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#40 会議

(シデン視点)


 訓練の後は会議だ。あまり得意ではないが、お飾りとはいえ隊長なのだから出席しない訳にはいかない。ていうか、他のことはサラやヘンリエッタさんと副隊長達がやってくれているからこれくらいしないと申し訳がない。


「シデン殿の活躍で行軍は順調です。ここまで兵の損耗がほとんどないのは奇跡です!」


 自軍の兵士が死傷する数が少ないのは何よりだが、それは戦略上も大きな意味を持つ。理由は色々あるが、一番の理由は今俺達が敵地にいて兵の補充がほぼ出来ないということだ。


(兵数はそのまま軍隊の力だと言ってほぼ差し支えない。王都に乗り込むんだから出来るだけ自軍の力を落としたくないな)


 王都で戦になるとは限らない。が、交渉であってもこちらの数が多い方が有利になるのは間違いないからな。


「思わぬ戦闘もありましたが、短期で決着がついたため、行軍もほぼ予定通りです」


「それも何よりだな」


 カートレット将軍は深く頷いた。行軍が長引けば、兵達が消費する水や食糧も計画通りに行かなくなるからな。


「ただ、一つ問題が……」


「何だ?」


「今後の兵站にやや不安が……」


 今、水や食糧は破壊されたダラク山脈の砦から持って来ているらしい。が、このまま王都に向かえば砦からはどんどん離れていくことになる。


(進めば進むほど水や食糧の運搬が大変になるよな……)


 単に労力の問題だけじゃない。補給物資を長い距離運ばなくてはならないということはそれだけ攻撃を受けやすくなる。補給が途絶えれば、俺達はたちまち飢えてしまう。そうすれば、戦うどころじゃなくなってしまうだろう。


「護衛はつけるにしても戦力をどこまで裂くかですな」


「状況を考えればまとまった数を護衛につけたいですが、数を増やすと機動力も補給効率も下がりますし……」


 当たり前だが、水や食糧を運ぶ兵士も飲み食いをしなきゃならない。だから、運搬役は少ない方が荷物が目減りせずに済むのだ。


(うーん、困ったな)


 あちらを立てればこちらが立たずと言った感じだ。一体どうしたら良いのか……


「シデン殿は何かありませんか?」


 急に進行役から話を振られ、その場の視線が集まった。別に誰も俺が答えをを持っているなんて思ってないだろう。単に俺がまだ何も喋ってないから当てられただけだ。が……


(あると言えばある……が)


 だが、皆がどう思うかが分からない。下手をすれば怒られるかも。でも……


「案と言うか、皆さんにご提案があります」

「ほぅ……提案とな」


 カートレット将軍が興味深そうに俺の顔を見る。



「これは何と!」


「す、凄い! まさかこんな奇跡を生む道具があろうとは……」


 カートレット将軍に見せたのはサラの便利グッズ、”どこでもゴグゴク!“だ。これは水の魔石を使って大気から水を生み出す魔道具なのだ。


(どんな反応になるか心配したんだが……)


 ちなみにサラとリア、さらには事情を話しているヘンリエッタさんには相談した上でのことだ。比較的安全な道具ということもあって三人とも大丈夫だろうと言ってくれたのである程度安心してはいたのだが……


「えっと、もしかしたらこれは魔道具と言う人もいるかも知れないんですが……」


 盛り上がるカートレット将軍の部下達に俺が恐る恐るそう言うと、彼らは大声で笑った。


「シデン殿も人が悪い! 我らは確かに魔法には疎いが、人を害するものと助ける物の違いくらい分かりますぞ!」


「水を生み出す奇跡があの人を害する魔道具と同じはずがない! これは神より与えられし、神器でありましょう!」  

  

 サラやリア、それにヘンリエッタさんが言ったようにカートレット将軍とその部下達は偏見じゃなく、あくまでもその本質を見て良し悪しを判断する主義らしいな。


「こんな神秘の道具を生み出せるとはサラ殿はまさに神に愛されし方……真の聖女であらせられるのでしょう」


「ち、違います! 私は魔法どころか魔力がないんです」


 カートレット将軍の部下の賛辞に珍しくサラが慌てて手を振った。頭脳明晰な彼女が慌てるなんて滅多にない。が、彼の言葉はその気がないとしてもサラにとっては酷な一言だから無理もない。


「とりあえず、水の問題はこれで解決出来ますか?」


「ああ。水の魔石は手持ちもあるし、足りなくなれば魔物を狩ればいいな」


 俺の言葉にカートレット将軍は満足そうに頷いた。


「が、食糧はどうする? それもサラ嬢の道具で何とかなるのか?」


「食材の調理なら何とか出来ますが、食糧そのものはどうにも……」


 サラが申し訳なさそうにそう言うと、カートレット将軍は慌てて手を振りながら口を開いた。


「いや、済まない。水の供給手段があるだけでも十分過ぎるくらいだ」


 サラの便利グッズは無茶苦茶便利だ。が、不可能なこともある。その一つが無から有を生み出すことだ。これが魔法とサラの便利グッズの決定的な違いだ。


「えっと、食糧については俺から……」


 そう言うが早いか、皆の視線が俺の方に向く。こっちはサラしか賛成してくれなかったし、どうなるかな……

 


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