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#34 予感

(リア視点)


(シデンさん、大丈夫かな……)


 一人で丘を登ると言い出したシデンの言葉で軍議はかなり荒れた。けど、程なくやってみようということになった。それはどんなに可能性が低いことでもやらざるを得ないくらい状況が悪い……という以外にもう一つ、理由がある。


(まさか人一倍規律に厳しい将軍があんなことを言うなんて……)


 皆の話をしばらく聞いていたカートレット将軍はおもむろ”やらせてみよう“と言い出したのだ。


(単独行動なんて絶対許さないと思ってたのに……)


 勝算なく思いつきや感情で動くなんてもっての外だと常々言っている将軍がシデンさんの単独行動を認めた……それはつまり、上手くいくかも知れないと思ったからに他ならない。


(確かに今までのシデンさんの行動を見ていれば……)


 マルボレク要塞の陥落にゴーレムの破壊、それにダラク山脈に済む竜の調伏、おまけに不敗の剣士と呼ばれていたカートレット将軍相手に勝ち星を上げる……シデンさんが今までして来たことはどれもこれも信じられないようなことばかりだ。


(けど、今回はいくらシデンさんが強くても……)


 相手の方が遥かに数が多い上に大砲まで揃えている。さらには上をとられている……数、武器、地形、その全てにおいて不利な状況。相手が罠を張っている中に飛び込んで行くようなものだ。


 ドン! ドン! ドン!


 しばらくして大砲がなる音が私の天幕にも聞こえていた。始まったんだ!


(シデンさん……無事に帰って来て下さい……)


 どのくらいそうして祈っていたのかは分からない。しばらくすると、慌てふためいた騎士が私に驚くべき知らせを持って来てくれた。


「で、殿下! アイゼリア第一王女殿下! 丘をご覧下さいッ!」


 天幕を飛び出し、言われるがままに丘を見るとその頂上にはなんとカートレット将軍の旗が……


(シデンさん、凄い……)


 何があったのか。一体どうやったのか。分からないことはたくさんあるが、一つだけ確かなことがある。それは、シデンさんの伝説にまた一つ新たなエピソードが加わったことだ。


(シデン視点)


 フッ……シュッ


 剣を振って消火している内に騎士達が手早く旗を立ててくれている。落ち着いてからでも良さそうなものだが、これはとても重要なことらしい。


(ああ……なるほど)


 火を消し終わった後、旗を見上げるとその理由が分かった。掲げられた旗を見ると、自分達が勝ったことが実感できる。多分、負けた方にとっては逆の効果があるのだろう。


「消火終わりました」

「も、もうですか!?」


 消火が終わったことを騎士達に報告すると凄く驚かれた。何でだ?


「というか、水もあまりないこんな場所でどうやって……」


 どう……?


「いや、剣を振ったら消えますよ?」


 割と普通のことじゃないかと思ったんだが、騎士達には“えっ?”という顔をされた。


(……そうか、これもこっちの方ではしようとも思わないことなんだな)


 剣を振って回りの空気を追い出せば火は消える。けど、水が周りにあれば誰でもそっちを選ぶだろう。つまりはそう言うことだ。


(今更だけど、辺境ってこっちとは大分違う環境だったんだなぁ……)


 サラの便利グッズやエリザベス婆ちゃんの魔法のおかげで何一つ不自由したことが無かったけど、ちょいちょい話が噛み合わないからな。まあ、慣れていかないといけないな。


「シデンさん、お疲れ様でした」


 そんなことを考えているとリアと将軍が近くにやってきた。

 

「まあ、何とかなったよ。サラと協力してくれた騎士達のおかげだな」


「そんな……シデンさんが一人で敵を壊滅させたって聞きましたよ」


 壊滅……いや誰も死んでないぞ、多分。


「俺が上についた時にはエラい混乱でさ、一人じゃどうにも出来なかったよ」

 

 これは紛れもない本音だ。混乱した敵は行動が読めないから厄介だ。相手の数が多ければ尚更だな。


(そうか……集団で戦うってことはこう言うことなのか)


 自分一人で戦ってる訳じゃないから他の人の心理も考えなきゃいけないんだ。勿論、俺だって魔物と戦う時は相手の考えを読もうとする。が、何と言ったら良いか分からないが、今のこれはまたそれとは違う話だ。


「ほう……軍勢を率いて戦うということがどういうことかが分かって来たようだな」 


 俺の表情から何を読み取ったのか、カートレット将軍はニヤリと笑ってそう言った。


(何か嫌な予感がする……)


 何故そう思ったのかは分からない。が、何か俺の予想もつかないことが将軍の頭の中にあるような気がした。

 応援大感謝! 読んで頂いている皆様への感謝をパワーに変えて次話も爆速執筆中ッ! 


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