#60 血路
「隊長に後れをとるな!」
「仲間が登ってくるスペースを確保しろ!」
副隊長クラスの仲間も来てくれたらしく、ひたすら敵を押しのける俺の代わりに指示を出してくれている。おかげでどんどん仲間が増えて行く。
「済まないな。俺がやらなきゃいけない仕事なのに」
一息つきがてら副隊長達にそう声をかけると、彼ら勢いよく首を振った。
「何をおっしゃいますか! シデン隊長が血路を切り開いて下さったおかげです!」
「僭越かとは思いましたが、隊長の背中から伝わるメッセージを皆に伝えさせて頂きました!」
いや、俺はただ暴れてただけだけど……まあ、気を遣ってそう言ってくれるならそう言うことにしようかな。
「俺は門を開けに行きたい。ここは任せていいか?」
「「承りました」」
副隊長達が周りの兵士に俺に続くように指示を出す。同時に登って来た兵士達にも向かうべき場所を伝えている。本当、そう言うのは全然出来ないから助かるよ……
「武運を祈る」
「隊長もご武運を!」
俺は下へと続く階段へ向かう。勿論そこには敵の兵士もいるわけだが……
「ひいっ! こっちへ来た!」
「素手で城壁に穴を開けたヤツだ!」
そんな化け物みたいに言わなくても……登りやすいようにちょっと凹ませた程度だろ?
「怯むな! ここが正念場だ!」
激を飛ばされてかかってくる辺り向かってくる兵士達は中々肝も据わってる。けど、やはり腰は引けている。これなら……
ブン! バタバタバタ!
思った通りちょっと剣を振るうだけで敵の兵士は倒れていく。そして、倒れた兵士は後ろから付いてきてくれている仲間が次々に無力化してくれる。
「なっ! 一振りで!」
いやいや、腰が引けてたからだから。別に俺が凄い訳じゃないから。
「我らの剣聖シデン隊長の力を見たか!」
「シデン隊長は龍殺しの英雄だぞ!」
殺してないから! とは思うが、こういう時はハッタリが大事だ。ちょっとドキドキするけど、合わせて言ってみるか……
「我が剣は龍を屠る。死にたい奴からかかって来いッ!」
俺はそんな脅しを口にしながら敵の中に突っ込んでいく。勿論ハッタリだ。だが、敵の動揺は相当なものだったようで……
「がっ!」
「ぐふっ」
「ぼへっ!」
練度が高いせいか、流石に逃げ出すような兵士はいなかった。が、正直もう戦いにはなってない。俺達はあっという間に下までたどり着いた。
「門を開ける装置を探してくれ。俺はとにかく敵を蹴散らしていく!」
「「「「はい、隊長!」」」」
俺はとにかく派手に暴れまわるが、敵もはいそうですかと下がってくれるはずがない。だって、門を開けられたら自分達の負けは確実なんだからな。
「いくら強くても敵は一人だ! 全員でかかれ!」
「名を上げるチャンスだぞ!」
次から次へと敵がやってくる。が、俺も引くわけには行かない。皆が門を開ける時間を稼がなきゃいけないからな!
ブンブンブン! ザンザンザン!
迫りくる敵を最速の動きで倒していくと流石に敵の動きも鈍っていく。実際には動けば動くほど俺も疲れていくんだが、相手にはそれは分からない。逆に俺が倒した仲間の姿はどんどん増えていく訳で……
「な、なんだこいつは……本当に人間なのか?」
「か、勝てるわけがない……」
敵の士気が再び落ちてきた。が、俺も城壁をロッククライミングで登ってから動きっぱなしだ。流石にちょっと疲れてきたな……
(だが、時間を稼ぐのが俺の仕事だ!)
仲間が門を開けるまでは何としても……
「シデン隊長だ! 皆、隊長に続け!」
「勝利は目前だ! 手柄を立てるなら今だぞ!」
シデン隊の仲間が上から次々と降りて来た!
「隊長、上はほぼ制圧しました」
「ありがとう、助かったよ」
副隊長達が指示に従って降りてきた仲間は俺の援護にまわる。また、一部は門を開ける装置を探している仲間に合流した。
「隊長ばかり働かせてる訳には行かない!」
「今こそ隊長の指導の成果を見せる時だ!」
皆の士気は高く、どんどん敵を押し始めている! これなら行ける!
「隊長、少しお休み下さい」
「ありがとう」
俺が渡された飲み物と携帯食を口にしようとした瞬間……
ドッカーン!
文字通り何かが爆発するような音がしてシデン隊の仲間が吹き飛ばされた!
(何だ!?)
いや、よく見ると敵の兵士も倒れてるぞ!
「ふぅぅぅ……何だか騒がしいなぁ」
黒い兜を被った男が煙の中から現れる。こいつがさっきの爆発の犯人か?
「まあ、良いか。こいつの試し斬りには丁度良い」
黒い兜の男は手に持った黒い剣を頭上に掲げると、勢いよく振り下ろした!
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