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魂魄双伝~祖国統一編~  作者: 希紫狼
序章~塔零記~
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凄惨な現場

死刑囚の理不尽な末路……!


※注意:今回ソフトに包んでるけど、タイトル通りグロイ話!

    こういうのダメな人は注意して読んでください!

    さすがに責任は負いかねるから……。

「お前の言い分は分かった……」とだけ釣幻は述べて、最下段におりていき、そこから猛己のすぐ近くへと歩み寄っていく。片手で剣を抜きながら……

 ――きっと……あの件で私の縄を解いてくださるのだ!と釣幻の剣を見た猛己の期待!


 しかし――そんな猛己の淡い期待を尻目に、貴狼は万が一に備え「目を伏せろ!」と真藤に小声で伝える。同時に貴狼かれは着物の裾で真藤の視界さえもさえぎる。

 万が一にでも真藤が《《吐いてしまう》》ような事態となったら、それを口実にこの場にいる京賀の四人は処刑されても文句が言えない……!

 真藤も悪い予感がしたのか、「はいっ!」と小さく応えて、思い切り目をつむる!

 鋒陰も貴狼にならって、陽玄の視界を自身の着物の裾で遮る。


 猛己のすぐ近くへ歩み終わった釣幻。笑顔ではあるが、目が笑っていない……!

 彼と猛己のその距離は――ちょうど釣幻の剣の間合いに納まっている……。

 猛己は目の前にいる釣幻に向かって、思いっきり口角を上げてみせる!しかしそれでできた笑顔がどうも引きっているようなのだ……!

 この時点で猛己かれの頭には、絶対に現実になって欲しくない悪夢が浮かんでいる!

 しかし当の猛己ほんにんは、逃げるようにその悪夢を認めなかった……!


 釣幻が笑顔を崩して、その顔が憤怒ふんぬの形相と化した――その時!

 釣幻かれは横に剣を振って一閃!――そのまま猛己の首をねてみせた!

 この時の釣幻かれの目が――無能ごみを見下して決別する時のもの

 ――無能ごみが……!と釣幻は実際に内心でこう思いながら首を刎ねていたのだ!

 やはり、過穀と畔河一帯の土地は欲しかったらしい……!

 それでも昨日(同年四月四日)、京賀国からの領土譲渡の誘いを断って、逆に同国に譲渡してやったのは……乞食こじきのようにものを与えるばかりの存在でいたくなかったから!ましてや格下からなぞ――論外である!


 こうして猛己の魂はこの乱乱乱世から解き放たれ――冥府へと転移してしまった……!

 この佞邪国くにに法はあれど、その方が力を持つかは君主次第。

 それに憲法に至っては、『佞邪侯は佞邪国を指導す』というたった一つの条文のみ。

 故に、死刑囚が正式な判決前に死刑を執行されるなぞ――日常茶飯事(さはんじ)


 猛己の死刑を見た一同――釣幻に対して恐れをいだいたものの、感心も抱いた!

 ――あの大柄な猛己の首を……こうも綺麗に刎ねるとは……!

 ――やはり、ただの酔っ払いではないか……!と貴狼も釣幻への警戒感を強める!

 ――ほう……見事な剣裁きだけは人並み以上か……!と鋒陰も目を丸くする。


 その直後に、「ジャリッ……!」というやや大きく鈍い音がお白洲(ここ)に響き渡る!

 その音の正体はもちろん――猛己の首が砂利敷に落ちた音である……!

 これに真藤が反応してしまい……「あの……この音って……?」と貴狼に問う。

「……」

 貴狼は一瞬答えるのを躊躇ためらう。幸い、此方こちら側から見て、猛己の顔を見ることはできない。しかし、体から切り離された後頭部が確認できている……。

 ――まだ『平成』の者には刺激が強いか……!と貴狼は判断したのだ……。

 故に、彼はまだ真藤の視界を己の着物の裾で遮っている。当の真藤も目を瞑ったまま!


 代わって鋒陰がすまし顔で「猛己の首が落ちた音だよ!」と純粋ストレートに応えてあげると、真藤は「はぁ~っ……」と今も目を瞑ったまま脱力するばかり……。

 そんな真藤に貴狼は「見なくて正解だったな……」と声を掛けてあげる他ない……。

 真藤の出身世界の『平成』生まれの者が絶対に慣れたくない凄惨せいさんな“現場”!いずれは慣れてもらいたいが、この場限りはその例外であった……!


 一方で鋒陰に視界を遮られたままの陽玄。彼も静かにとは言え――目を瞑ったまま。

 彼も凄惨な現場を見らずに済んだとは言え、手の震えを抑えることができなかった……。

 この手の震えに貴狼と鋒陰は気づいたものの、あえて指摘しなかった……。

 貴狼はどう声を掛ければいいか分からなかったし、力になれるかが不安だったのだ……。

 鋒陰に至っては、何を言っても無駄そうだったから……。


 釣幻は剣を振り払って、それに付着した血を一気に跳ばすと――

「この無能ごみを片付けい!」と号令を掛けた!

 すると二つに分かれた猛己の遺体は、周りの兵達によってすみやかに片づけらていった……。その過程での、彼らの手つきは――妙に手馴れているものだった……!


 猛己の遺体がお白洲(ここ)から消え去っていたのを確認して、貴狼は自身の裾で真藤の視界を、鋒陰も陽玄の視界をそれぞれ遮るのやめた。

 そんな彼ら四人に、釣幻が笑みを浮かべて――

「京賀国のそなたらに訊こう!猛己の子らはどう扱う?」と訊いてくる。

 これに「わたくしめがお答え致します!奴らは父の偉業を継ぐ気なぞ全くないので、投獄しております!侯が望めばいつでも――」と貴狼が答えた時……。

 釣幻はその答えを遮って「別によい……。猛己の子らは京賀国そなたらの好きにして構わんぞ……!」と述べた。かっての重臣故の情けか、それとも面倒だけなのか……。

 どちらにしろ、陽玄ら四人は只々「御意……!」と畏まって頭を下げるのみ……。

次回予告:真藤の身分……!

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