#74 決着と結末
光を帯びた俺の剣は完璧なタイミングで黒い竜の首へと向かったのだが……
ブゥン……
あのバリア! だが……
(ならバリアごと叩き切るまでだ!)
俺達はそのまま剣を振り抜いた!
バシュッ……
剣が黒い竜に突き刺る! 急降下する俺達の背に奴の悲鳴が降り注ぐ。が……
(やはり一撃では足りないか)
ダメージはあった。が、致命傷という訳じゃないらしい。黒い竜は凄まじいプレッシャーで怒りに満ちた眼差しを向けてくる!
(勝負はここからだ、といいたい所だが……)
実はさっきの攻撃で剣が折れてしまったのだ。これじゃもう……
”来るぞ!“
黒い竜が大きく息を吸う。ヤバい、ブレスが来る!
“だが、チャンスだ! かわしざまに止めの一撃だ!”
それはそうなんだが、もう剣が……
”あれを──っ!“
その瞬間、黒い竜がブレスを放った!
ビィィィ!
熱が頬をかするような感覚を味わいながら俺達は紙一重でそれをかわしながら急上昇する! 攻撃中は動けない。だから……
ザンッ!!!
俺が振るったのは折れた剣……ではなく、クレアの角だ。最初に戦った後、肌見放さず持っているように言われたものだ。
「ギャァァァ!」
黒い竜が悲鳴を上げる。今、クレアの角からは光が剣のように放出されている。それが奴の体を切り裂いたのだ!
グラッ……
黒い竜がよろめき、落下していく。落ちながら竜の体はだんだん縮み、人の姿になっていく……
「クレア!」
“全く……お人好しだな”
クレアは俺の願った通り、黒い兜の男が地面に激突する前に回収してくれた。
”こいつ、どうするんだ?“
「連れて帰ろう。勝負はついたんだ。無駄に命を奪う必要はないんじゃないか?」
俺がそう言うとクレアはため息をついた。
“まあ、いいさ。倒したのはお前だからな”
いやいや。何を言ってるんだよ、クレア!
「俺達の……いや、みんなの力だよ、クレア」
*
その後、俺とクレアは三日三晩寝続けた。だから、起きた時には事後処理はかなり進んでいた。
「後はあの黒い兜の男の尋問とかだけど……まだ意識がないみたい」
ベッドに寝ている俺の横で器用にリンゴを剥きながらそうサラが説明してくれた。
「回復魔法はかけてるみたいだけどね……一時的とはいえ体が竜になったんたからダメージはシデン達より大きいのかも」
「……確かに」
まあ、あの男のことは後でも良いだろう。何せしなきゃ行けないことは沢山あるからな。
「あっ、駄目だよ! シデンは絶対安静なんだから!」
「もう大丈夫だよ、サラ」
「駄目ッ!」
うーん、どうしよう……
「帰って来た時、シデンはボロボロだったんだよ……ゆっくり休まなきゃ……」
俯いたサラから涙が落ちる。どうやら寝ている間に大分心配をかけてしまったみたいだ……
「悪かったよ。言われた通り休むから」
「うん……分かってくれたら良いよ」
サラが涙を拭いながらにっこりと微笑む。仕方ない。ここは言う通りにするしかないな。
*
(謎の魔道士視点)
「……申し訳ありません、我が主よ」
主の前に頭を垂れる時、俺はいつも幸福感に満ちていた。それなのに今は惨めな気持ちでいっぱいだ。
(まさか魔竜まで倒されるとは……)
あのハイネとか言う男に渡した”魔竜の鎧“は身につけた者の命を吸って魔竜を蘇らせる呪具。つまり、あの黒い竜は魔竜そのものだったのだ。
(それを退けるとは……しかも、あんな短時間で)
この目で見た以上信じるしかない。が、未だに信じられない……
「顔を上げなさい、アルゴ」
暗がりに微かに見える主の口元にはいつもの笑みがあった。
「私は怒ってなどいないよ。君は十分良くやった。その上で上手くいかなかったのであれば、それは作戦を命じた私の責任だ」
「そんなッ!」
思わずそう叫びそうになるが、主に制され、俺は口をつぐむ。何やってんだ、俺は。主の言葉を遮るなんて、作戦失敗以上の失態だぞ!
「それに成果はあった。むしろ、私は君を褒めたいくらいだ」
「……成果、ですか?」
魔竜の鎧が実験出来たことだろうか?
「鎧の実験も確かに君の功績ではある。が、私が言う成果は違うところにあるよ」
実験以外の成果、それは一体……
「彼の存在だよ。私達の計画の最大の障害となりうる人物を君は見つけてくれた」
彼……まさかあの剣士……
「会いに行くとするか。今回の礼も兼ねてね」
主があの剣士と──
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