表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/52

報告

学園から馬車に揺られ数十分、俺は王城に着いた。


 以前来たように王城内に入れてもらい、セバスチャンさんに連れられ俺は謁見の間へ来た。


「アルバート、入学式は良かったぞ。後でエジムンドに聞いたが、何も聞かされていなかったそうだな」


「ええ。かなり焦りましたが、なんとかやり遂げることができました」


「ははっ、何も聞かされていないのにその対応力、見事と言う他ない。なあ、ルクセンド?」


 陛下にそう言われたのは陛下の横に控えていた男だった。


「はい、陛下。そのお歳で見事なものでございます。いっそ私のように文官になれば良いのでは?」


 俺はこの世界では自由に生きるって決めてるの。決まった時間に出勤し、決まった仕事をし、そして決まった時間に帰る。そんな生活はもう前世で捨ててきんですよ。


 なんて言えるはずもない。


「あはは……、申し出は嬉しいのですが遠慮しておきます」


「そうですか、残念です」


 エジムンドさんはそう言って、息を吐き、肩を落とす。


「まあ、それは本人が決めることだ、エジムンド。我々が口出しすべきものではない。この国は個人の自由を尊重しているのだからな」


「出過ぎた真似を申しました。お許し下さい、アルバート殿」


「ええ、構いませんよ。気にしてないですから」


 なんだかすごく腰の低い人だな。これがこの国の宰相とは、人として尊敬する。


 俺は素直にそう思った。


「まあ、前置きが長いのも癪だろう。で何をしにここへ来たのだ? 我は誰でもこの場へ通しはしない」


 陛下、絶対分かっていっているよね。


「先月話した叙爵の件についてです」


「そうか。して、返答は如何に?」


「私の両親と話した結果、受け入れることにしました。

しかし少しばかりお願いがございます」


 俺は陛下の目を捉え、確かな意思のもとそう言った。


「……申してみよ」


「まず一つ目です。前提条件として私は学生です。学業に支障の無い程度で貴族の責務を果たしたいと考えています。陛下は称号とおっしゃいましたが、爵位を冠される以上、それなりに責務は生じるはずです。次に二つ目です。自分は現在冒険者としての身分も持っています。叙爵された場合、冒険者を辞めなければならないと父から聞かされました。それについてお答えいただけませんでしょうか?」


 謁見の間は少しの間、静寂に包まれた。


 何秒、いや何十秒経ったかは分からないが、静寂な謁見の間に笑い声が響いた。


「はっはっはっ、はーっはっはっ! よくぞもうしたアルバート!」


「あ、はい」


 こういう時の対処法が分からず俺はそう言うことしかできなかった。


「よいよい。答えてやろう。まず一つ目のお願いからじゃ。自分の好きなようにすると良い。正直言って名誉騎士爵は仕事と言った仕事はない。次に二つ目だ。冒険者を辞めることはしなくて良い。確か5年前話していただろう。お主の夢なのだろう?」


 まさか陛下がそんな事を覚えてくれてくださるなんて。感激だ。


「ええ。正直始めたばかりだし辞めたくありません」


「まあ、お主の願いはここに聞き届けられたと言う事じゃ。他に願いはないか?」


「それではお言葉に甘えて後一つだけ。名誉騎士爵は領地を得ない代わりに家を贈られると聞いております。出来れば王都に家が欲しいです」


「よかろう。その願い、叶えてみせよう。エジムンド、すぐさま取り掛かれ」


「かしこまりました」


 エジムンドさんはそう言われた後、すぐさま謁見の間を出ていった。


「今後の予定について言っておく。アルバートならば知っているかも知れぬが叙爵は事前に王国中に知らされる。貴族の当主をこの王城に呼び、正式に式典を設けてそこで叙爵する。時期は追って伝える。我が伝えたいことは以上だ。何か聞きたいことはあるか?」


「特にございません」


「そうか、それではこれにて謁見を終了とする」



 そうして俺は謁見の間から出ていった。


★★★★★評価お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ