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異世界転移後の日本の科学技術

 

★異世界転移後の科学技術→まずいですよ!


日本が異世界転移すると、日本の科学技術の進歩スピードは大幅に停滞もしくは鈍化する事が予想される。

何故ならば、地球人類全体の科学技術の進歩は日本を含めた多くの先進諸国の科学者、技術者、企業、大学、研究機関、政府の努力によって成されているからだ。


一国だけでこれまで通りの科学技術の進歩を維持する事は日本を含めた大半の国(※例外もあると言えばある)が困難であり、もしも一国だけでこれまで通りの科学技術の進歩ができると思っているのならば、それは間違いである。


それぞれの国々に得意不得意があり、それらが複雑に絡み合い繋がりあい補う事で昨今の科学技術は進歩している。この世界は私や皆が思っている以上にもグローバルに繋がっている。


科学技術の分野で日本が他国(地球)の力を全く借りずに独自に進歩させられる事などたかが知れている。


例えば、日本では独自に絶対にできない事としてエストニアの電子政府が上げられるだろう。エストニアは欧州の人口僅か132万人の小さな国だ。しかし、その実体は既存国家でもっともデジタル化が進んだ先進国の中の先進国だ。エストニアでは行政サービスの99%が電子化され、他国の追従を許さない程までに省人化が進められている。日本で実施されているマイナンバーカード制度も当初はこのエストニアの国民IDを参考に作られたものだ。つまりは、エストニアの影響を受けているのだ。もしもエストニアが無ければ、現在の日本のマイナンバー制度は存在しなかった可能性すらある。まぁ、日本のマイナンバー制度は法整備の段階で、判子議連だとか政府に監視される!と言った人々によって骨抜きにされてしまった訳だが……。もしも、この世界にエストニアが存在しておらず、なおかつ日本が独自にエストニア程の電子政府化を進める可能性がどれほどあったか考えてもらいたい。正直言って日本が独自にこんな事をする可能性は、極めて低いと言わざるを得ないだろう。それは、このコロナ騒動によって炙り出された日本政府や民間の電子化が世界に比べて異常に遅れている現状を見ればあきらかだ。


他にも幾つか例を挙げるなら、AIやマイクロモビリティや宇宙開発も良いだろう。

現在のAI開発において世界をリードし野心的な最新技術を生み出しているのはアメリカや中国の企業だ。一方で日本はどうだろうか。日本は現状、AI分野の開発において大きく遅れをとっているのが現状だ。なぜ、遅れをとっているかといえば、まだ、AIの開発競争が始まったばかりだった頃にAIの重要性を政府も企業も理解していなかった為だ。また、世界中の優秀な技術者を獲得できていないというのもある。


マイクロモビリティは、電動キックボードやセグウェイである。これらは海外で生み出されたものだが、セグウェイが生まれた時、日本にはマイクロモビリティという概念が殆ど無かった。よって海外企業に開発が先行されてしまったのである。


宇宙開発は科学の進歩を語る上でもっとも分かりやすい例だ。今、日本も宇宙開発を行っているが、日本の宇宙開発は人工衛星の分野では極めて高い技術を有しているものの、ロケットや宇宙船開発では大きく遅れをとっているのが現状である。いや!そんな事ない!と思う人もいるかもしれないが、残念ながら事実である。日本が保有するロケットは現在の世界最先端のロケット技術からすれば、旧世代のものだ。


今、世界最先端を行くアメリカの宇宙開発ベンチャー企業、スペースX社を見て欲しい。


2020年現在、日本の最先端ロケット、H-IIBロケットの打ち上げ能力が、上空約36,000kmの静止トランスファー軌道に8000kg、上空約350~460kmのHTV軌道には16500kgなのに対して、世界最先端ロケットであるアメリカのスペースX社が誇るファルコンヘビーは、静止トランスファ軌道に26700kg、火星軌道に16800kgの打ち上げ能力を誇る。さらに、スペースX社は日本を含めて全ての国のロケットが、実現に成功していない、帰還技術を有する。帰還技術とは、それすなわち、打ち上げ後にロケット本体が逆噴射をしながら、地球に戻って降りてくる技術である。日本のロケットやその他の国や企業のロケットは全て、一度打ち上げてしまえば、宇宙ゴミだ。つまりはスペースXのロケットは繰り返しの使用可能なロケットである。しかも、1度の打ち上げに数十機の人工衛星を搭載可能だ。また、スペースXはこれに留まらず、人類史上最大級の大型宇宙船であり、人類史上初の惑星間宇宙船であるスターシップと呼ばれる宇宙船の開発を現在進行形で行っている。この宇宙船は人類の火星移住を最終目的に開発が進められている嘘の様で本当の宇宙船だ。そしてその完成はもうすぐそこにまで来ているのだ。なぜなら、大質量の物を打ち上げるエンジン技術や着陸に必要な逆噴射による宇宙船の着陸技術などを既に実験中で完成まじかだからだ。はっきりと言おう。人類が本格的に宇宙に進出する宇宙時代は2020年代には到来するのである。


ここまで、見てきて宇宙開発の分野で、これが果たして日本が独自でできる事だろうか。はっきり言って不可能だろう。そして、もしもアメリカという国がなければ、地球人類にとってスペースX社もファルコンヘビーの様なロケットもスターシップの様な宇宙船の開発計画も、相当先の出来事だったはずである。


これら以外にも日本では誕生しえなかった技術や物作りというのは、世界を見れば数多存在する。


物作りとはちょっと違うかも知れないですけど、単純な話、ブラックホール研究で有名なホーキング博士にまったく頼らずに博士の考えた理論や発見を我々日本人だけで果たして0からできますかって話。できるとしても果たして何十年かかりますかって事。


また、日本で作られたとしても、新技術を開発する時や科学的な理論を作る時などに、海外で既に研究された事例などを参考にしているという事はよくある事である。


日本が異世界転移するという事は日本が全世界の科学者や技術者のネットワークから完全に寸断されるという事を意味している。


ホーキング博士みたいな天才的な科学者は世界中に存在する。それはもちろん日本にも居る。IPS研究の山中伸弥教授とか。だけど、それぞれ研究している内容も分野も当然の事ながら全然違う。科学者達の幅広い分野の研究は学問ごとの学会であるとか論文であるとかでグローバルに繋がっている。


そこから日本は切り離されるのだ。

これは日本にとっても、日本が消えてしまった後の地球にとっても、甚大な損害だろう。

だが、日本の方が被害は甚大だ。


例えるなら、日本のこの状況は、これまでは、インターネットを開いて全世界の地球の裏側までの情報までもを見る事ができていた人のネット環境が突然、家庭内ネットのみに制限されたようなものだ。


さらに悪い事に、科学者や技術者というものはかなり忙しい存在だ。

学会や研究の為に海外を飛び回っていたり、そもそも、研究拠点が海外という人も大勢居る。幾ら有名で頭の良い科学者であっても、転移の時に日本に居なければ、転移後の日本の力にはなれない。そして、実際問題として、そういう転移に巻き込まれない科学者や技術者というのは、多く現れるはずだ。


また、海外の団体などが、理論や技術などの資料をアーカイブとして保存管理し、外部の人間から観覧の求めがあれば見せる様なサービスをしている団体もある。これらのサービスの利用方法は人によって様々だが、例えば、研究の参考資料にしたり、物作りの人ならば、過去の設計図等を観覧して、それを参考に新しい製品を作るみたいな事もある。


だが、異世界転移すれば、これらの海外サービスはもう利用できなくなる。


つまり、異世界転移した日本は海外に保管されている情報にアクセスできなくなる事によって、そして、日本国内にもその情報が無い場合は、その特定の技術や理論を完全に失ってしまうのだ。


ロストテクノロジーの誕生である。


そして、日本国内には存在しない技術(例えばスペースXのロケット・宇宙船の技術であるとか)もまた、日本で再現する手段が無ければ、ロストテクノロジーと化すのである。


日本が異世界転移するという事は日本は人類が長年をかけて培ってきた様々な技術を失うのと同意義なのである。

 

よって、これらの事から異世界転移後の日本の科学技術の進歩スピードは現在の進歩のスピードを維持できずに大幅に停滞もしくは鈍化するという事が予想されてしまうという訳だ。

 

もちろん、日本のすべての科学技術全般が停滞したり鈍化するという訳ではない。

日本が得意な研究分野などは、少しスピード感が遅くなるだけで、これまで通りの技術開発ができるかもしれない。逆に異世界転移がきっかけとなって伸びる技術開発もあるだろう。


だが、概ね日本が得意でない分野や日本ではそもそも研究していない分野などは、停滞や鈍化が予想されてしまうのだ。その為、科学技術全般で見れば、日本の科学技術は、異世界転移しない日本と異世界転移した日本とでは、明らかに差が生まれてしまうだろう。


外部から隔絶された環境で独りで研究するよりも、他者の様々な研究に影響され切磋琢磨する方が成長は早いという事だ。

 

すくなくとも、これだけは、はっきりと言える。

もしも、今この時、日本が異世界転移したのならば、地球では2020年代には宇宙時代が到来するのに対して、異世界転移した日本が純粋科学技術(ファンタジー要素のない科学)のみで転移先で地球と同レベルの宇宙時代を迎えるには、五十年は先、下手をすれば百年以上は先の事になってしまうだろう……。

 





それでは最後に今回のまとめ的な一言を言って終わります……。






さようなら……サイエンス・ジャパン・フューチャー・ワールド……。

また何時の日か絶対に会おうね……サイエンス・ジャパン・フューチャー・ワールド。



 

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― 新着の感想 ―
[一言] 多分鈍化するでしょうね。でもそれ以外の必要とされる技術、例えば生き残るための軍事技術とかは伸びるのでは?
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