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魂魄双伝~祖国統一編~  作者: 希紫狼
序章~塔零記~
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棺と水

もう一人の死刑囚の理不尽な末路……!


※注意:今回もソフトに包んでるけど、タイトル通りエグイ話!

    こういうのダメな人は注意して読んでください!

    さすがに責任は負いかねるから……。

 ――佞邪国ここの人民達をさとせば……!と死刑直前であっても、革命に対し義務感を燃やし続ける官男!縄で縛られても口が開いている以上、その口で戦うのみ!

 しかし、そう簡単に物事が思い通りに運ぶこともなく――官男かれの死刑執行を担当する兵達によって、官男の口には猿轡さるぐつわが施されてしまう……。

 こうして官男に残った唯一の“武器”は――封じられてしまった……!


 ――まだだ……まだ終われるものか……!とまだ諦めきれない官男!

 そこに釣幻が「まだ終わっていなかったか!」と馬に乗ってやって来る!

 この時、馬上から官男を見下ろす釣幻の目が――人並み以上に勝ち誇っている!


 ――ぼ、暴君め~っ!と内心で釣幻に悪態をつく官男!

 そんな彼を兵達が抱え込んで、あらかじめ用意された大きな棺に――放り込む!

 その棺は――官男のような成人男性を“縦に二人”程収められる木棺であった……!


「――!?」

 件の棺に放り込まれた官男!そこから見る空は――妙に青い……!

 この段階で、官男かれの肩の下から足首までが縄で縛られているので、上体を垂直に起こすのは容易ではない!それでも官男かれは人民達に訴えようと、何とか可能な限り上体を起こしてみるも――目に映るは棺の内部側面の木目ばかり……

 ここで官男かれは初めて自身が収まっている棺の特異さに気づく!

 この棺が――大の男を一人収めるには異様に高すぎることを……!


 ――この棺の中の俺に……何をする気だ!? と困惑する官男!

 その官男の疑問に答えるように、馬上の釣幻はいつのまにか持っていた桶の中の水を力いっぱい……官男に叩きつけた!しかも無防備な顔面に……!


 水を叩きつけられた官男は「ぬううううううううっ!」と呻く!

 その痛みは鞭を叩きつけられたように感じられる!しかし官男はその痛みに耐える!

 ――人民達の苦しみ比べれば――!とこの期に及んでも人民の身を案じる志の高さ!

 そんな彼に向かって、馬上の釣幻は「はははははっ!驚いたか!」と笑い見下す!

 その釣幻に向かって、官男は力強く睨む!無論、その視線からは殺気が込められている!


「ほほう!まだ憎い敵を睨みつけられる力は残っておるか!」と官男に感心する釣幻!

 ここで兵の一人から「侯殿下!準備が整いました!」と釣幻に声を掛ける。

 これに釣幻は「うむ!」応じて、馬から降りると――官男が収められた棺を覗き込む!

 それも官男の頭がある方から、不気味な笑みを浮かべて……。


 ――ほ……本当に奴は何をする気だ……!? と寒気を覚える官男!

 そんな官男かれに追い打ちをかけるように、釣幻は――

「本来なら貴様の悲鳴を聞きたいところだが――帝を奉る丘幸みやこではそのようなうるさい娯楽は控えた方が良かれと思ってな……!」と話しかける!


「……!?」

 これから自身の身に起こることが予測できない官男を尻目に、釣幻は兵達に合図を送る!直後――兵達は件の棺にふたを閉める!だが、ただの蓋ではない!

 その蓋は、少ない面積で官男が上体を起こすのを妨害するためだけに設計されている特注品!蓋の上の方には官男の目から上が見えるようにバッサリと切られており、下の方も官男のひざから下が見えるようにバッサリと切られている!


「お前は人民を解放すべく戦っていたな!」と突拍子もなく官男に問う釣幻!

 ――そうだ!と言わんばかりに官男が肯くと、釣幻はニヤリと笑う!

 この時、件の棺に周りには丘幸ここの住民達が――老若男女問わずびっしりと集まっている!それも各々が手に水が入った桶を持ったまま……!


「――では、お前の言う人民たちによって、幻から解放してやろう!」と釣幻は官男にそう宣言すると、片手を挙げて住民達に合図を送る!

 すると住民達の中から一人が――件の棺の開いている下の方から、桶の中の水を注ぐ!


「……!?」

 ここに至って、官男は初めて――釣幻の意図に気付く!

 ――お……俺を溺死させるつもりなのか……!? と……!


 先程の水を注ぎ終えた一人が棺から離れていくと、釣幻は――

「次だ、次だ!順番にな!」と住民達に声を掛ける!それも『順番に』と言っている当たり、官男をじわじわと時間をかけて殺す気のようだ……!これが釣幻の残忍な本性!


 それからも次々と住民達が順番に件の棺に水を注いでいく最中、釣幻は棺の中の官男の目が恐怖によって踊り狂う様を見物し――愉悦に浸る……!

 官男は棺の中の水位が上昇していくたびに、必死に上体を起こして生き延びようとするも、棺の蓋に阻まれてしまう……。しかもその蓋は兵達に押さえられてもいる!

 ――や、やめろ……私はこんな水責めで死ぬような男ではないはずだ……!という官男の必死の願望も、既に絶望に染まり始めている……!

次回予告:釣幻の昼食会に招かれた暖沼だが……!

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