#52 最硬
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それから数日。準備を終えた俺達は王都へ向けて出発し、何度か敵の攻撃を受けつつも撃退しながら進軍を続けた。
(味方も大分増えたな……)
最初三〜四千人だった俺達の軍は今や一万に届くくらいになっている。これは捕虜が仲間になっただけじゃない。実はカートレット将軍は行く先々でリアの生存と第三王子の企みを知らせていて、仲間を募っているのだ。
(これなら第三王子と戦になっても勝てそうだけど……)
最初は王都へ行けば何とかなるのかと思っていたのだが、どうもそうは行かないらしい。カートレット将軍の密偵によれば、何と王都は既に第三王子が掌握していて王は幽閉されているらしいのだ。
(リアが死んだと聞かされて、今まで誰につくのかを決めかねていた奴らが一斉に第三王子側についたからか)
味方が増えた第三王子は一気に王都を占拠したって訳だ。思えば、リアの暗殺を企んだのもこのためだったのかもしれないな。
(こうなるともう戦うしかないか……)
王の幽閉や王都の占拠となるともう立派なクーデターだ。黙って見ているわけにはいかないし、相手はこれまで以上にリアの命を狙って来るだろう。つまり、もう第三王子との戦いは避けられないところまで来てしまっているのだ。
(王都か……追放を言い渡された時以来だな)
感傷的にならなくもないが、王都のことはもう少し先の話だ。何故なら……
(次が山場、か……)
王都へ向かうために次に越えなくてはならないのは、王都防衛の最大の難所にして最後の砦と言われる城、バンラック要塞。何でも建国以来、この城は敵味方問わず突破されたことはなく、最硬の要塞と呼ばれているらしい。
(けど、それを超えないと王都へは行けない……)
常識的に考えれば無謀な試みだろう。が、俺達には大勢の味方がついている。きっと何とかなるはずだ!
(ま、カートレット将軍のことだし、何か考えがあるだろうし、とにかく進むか)
自慢じゃないが、俺は辺境でマルボレク要塞の城壁を長年見てきた男だ。ちょっとやそっとの壁じゃ驚いたりはしないぜ!
とそんなふうに思っていたのだが……
(な……何だありゃ)
遠目にバンラック要塞が見えると、俺はその異様な姿に度肝を抜かれた。とにかくデカい。あり得ないくらいデカい。
(マルボレク要塞なんて比べものにならないじゃないか……)
バンラック要塞と比べたらマルボレク要塞なんて子ども……いや、玩具みたいなもののようにさえ見える。
(これを越えていくのか……)
きっと近くで見たらもっと凄いんだろう。一体どんな作戦であんな凄い城壁を攻略するんだろうか……
*
「……という訳でそろそろバンラック要塞攻略のための戦略を考えねばならん。何かないか」
その夜開かれた軍議で開口一番にカートレット将軍から出てきたのはそんな言葉だった。
(将軍、まさか何も考えずにここまで来たんじゃ……)
一瞬そんな考えが頭をよぎるが、俺は全力で頭を振ってそんな不敬な考えを追い出した。幾らなんでもそんなことあるはずがない。
「聞いていた通り……いや、聞いていた以上に凄い壁ですな」
「持ってきた攻城用の梯子では上まで届きそうにありません」
あまり明るい意見とは言えないにも関わらず、皆が笑顔で報告しているのは配られている食事のせいだ。
(この辺りで取れるレッドバイソンの肉を煮込んだシチュー……中々美味いしな)
魔物食は将軍の部下や副隊長クラスを中心に広まりつつある。一般の兵士達にはまださほど広まってないのだが、“剣聖シデンの秘伝食”として宣伝されていることもあって熱狂なファンもいるとかいないとか。
「城攻めって普通どうやってやるんですか?」
そう聞いたのはサラだ。彼女は魔導砲の一件から皆に一目を置かれたことと、その頭の回転の早さから軍議に参加するようになっているのだ。
「まずは城壁を越えば話にならない。梯子なんかをかけて登らねばならぬが、相手も黙って見ているわけではない。矢や石などで妨害してくるな」
「巨大な攻城兵器で城壁を壊すというのもあるが、我らは持って来ていない」
周りの騎士達の説明を聞きながら考え込むサラ。俺もサラも魔物との戦いならかなりの経験値があるが、こういうのは素人同然だ
「だが、要塞に着くまでに何とか策を考えねばならぬな。各自考えてみてくれ」
しばらく色んな意見を出し合った後、軍議は解散になった。色んな意見は聞いたけど……正直何も思いつく気がしないな。
「ならあれしかないの、シデン」
そう言うと隣にいたクレアが俺の肩を叩く。
(”あれ“って……何だ?)
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