外国人自治区に関する考察
★外国人自治区が建設された場合それがどの様な物になるかを考えてみた。
国内外国人面と在日米軍面で指摘した様に、異世界転移後の日本における最大の問題は国内に少なくとも522万人以上いる外国人の扱いである。前述の項目で、日本国内に自治区であったり、最悪の場合、領土割譲をしなければならないなんて事態もあり得ると指摘しましたが、今回は、もしも、外国人自治区が建設されるとしたらどの様な物になるかを考えてみようと思います。
自治とただ単に言ってもその種類は様々です。
ただし、大きく分ければ、その種類は3つに分類できると私は考えています。1つ目は、自治の及ぶ地域内で所属国の中央政府に影響されにくい高度な法律の立法等が可能なタイプ。2つ目は、自治の及ぶ地域内で、所属する国の中央政府の定めた国内法に逆らわない範囲内で立法が可能なタイプ。3つ目は、名目上の自治であり、事実上、所属国の中央政府には逆らえないタイプ。この3つです。
1つ目の分類には今はもう崩壊してしまいましたが、香港の一国二制度や、アメリカの州、イギリスの連合構成国が当たり、2つ目の分類には日本の地方自治や、ロシアの共和国などが。3つ目は中国などの中央集権色が強い国が当たる。こんな感じです。
では、異世界転移後の日本で外国人自治区が設置される場合の自治とはどの様な形になるのでしょうか。
私は可能性としては1か2の可能性が大いにあると思います。3つ目は、目的から大きく乖離しているので、可能性は低いと思います。
3は、なぜならば、外国人自治区を設置せざるを得ない事態に陥っている時点で、外国人達の間で自治を求める声が高まっているか、または、日本政府が多すぎる外国人達の扱いに苦慮して作ろうと思った時なのです。それなのに、名目上の自治だけで、事実上、日本政府の完全な管理下の自治区では自治区を設置する意味がありません。
それに3つ目の分類の自治は、今だかつて戦後日本国内にも存在した事の無い中央集権色の強い自治です。言わば日本政府直轄地の様なもの。これまで地方政治を都道府県に完全に任せていた日本政府からすれば、完全に未知の領域です。もしもこれで外国人自治区を実施したとするならば、かなり挑戦的な方法となります。これが成功するとするならば、よっぽど日本政府が外国人達に親身な政策を考えて実行する有効な行政システムや人事を構築しなければならない事になりますが、果たして、異世界転移の混乱の最中で政府に様々な課題が山積している中、外国人自治区の政治までしっかりと政府が回せるかは疑問です。しかも、失敗すれば、そのリスクは計り知れません。
失敗した場合、それが独立運動や内戦に発展する可能性や、日本政府への批判に繋がる可能性があるでしょう。せっかく自治区まで作ったのに下手な政治をして独立運動が発生する事態を招くなんてのは論外な話です。それに、そこまで行かなかったとしても日本政府への批判という事態が発生するのは異世界転移後の不安定な政情下に置かれている日本政府は一番嫌な事なのではないでしょうか。異世界転移後、日本政府への支持率はかなり不安定な物になろう事は想像に難くありません。そんな状況下で自分から失敗すれば自分の首を直接絞めかねないような挑戦を果たして日本政府がするでしょうか。私は可能性は低いのではないかと思います。
とするならば、政府の負担を減らす為にも、あまり冒険をせずに済み、なおかつ、ある程度の経験(地方政治を地方政府に任せる)も持っている1と2が妥当な線でしょう。
1の場合は恐らくかつての香港やマカオの様な一国二制度に近い高度な自治区に。2の場合は、都道府県と同等規模の権限を持つ自治区になると推測します。
1の自治に関してはまさしく一般的な自治区のイメージですので想像しやすいかもしれませんが、2に関しては、ちょっと言い回しが難しいかもしれませんので、噛み砕いて説明をしておきます。
2は簡単に言えば、現在の都道府県や市町村と似た延長線上の存在です。2の自治は山形県でも北海道でも東京都でも大阪府でも何でも良いですが、それと似たレベルの自治と考えてもらって良いでじょう。自治区内の法律は日本の国内法からは外れない範囲で条例等の制定が行われる。これが2の自治です。
1と2の方法はどちらも採用される可能性が五分五分位の確立であると私は考えます。
では、1と2のメリットとデメリットを考えてみましょう。
1のメリットはなんと言っても、高度な自治権を与える事によって住民達が自分たちで自由に政治を動かせる為に、政治的な不満(※政治的な不満とは、外国人が抱えている日本の法律への不満や、日本社会への不満等etc…)が解消されやすくなる事でしょう。1の自治の及ぶ範囲内は日本国内であって、そこはもう外国に等しい場所です。日本の法律は適用されず、自治区で制定された法律が適応されるのです。日本で似た場所を上げるなら、在日米軍基地でしょうか。在日米軍基地は日本国内ですが、その敷地内の扱いはアメリカ合衆国という扱いですから。ただし、在日米軍基地と自治区は全く違う存在ですがね。つまりは1の自治区とは、日本政府や日本社会からは隔絶された空間が日本国内に誕生する事を意味しているのです。異世界転移後に日本の政治や社会に不満のある外国人にとっては、これほどストレスを感じない場所は無いでしょう。よって、異世界転移後に外国人達の政治的な不満が爆発し、社会的な混乱や最悪の事態である内戦に陥る可能性を抑制する事ができます。また、日本の国内法が適応されない為に、本来日本では、許可を得るのに時間がかかる様な技術やサービスを開発している様な企業が自治区内で操業し日本全体の技術開発や経済の活性化に大きく寄与する可能性もあります。
デメリットは、自治区内で国内法が通用しない事で、本来、日本では違法な物品が、自治区内では普通に取引できる様になる可能性や、たとえ自治区であっても、日本の土地を外国人に渡すという事への問題などがあります。
2のメリットは既存の都道府県や市町村レベルの自治を与えるだけですので、自治区の制定が簡単な事と、1とは違い、高度な自治では無い為、1の自治区内で国内法が通用しない事で、本来、日本では違法な物品が、自治区内では普通に取引できる様になるという可能性が除外できます。また、国内法の影響下である為、1のデメリットである、たとえ自治区であっても、日本の土地を外国人に渡すという事への問題点が少し薄まる事です。
デメリットは、1とは違い、自治のレベルが低く都道府県や市町村レベルですので、政治的な不満が消えない、または、発生する可能性が高いです。さらに、日本全体、もしくは自治区で政治や社会に問題が生じた場合には自治権拡大運動、独立運動や最悪の場合は内戦に陥る可能性も残ります。また、2の自治をする場合、自治のレベルが低いのだからと、外国人達が中央政治への参加を求める可能性もあります。所謂、外国人参政権です。これまでの日本政府のスタンスとしては日本の中央政治への参加者は日本国籍か特別永住者に限られるというスタンスでしたので、これが発生した場合は日本政府は大きく頭を悩ます事になります。ようは、まとめると、2の自治のデメリットとは、外国人達を1の自治の様に日本社会から切り離すのではなく、日本社会内に留める為に、自治区で起きた政治的な問題が容易に日本社会全体を揺るがす様な問題へと進化する可能性を秘めているという事です。
では、次は自治区が設置されるとして、その自治区が法的にどの様な扱いで設置されるのかを考えてみましょう。
これに関しては恐らくですが、人道的配慮が第一の根拠として自治区設置の根底となるのではないかと思います。人道的配慮ほど今回の自治区設置に適した言葉は無いでしょう。そして、これも恐らくなのですが、いかなる自治区が設置されたとしても、その自治区は法律上は時限制限付きとなるのではないかと思います。どの様な制限かというと、日本が再び異世界転移して元の世界、地球に戻った場合は、自治区を終了するといったものです。日本が外国人に自治区を与える公的な理由はあくまで、帰りたくても帰れない状況下に置かれてしまった外国人を救済する為というのが根底にあります。ですので、もしも地球に帰還した場合には自治区を終了するのは当然といえば当然の結論となるでしょう。
そして、これが一番重要な事なのですが1の自治の場合、恐らく自治区とは言っても、限りなく租借地に近い自治区みたいな事になるのではないではないかと予想します。
例えば香港やマカオの政府は一応、中国の地方政府という扱いです。では、異世界転移した日本における外国人の自治区は?と考えると、それは完全な地方政府なのかといったらどこか違う気がします。
なぜならば、自治区を設置するという事態というのは、そもそも外国勢力から日本政府に対して不満の声か要求が上がったからという訳ですが、その外国勢力の中心に居るのはなんなのかと考えると恐らく各国の臨時政府となる訳です。日本政府が自発的に自治区を作るなんて事を言うとは思えません。確実に自治区の設置決定の背景には各国臨時政府の思惑などがからんでいると考えて良いと思います。
そしてその各国臨時政府の思惑とは自国民の生命や財産の保護な訳ですが、その最上位目標は国家機能の再建です。もちろん人口が少ないなどで、再建を諦める国もあるかもしれませんが、人口の多い国の臨時政府はこれを最終目標とするのではないでしょうか。その為、自治区の政府は事実上、各国の臨時政府が兼任する事になるのではないかと予想します。
ですが、兼任するからといって、各国の臨時政府が自治区政府として日本政府の統制下に入るのかというとそれは恐らく違います。あくまで、法律上は自治区政府と臨時政府は別々の存在だと考えられる為です。何も知らない人が外から見れば、臨時政府と自治区政府はもしかしたら同じ様な存在に見えるかもしれません。しかし、この二つは法律上はあくまで別々の存在。臨時政府はあくまで外国の政府。自治区政府は日本の法律上は高度な自治を持っているものの、日本の地方自治体の一つなのです。
うーん、この辺り自分で書いてても、混乱する。難しい……。
本当は、こういう場合、一番分かりやすいのは租借地(他国に領土を貸す事)を与えるという手段なのですが、それだと非友好国がそこで何をしでかすか分かりません。安全保障的に懸念材料となります。ですので日本政府がこれをするとは到底思えません。日本国内で外国人の統治を許す場合、自治区を置くというのが、この場合の最適解だと思います。租借地は完全に貸した相手の領土扱いになってしまいますが、自治区ならば、高度な自治を与える一方で、その場所は国際法上は日本国内という扱いなので、自治区側に高度な自治に反しない範囲内で必要最低限の制約を設ける事が可能です。例えば、自治区内で日本政府の許可なしに勝手に軍隊を作ったり置かないとか、自治区内に日本政府が承知しない他国の軍隊を入れさせないとかです。外交に関しては自治区政府を止めた所で臨時政府の存在がありますから、止める事はできないでしょうが、租借地と自治区では安全性が雲泥の差であります。
では、次に自治区が一体全体、幾つ設置される可能性があるのかを考えてみようと思います。
恐らくですが、平時であれば自治区の設置の話自体が出ている時点で、日本政府が国家承認している国もしくは友好的な事実上の独立国ならば、すべての国が1つは設置しようと思えばできるのではないかと考えます。
なぜならば、設置を認めない国が出てくると不公平感が生まれてしまうからです。国際法上、人口や規模に関らず、全ての国は同じ権利と地位を持っていますから。つまりは、日本と国交関係の持つ全ての193ヵ国と台湾を足した194ヵ国は、やろうと思えば自治区を持つ事ができる可能性が高いのです。もちろん、日本政府が設置にあたり人口何人以上じゃないとダメみたいな制限を設ける可能性もあります。この場合は日本政府は国際法との整合性や、万が一、日本が地球に帰還できた場合にどの様に相手国に説明するのか等を考えておく必要があります。下手をすると帰還後に関係悪化を招きかねません。また、自治区設置の話が出る前に日本が戦争に巻き込まれていたりした場合には、外国人の兵士を募集して、それに応じた国には見返りとして日本国内での自治を了承するみたいな方式の自治区設置のパターンも考えられます。こちらは平時のプランではなく有事の際のプランですがね。ちなみに、この手段はかつての大英帝国が植民地でですが似た事を実証ずみです。
ですが、今回は有事ではなく平時の場合で考えていきます。
つまりは、自治区設置の話が出てこざるを得ない何らかの事(社会問題かもしれないし、求める声があがったのかもしれない)が起きて設置される事になった時の話です。
日本政府が人口制限などの自治区設置条件に制限を設けず、各国に平等に設置の権利を認めれば、この時点で、最大でも日本国内に194の自治区が誕生する可能性がある事はもう分かりますね。
ですが、実数はこれよりも少なくなる可能性があります。なぜならば、幾ら国交があるといっても、この194ヵ国の中には日本に居る自国民を全部合計しても下手をすれば10人未満という国も存在するのです。日本国内に財産と言える財産の無い国もあるでしょう。そういった国は例え自治区を貰ったとしても扱いに困る事も予想されます。ですので例え日本政府から、どうですかと進められても、うちはいいですと、断る国もあると考えられます。こういった国々は自治区を設置しない代わりに自国民への支援を求めるのではないでしょうか。
また、幾つかの国が纏まって一つの自治区を構築するという可能性もあるでしょう。
ですので、実際に設置される自治区の数は194よりは少なくなると予測できるのです。
では、次に実際に自治区が設置される段階となったとして、設置される自治区の大きさや規模はどの程度の物となるのでしょうか。また、日本の何処にその様な自治区を設置する土地があるのでしょうか。その点を考えてみましょう。
まず最初は自治区を設置する上での土地から見ていきます。
日本は島国で1億2千万人の人々が既に暮らしており人口がかなり過密な国です。これだけ見てみるとと日本に自治区なんて大層なものを設置するだけの土地なんて無いようにも思えます。皆様も同じ気持ちなのではないでしょうか。
ですが、信じがたい事に実は日本国内には自治区を設置しようと思えばできる土地は大量に余っているのです。
どういう事なのか、まずは、こちらの「」内の文章をコピペして検索してみてください。
「日本地図を人の住んでいる地域だけ着色→都市部への人口集中が如実に」
検索できましたか?日本地図をご覧になりましたか?
つまりは、こういう事です。日本国内には意外にも人が住んで居ない土地が非常に多く存在しているのです。この地図上における、人の住んでいない地域の何処かに自治区は恐らく建設されるものと考えられます。
建設地として人気になりやすいのは北海道ではないかと思います。北海道は平地が多いですので、街を作るには絶好の場所でしょう。または、日本各地に存在する消滅集落、限界集落も建設地として選ばれるかもしれません。消滅集落や限界集落は一から山や森を切り開かずとも、人が住まなくなっただけで、道路、水道、電力等の最低限のインフラがそのまま使える所があるからです。特に道路がある事は大きいでしょう。道路が通っていない所に人が住む場所を作るにはまずは、その建設予定地に通じる道から切り開かねばならない訳です。少しでも費用を抑えるならば、初めから道路がある所の方が安く済むでしょう。
自治区の大きさや規模については、それぞれの国ごとに違う事が予想されます。
やはり人口が多い国の自治区は規模も大きさも大きくなるのではないでしょうか。中国、韓国、台湾、ベトナム、フィリピン、香港、タイ、ブラジルなどは街の規模としては、場合によっては10万人以上の人口を有する都市レベルの規模となります。一方で、イギリス、フランス、カナダなどは人口が少ない為、その規模は10万人以下の市レベルか、町レベルとなるでしょう。また、人口が1000人以下でも自治区を作った国が現れるとするならば、それは小さな村レベルの人口となりますので必然的に街としての規模は小さいものとなります。
平地から山間部、場合によっては島嶼部にまで、各地にこれらの自治区は建設される可能性があると予測します。
では、異世界転移後に自治区の設置が決定したとして、一体全体、いつ頃に自治区は誕生するのかを考えてみます。
正直言って、自治区が本格的に産声を上げるのにはそれなりの時間がかかるものと思われます。土地を決めてそこに自治区の境界線を引く事こそはそれこそ頑張れば1ヶ月もかからないかもしれません。ですが、問題はその後です。街を新たに作らねばならない訳です。どの様な街を作るのか、ここの地盤は大丈夫なのか、等々やる事は非常に多いのです。そしてそれは人口の多い自治区程時間がかかるでしょう。ですから、自治区が本格的に人の住まう場所として産声を上げるには時間が必要なのです。
例えば、近年の都市作りで言えば、赤道ギニアが首都を遷都する目的で開発している計画都市ラパス市が上げられます。同市は、2012年に同国の首都の移転が発表されて以降、居住者20万人を想定して2020年の完成を目指して、なんとわざわざ、未開のジャングルを切り開いて、急ピッチでの建設を行いました。しかし、予定の2020年現在でも絶賛工事中という状況です。ですが、これは赤道ギニアが未熟であるという訳ではなく、都市を一から作るという事はそれだけ難しい事なのです。現に日本でも多摩ニュータウンの建設にはかなりの時間を必要としました。その点を考えればラパス市の開発は非常に早いペースと言えるでしょう。
ですので、ラパス市よりも規模が小さいとしても人口10万人かそれ以上のレベルの規模の自治区の建設プロジェクトは短くても数年はかかる様な長期的なプロジェクトとなるでしょう。
建設が完了した建物から順に入居者を居れて、それと平行して次の建物の建築へ。順に順に建設を進めていくものと推測します。
一方ですぐに建設が完了しそうなのは、人口の少ない国々です。自治区に必要な住宅数や施設の数が少なければ少ない程、すぐにできるのは道理というものです。
ただし、留意して頂きたいのは、これらの全国的かつ大規模な建設プロジェクトは日本の経済が回復傾向に入った頃でなければできないでしょう。……と言うよりも、そもそも自治区の計画自体が持ち上がる事こそが、日本全体の雰囲気として異世界転移による緊急事態感が少し落ち着いてきた頃だと思います。さすがに何処の国の臨時政府も、備蓄石油が枯渇するかも!もしくは備蓄石油が枯渇した!経済が縮小するかも!もしくは経済が縮小した!なんて事をリアルタイムで日本中で騒いでる時に、細々と呟くのならともかく、大々的に自治区の設置を求める様なKYな国はなかなか存在しないでしょう。なにせ災害真最中なんだもの。
自治区設置の雰囲気が本格的に現れるとすれば日本の経済が回復傾向に入ってからの事でしょう。
もしも、そうでない時に声が大々的に上がり始めるとするならば、日本社会にそれが出るだけの何らかの大きなインパクトが発生した時です。
では、次に政治的な事柄以外で、自治区を設置する事の意義はなんでしょうか。それを考えてみましょう。
私はこれに関しては大きく3つの意義があると思います。
1つ目は、やはり人道です。国に帰れなくなった外国人達に住みかを提供する。これだけでもかなりの人道上の意義があります。
2つ目は、自治区建設によって生じる建設ラッシュによる日本経済の刺激です。もしかしたら、これが一番重要かもしれません。異世界転移後の日本経済は非常に深刻です。ですが、そこに自治区の建設、つまりは街の建設計画が持ち上がるという事は建設業界がそれだけ大盛り上がりするという事です。雇用も生まれるでしょう。しかも、事業規模から言って、かなりの数の労働者が誕生すると思われます。これは異世界転移後の失業率30%から40%を少しでも下げる一つの景気刺激策になるのではないでしょうか。
3つ目は、文化や知識の保存です。異世界転移後、日本国内の外国の文化や知識は一気に絶滅危惧種状態になってしまいます。例えば、太平洋の島国の文化や、アフリカ各国の文化、南米の文化など。何もせねば、日本国内からこれらの外国の文化は消えてしまうでしょう。それは文化学や学術的に最悪の損失です。失ったものは取り戻せません。ですので、これらの自治区が建設される場合、自治区では外国の文化を保存、保護するという側面が必然的に出てきます。恐らく自治区が設置されれば、文化保護の事業が各地で起きるのではないでしょうか。この面で考えれば、幾ら人口が少ない国でも、自国の文化や歴史の保護の為に自治区を設置しようという国があってもおかしくはないでしょう。
まぁ、文化の保護に関しては、たとえ自治区の設置がされなかったとしても、日本中で保護事業は起きるでしょうが……。だって、当事者である外国人が一番、自国の文化や知識の保護に関心を持つかもしれませんが、日本の学者だって絶対にこれらの文化や知識が失われる事には反対の立場の筈です。恐らく、自治区が設置されるにせよ、されないにせよ、どちらにしても、日本各地の大学や研究機関、博物館、個人の学者、または一般個人に至るまで多くの人々が、これらの保護事業に積極的に協力して実施してくれるのではないでしょうか。
たぶん、私もこの事態になったら、自分に人助けができる余裕があったのなら、エジプトとかに協力したいですね。エジプト5千年の歴史は守らなきゃ。これが無くなったらもう全人類の損失よ。
こんな感じで、私と同じ様な事を様々な国々に思う日本人は日本中にごまんと現れるのではないでしょうか。
あと、この考察の最後に、自治区の建設に伴う土地に関して話そうと思います。
皆さん、思いませんか?幾ら日本中に人の住んでいない土地が有り余っていたとしても、その土地の所有者に許可を得なければ自治区の建設なんて不可能なんじゃないかと。
ええ、そうでしょう。私もそう思います。
ただし、これは平時ならばの話なのです。
恐らくですが、異世界転移後、日本政府は今般の新型インフルエンザ等対策特別措置法の様な異世界転移に対応する為の法整備をするのではないかと考えています。
土地の問題は何も自治区だけではありません。
例えば日本政府が、何か国にとって重要な工場を建設しようとした時に持ち主から拒否をくらうかもしれません。何か重要な道路であったり鉄道を建設したいのに立ち退きに従わないかもしれません。
ですが、今般運用されている新型インフルエンザ等対策特別措置法第四九条を見るとこの問題の答えになりそうな文言が書いてあります。見てみましょう。
「第四十九条 特定都道府県知事は、当該特定都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施に当たり、臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋又は物資(以下この条及び第七十二条第一項において「土地等」という。)を使用する必要があると認めるときは、当該土地等の所有者及び占有者の同意を得て、当該土地等を使用することができる。
2 前項の場合において土地等の所有者若しくは占有者が正当な理由がないのに同意をしないとき、又は土地等の所有者若しくは占有者の所在が不明であるため同項の同意を求めることができないときは、特定都道府県知事は、臨時の医療施設を開設するため特に必要があると認めるときに限り、同項の規定にかかわらず、同意を得ないで、当該土地等を使用することができる。」
とされています。
簡単に言えば非常時なので、場合によっては土地や施設の所有者の同意が得られなくても使ってOKという内容です。
異世界転移は国家の存続に関わる非常時です。
ですので、様々な事業をできるだけスピーディに行わなければなりません。平時の様に土地や施設の取得段階で何年も掛かるようでは遅いのです。その為、様々な事業を円滑に動かす為にと、この新型インフルエンザ等対策特別措置法第四九条の様な土地や施設の徴用を認める様な法律が誕生するのではないかと私は考えています。
その法律が果たして国が土地を借りる扱いになるのか、それとも購入する扱いになるのか、もしくはその時々の状況次第でその両方の何れかから選ばれる方式なのか、はたまた私程度では思いつかない第三の方式となるのか、どうなるかは正直分かりませんが、もしかしたら、異世界転移後の日本では、国の事業に対して土地や施設の持ち主が使用を拒否し続けると、ある日を境に勝手にその人の銀行口座とかに土地価格分かもしくは、それと+αのマネーが国から振り込まれて、その日から国によって、所有者の意思に関係なく使用が始まるという事があるのかもしれません。
ちょっとだけ怖いですね……異世界転移してしまった日本にとっては必要な法律だって事は分かるんですが、その法律が施行された場合は厳格な運用を願いたいですね。下手に乱用される様な事にはならない事を祈りましょう。
長すぎクッソワロタ
ちょっと真面目に書きすぎましたかね……?
いつものノリの方が良い?




