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#58 バンラック要塞

「しかし、相当な無茶をしたのぅ……」


 半ば無理矢理俺に寝かされたサラを看病しながらクレアはそう呟いた。


「怪我こそかすり傷程度だけど……私も心配したよ、サラ」


 リアも小言半分心配半分といったところだ。まあ、俺も基本的には同じ意見だが……


(……リアもあまり人のことは言えないよな)


 訓練はともかく実戦にまで紛れ込んで来るんだから。いや、マジでアレは勘弁して欲しい……


「心配かけてごめん。でもどうしても許せなくて……」


 そう呟くサラの言葉は俺の心に染みるものがあった。サラは俺やエリザベス婆ちゃんとの生活を本当に大事に思ってくれてるんだな……


「己が誇りのため……か。そなた、か弱き身でありながら心は戦士じゃな」


「ありがとう、クレア。か弱いかどうかは分からないけど……」


 地形や便利グッズを使って辺境の魔物の目を眩ませて逃げることさえ出来るサラは身体能力だけでもかなりのもの。確かに“か弱い“と呼べるのかは分からないな……


「でも、まずはゆっくり体を回復させて下さい。バットラック要塞まではまだ二〜三日かかりますから」


「ううん、ぼんやりはしてられないよ。せっかく何の心配もなく魔導砲を使えるようになったんだし、要塞に着くまでに仕上げておかなくちゃ」


 うわっ……サラはもう次のことを考えてるのか!


(負けてられないな、こりゃ……)


 そんな事を思っていると、クレアと視線がぶつかった。


(同じ気持ちって訳だな……)


 サラだってこれだけ頑張ってるんだ。俺も……俺達も負けてられないな、クレア!



 それから二日。サラの決闘で士気の上がった行軍はいたって順調に進み、俺達は遂にバンラック要塞に辿り着いた。


(これがバンラック要塞……もうこれは城壁何てレベルじゃないな)


 近くで見るバンラック要塞の城壁は空を覆わんばかりの大きさだ。


「これがバンラック要塞……」

「でかい……でかすぎる」

「こんなの本当に攻略出来るのか……?」


 バンラック要塞の大きさに兵士達も圧倒されているみたいだ。何か声をかけないと……


「いや〜 楽しみだね」


 気がつくとヘンリエッタさんが俺の側で大きな声を上げていた。


「剣聖シデンが剣一本でいかにして一度も落ちたことがない要塞を落とすのか……私達は歴史の生き証人になっちまうね!」


 ヘンリエッタさんの言葉を聞いた兵士達は途端に顔色を変えた。


「そうだ! 俺達には剣聖がついている!」

 

「シデン隊長なら今までみたいに俺達が考えもしないようなやり方でこの城壁を打ち破って下さるはずだ!」


 ……とそんな期待の声があちこちから上がり、俺への視線が倍加する。俺は事前に教えられていたように何とも言わず、いつも通りに振る舞う。


(そう、別に目の前のバンラック要塞など大した事はない……そう言わんばかりに)


 勿論皆の士気を保つためのハッタリだ。実際には内心頭を抱えている。まさかこんなに高いとは……確かにこれはクレアが言うように龍にでも乗らないと越えられそうにない。


(困った……)


 そう。実は俺はまだ龍化したクレアに乗って飛ぶことが出来ないのだ。


「進軍、止まれ! ここに陣を敷く!」


 カートレット将軍の指示を伝える伝令が、あちこちでそう叫ぶ。陣が敷けたらすぐに攻撃に入るはずだ。


「シデン、出撃の前にもう一度やってみるかの?」


「ああ、頼む」


 もしかしたら……もしかしたらいつの間にか出来るようになっているかも知れないしな。



「「………」」


 俺用に張ってもらった天幕の中で部分龍化したクレアに跨がった俺が宙を浮くのを見て、サラとヘンリエッタさんは何と言ったら良いか分からないようだった。


「一応、動いたりは出来るぞ……」


 俺はクレアと共に天幕の中をくるりと一周する。かなりゆっくりとしたスピードだが、これでも大分上達したのだ。


「……とりあえずこのままではバンラック要塞は越えられないね」


 クレアは大体地面から三十センチほど浮いているだけ。確かにこれではバンラック要塞を越えることは出来ないだろう。


「格好もこのままじゃちょっと……もっと考えないと」


 クレアはサラが考案した服……というか全身を覆うコートのようなものを被っている。実は今のクレアは普段の姿に尻尾が生えただけの姿なのだ。


「これ以上着せる気かの!? 勘弁して欲しいのじゃ。妾が最初にしていた格好の方が軽くて飛びやすいのじゃ」


「あんなの絶対に駄目!」


 最初に森でクレアと練習した時には……いや、これはもう言うまい。二人に助力をこいながらやって来た結果、進歩はしているのだが、期待通りの成果が上がってるとは言えないな。


「いっそはだ……痛ッ!」


「それは次いったら叩くっていったよね、クレア」


「別に妾はふざけていってる訳じゃないのじゃ。だが、素肌同士の方が……」


「クレアッ!」


「ま、待つのじゃ!」


 前途多難だな……



次話も鋭意執筆中! もしよろしければブクマやポイントをポチッとして頂ければ執筆力が爆上がりします! まだの方は是非お試し下さいm(_ _)m

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