#33 突撃と消火
(来たっ)
俺はグッと足を踏み込んだ!
ダッ! ドッカーン!
ダッ! ドッカーン!
ダッ! ドッカーン!
素早く飛んで、砲弾を避ける。やってることはただそれだけだが、避ける瞬間だけ素早く動くのがコツかな。相手の狙いがそれると辺りが穴だらけになって回避しづらくなるからな。
(それにしても……ロックリザードの攻撃よりも大分遅いな)
砲弾って結構遅いんだな。辺境じゃ見る機会がないから気づかなかったよ。
「なっ……生きてる!」
「あれだけの砲弾の中をどうやって……」
どうやって……いや、避けただけだが。
(まあ、ちょっと慣れが必要だしな)
大体普通はわざわざ大砲をかわそうとか思わないよな……俺だってロックリザードの卵があんなに美味くなければやろうとも思わなかっただろう。
「ええい、もう一度だ! 砲弾装填!」
「さっきの倍の数の砲弾を放て!」
どうやらまた撃って来るつもりらしいな。
(……なら、今度は避けずにやってみるか)
ロックリザードを相手にする時、稀に回避するスペースが辺りにないこともある。その時のための小技というか……まあ知恵みたいなもんだが。
「放て!」
合図と共に大砲から轟音が連続して鳴り響く! 俺はゆっくりと剣を抜いた。
ドン! フッ……
ドン! フッ……
ドン! フッ……
ドン! フッ……
ドン! フッ……
ドン! フッ……
俺は高速で振り下ろした剣を砲弾にそっと添わせる。砲弾とぶつかると剣が折れてしまうから、剣は砲弾の側を通り抜けるだけ。すると……
ヒュゥゥン……
砲弾が突然上空へとコースを変える。剣は砲弾に触れていなくても、剣を振った時に巻き起こった風が砲弾にぶつかって軌道を修正したのだ。
ヒュゥゥン……
ヒュゥゥン……
ヒュゥゥン……
ヒュゥゥン……
ヒュゥゥン……
俺に向かって飛んできた砲弾は次々に上空へと飛んでいく。そして……
ドッカーン! ドッカーン!
ドッカーン! ドッカーン!
ドッカーン! ドッカーン!
丘の上へと落下し、爆破した!
「うわぁぁぁ! 砲弾が!?」
「これは魔法か!? しかし、詠唱する暇なんてあったはずか!」
魔法? いやいや、ちょっと速く剣を振っただけだよ。
(……って、そうか。んなことしようとも思わないよな、普通)
俺だってロックリザードの卵を取るまでは考えたこともなかったしな。
ザッザッザッ……
撃ち返した──というほど大げさな話でもないが──せいで上は大騒ぎになってしまったせいもあって、それから俺は直ぐに丘を登りきってしまった
(……ここからどうしようかな)
丘の上は敵陣。つまり、やることは一つなのだが……
「消火急げぇぇぇ!」
「隊長、火が中々消えませんッ!」
「ええい、泣き言を言うな! 死にたくなければ死ぬ気でやれ!」
どっちでも死にそうじゃねーか……などと悠長なツッコミを入れられないくらいにここの混乱は酷い。いや、参ったな。こんな状態じゃ、手当たり次第攻撃しまくる訳にもいかないしな……
「「「全員武器を捨てて、両手を上げろ!」」」
「「「「消火は我らがする! 火の手のない真ん中に集まれ!」」」
その時、辺りにそんな叫び声が響き渡った。
(これはサラ達か?)
そう思ったのはこの声が響き渡る感じに覚えがあったからだ。これは間違いなくサラの魔道具だ。
(そう言えば丘を登る前にサラが騎士達を集めていたな……)
ひょっとしてこうなることも分かっていたのか? 流石だな……
「あっ、シデン! いたいた!」
そんなことをぼんやりと考えていると、騎士達に囲まれたサラがこちらに向かってやってきた。
「うん、思った以上にスムーズだった。流石シデンだね!」
「サラこそ……こうなることが分かってたのか?」
「えへへ……まあね」
俺が驚きと共にそう言うと、サラは少し頬を赤く染めて照れる。その破壊力抜群の表情を目にしているのは幸か不幸か俺だけだ。
「……ほ、本当にこんなことが」
「サラちゃんが言った通りだ」
サラの周りにいる騎士達は周りを警戒しつつも、この状況に啞然としている。まあ、俺だってこんなあっさりと済むなんて思ってなかったしな。
「シデン、悪いけど消火手伝ってくれる?」
「ああ、分かった」
既に敵の武装解除はほぼ終わっているが、火はまだ消えてない。そもそも丘の上じゃ水がたくさんある訳じゃないから消火にも一苦労だろう。
(自分で巻いた種だし、後始末するか……)
火事だって起こそうと思った訳じゃないし、不可抗力という奴だと思うから勘弁して貰いたいもんだなぁ……
応援ありがとうございます! 皆様からの応援パワーで今日も執筆ッ! 明日も更新ッ!
ブクマやポイントでの応援はいつでも募集中です! まだの方はこの機会に是非ポチッとしてやって下さい!




