり俺はβの箱を選ぶわ。αの箱は100万円の権利書が無かった時が怖すぎるしな」
※αの箱=その1、その2の石油政策の例え。βの箱=その3の石油政策の例え。xヶ月とyヶ月=備蓄石油の使用可能期間の例え。10万円と20万円の毎月の支給額=備蓄石油の例え。100万円の権利書=油田発見の例え。W%=石油発見の確率の例え。毎月1万円の支給額=日本で採れる爪の先程度の石油の例え。毎月5万円の支給額=日本で採れる爪の先程度の石油+石炭自動車、電気自動車、人造石油プラントなどを開発した代替エネルギー分の例え。Z%とb%=備蓄石油枯渇後の代替エネルギーの普及率向上の例え。yの箱=油田発見の例え。yの箱=備蓄石油枯渇後の油田探査。a%=油田発見の確率の例え。
とまぁ、ストーリー仕立てで例えるこんな感じで。
私はその3があり得るんじゃないかなーと個人的には思います。皆さんがもしもAの立場ならαとβどっちの箱を選びますか?
石油の問題って簡単に例えるとかんな感じの話だと思います。
この石油の問題、シュレティンガーの石油とでも名づけましょうかね。
ようは転移直後の日本政府は、見つかるか見つからないか分からない石油を、1年から直近数年以内には必ず見つかるという前提でエネルギー政策(備蓄石油や備蓄資源の使い方)を行うのか、それとも1年から直近数年以内では見つからないという前提でエネルギー政策を行うのかって話になる訳です。
あなたが、転移直後の日本政府の立場なら、どの様なエネルギー政策をしますか?
その1?その2?その3?その4?もしくは私程度では思いつかない第5の選択肢でしょうか。
以上、石油掘削面でした。
ちなみに、エネルギー面での解説で、木炭自動車や人造石油の話をしましたが、エネルギー面での解説における木炭自動車や人造石油の話は、今回の解説に当てはめると、その1もしくは、その2の選択肢に当てはまるでしょう。この2ついずれかの選択肢をとり、石油発見を目指したものの、残念ながら備蓄石油が枯渇する前に油田を発見できなかった日本における話がエネルギー面での解説中に登場した木炭自動車や人造石油の話となります。
★参考データ
【油田名】 【油田発見】 【開発開始】 【生産開始】
カラマイ油田 1955年 1955年 1956年?or1957年?
大慶油田 1959年 1963年 1963年
アタカ油田 1970年 1972年
ザフィロ油田 1955年 1996年
サモトロール油田 1965年 1968年
ロマシュキノ油田 1948年 1949年
リャントルスコヤ油田 1966年 1979年
プリオブスコヤ油田 1982年 2000年
リャントルスコヤ油田 1966年 1979年
フョードロフスコヤ油田1971年 1974年
ヴァンコール油田 1983年 2009年
エコーフィスク油田 1969年 1971年
スタートフィヨルド油田1974年 1979年
ガルファクス油田 1978年 1986年
カンタレル油田 1976年 1981年
ペンビナ油田 1953年 1953年
ハイバーニア油田 1979年 1997年
テラ・ノヴァ油田 1984年 2002年
開発開始時期が不明なものが多いが、上記のデータを見てもらえば分かる様に、開発に時間がかかっている例も多いものの油田によっては開発期間は1年から概ね数年内のものもみられる。しかし、ものによっては発見から生産までに10年近くかそれ以上の時間が経過しているものも見られる。
開発に時間がかかっている油田に関しては各々の油田で理由があると思われるが、概ねその理由は、その油田の掘削が大変だったや、その油田がある場所の環境、開発資本、環境問題、社会情勢などの問題が関係していると思われる。
例えばの話であるが、とんでもないジャングルの奥地で大規模な油田を発見したとしたら、油田を開発する前にまずはジャングルを切り開かねばならない訳で時間がかかる。また、掘った時に岩盤や土壌の問題などで採掘が思うようにいかない場合もあり得る。油田の開発利権を巡っての対立が長期化して開発が進まない事もあり得る。開発が停滞する理由には様々な事が考えられる訳だ。
また、上記の例を見る上では注意が必要で、この参考データの前に紹介したサウジアラビア、赤道ギニア、ガーナ、ガイアナの例は石油産業が完全未開拓だった国が産油国になった油田開発の例な訳だが、この参考データは既に産油国であり石油産業に関連するインフラが整っていた国も存在する為、開発期間を見る上では注意する必要がある。
私が、サウジアラビア、赤道ギニア、ガーナ、ガイアナを抽出して例として選んだのは、サウジアラビアは世界で一番有名な産油国であるという為で、ほか3国は、比較的近年に開発が行われた為。そして、4カ国とも、開発前は非産油国であった国がゼロから開発を進めた例である為である。
異世界転移という事を考えた時、異世界の土地での開発というのは文字通りゼロからの開発となる訳で、同じくゼロから開発を行ったこれらの例が参考になるのではないかと考えた次第だ。




