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魂魄双伝~祖国統一編~  作者: 希紫狼
序章~塔零記~
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第二十四話:金川の戦い~連行~

金戦の戦い――開幕……!?

 金川きんせんの戦い

 せい歴八百四年四月一日午後三時頃、『金川』という地で月清げっしん率いる騎馬隊が畔河はんが政権の国境警備部隊を襲ったことから始まる戦いである!

 月清の騎馬隊が襲いかかってきた時――畔河政権の警備部隊の内の少数が剣を抜いて応戦しようとするも、一人も例外もなくその全員は剣を捨ててすぐに降伏!

 そんな彼らに続いて剣を抜いた者達も、月清の騎馬隊の多さにビビってすぐに降伏!


 こうして戦いは十分も掛からずに終わった。しかも、月清の騎馬隊には全く被害なし。

 これは間違いなく“完全合戦パーフェクトゲーム”と言えよう!

 だが油断は禁物。何せこれは、まだ戦いの一戦目ワンラウンドに過ぎない……。


 後にこの戦いは『金川きんせんの戦い』における『序盤戦』あるいは『月清の奇襲戦』と呼称されるようになった……。


 そして物語は、月清と彼が率いる騎馬隊二百騎が、畔河政権の警備隊(一個中隊規模)に属する金川を管轄する国境警備部隊全四十名を捕らえたところから再開する……。



  同日 同地 三時三十分頃

「宰相殿下(月清)あああああっ、命だけはお助けをををををっ!!」

「今から改心しますううううーっ!!」

「もう悪いごとじましぇえええええーんっ!!」

 泣きながら我先にと月清に頭を下げて命乞いをする畔河政権の兵達。

 この金川の地で四年に渡って暴虐をふるってきたつわもの共の面影はどこにもなく、皆一様に真の強者つわものに乞うばかり……。情けない……。

 こんな彼らを見た月清達全員は誰一人勝利の余韻よいんを味わうことなく、呆れ果ててしまうばかり……。――正直、こんな奴らに勝っても嬉しくない……。


「どうか国境警備部隊かれらにお慈悲を、宰相殿下っ!!」

「許してやってください、この通りですっ!!」

何卒なにとぞ、何卒……寛大なるご処置をっ!!」

 そして、畔河兵やつらに虐げられていた当の住民らも月清達に乞うばかり。

 それ全員土下座! 顔を上げている者は一人も確認できない。

 住民かれらの大半は畔河兵やつらの親族や友人である者ばかり。

 ――悪いことばかりしておいて、何故なにゆえ畔河兵かれらを「可愛い」と思えるのか……。とこの光景にも呆れ果てる月清達。

 もし、畔河兵かれらが一人でも誰かを殺していればこんな光景は見られなかったことだろう。それだけが畔河兵かれらの救いと言ったところか……。


 こうして自分達に乞い続ける住民らを目のあたりにした月清一行。

 先の畔河兵やつらを憎む気持ちは完全にえてしまった……。

 後にこの話を聞いた貴狼きろうは「どこまでも甘い民よ……」と呟いたそうな。

 しかし、月清達にはまだやることがある……。ここでほうけてる暇はない!


 月清は右手を挙げて、なおも自らに乞い続ける畔河兵達と住民らを沈黙させると――

たわけたことを申すな!」と己の刀を抜いて一喝!

 これに畔河兵達の中から「何でもしますからあああっ!!」と大きい一声が聞こえてくると、月清は即刻そいつに刀を向けて「よろしい、そこの者!」と返した!

 そして、「はいっ!!」と命の危機を感じて立ち上がったそいつに月清は――

「先程、『何でもします!!』と申したな!! その言葉に嘘偽りはないか!?」と問う。

 問われたそいつは「はいっ!! 仰る通りでございます!!」とビビりながら答える。

 何か危ないことでも命じられるのかと思っているのだろう……。

 ――やっぱり、『何でもします!!』って言うんじゃなかった……! と立ったままのそいつは内心で泣きながら後悔している……。腹をくくるにはもう少し時間が必要だろう。


「……畔河兵おまえ達の中で他に畔河までの伝令を担っている者はいるか!?」

 次なる月清の問いに、畔河兵やつらの中から「はい! わたくしの役目です!」と「いえっ、ここはわたくしめがっ!」と次々と声が上がっていく。

 そして、その中から「ここはこの者の上司にして責任者の私が――!!」とある分隊長の声を聞き取った月清。月清かれはそのまま即座に「では、お前にもやってもらおう!!」とその分隊長に刀を向ける! その時の刀は心なしか不気味に輝いていたという……。

 刀を向けられた分隊長は即座に立って「はいっ!! ありがたき幸せ!!」と答えてみせる。

 ――「何でもします!」に乗って大丈夫かな、俺……? と不安に駆られながら……。


「隊長、貴下の一個小隊で賊共を“例の場所(仮説捕虜収容所)”に連行して監視しろ!

 ただし、私が指名した二人はここに残せ!

 監視にてる一個小隊の判断は、貴官に一任する!」

 月清の命令に「御意!」と応える騎兵隊長の男。男はそのまま部下の小隊長の男に――

「第四小隊は畔河兵こいつらを例の場所に連行して、監視しておけっ!」と命令。

 そしてくだんの二人を除いた畔河兵やつらに対して、月清は――

「よいか!? 妙な真似をすれば、お前達の首は消えるぞっ!」と害虫を見るような冷たい視線と共に釘を刺すことも忘れない。結果――彼らは皆ビビりながら連行されていった……。

次回予告:分隊長とその部下の運命やいかに……?


     まっ、どうでもいいや!!

     ただ名前はいる……。(当時の談)


*京賀国

月清げっしん:京賀国の宰相。


今回の戦闘結果

*京賀国(勝利)

・騎馬隊二百騎

*畔河政権(敗北⇒ほぼ全員京賀国の捕虜に)

・国境警備部隊四十名

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