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2本目 ある灰かぶり姫の英雄譚

 おうじさまがいました。おうじさまはもうすぐ結婚することになっていました。


 うえからしたまで人々に祝福される結婚相手は、舞踏会で出会った運命の女性。


 じかんは短くとも過ごした瞬間に、おうじさまは恋に落ちたのです。


 さて、そんな女性には因縁の相手がおりました。


 まの森と呼ばれる恐ろしい森にすむ魔女です。魔女は世界で二番目に美しいのですが、一番美しい女性を恨んでいました。


 とても嫉妬深い魔女は、女性を殺そうと7つの毒りんごを女性の家に送りつけました。


 じょせいは警戒してりんごを食べませんでしたが、女性の妹が知らずに食べてしまい、食べた妹は眠ってしまいました。


 よるになっても目を覚まさない妹に、女性は気づきました。これは毒のせいだ、魔女のせいだ。


 せい水を飲まなければ毒は消せません。しかし女性の結婚式は7日後。せい水の泉は往復で6日かかってしまいます。


 いつも一緒だった妹に結婚式を祝ってほしい女性は、せい水の泉に向かうことにしました。


 はしる女性。街を抜け、橋を渡り、川を泳ぎ、3日かからずに泉に着きました。


 こんこんと湧き出る泉から、泉の女神さまが語りかけます。


「うすよごれた美女よ、あなたが落とした斧はこちらの金の斧?それとも銀の斧?」


 ふぶきになったかのように場が凍ります。


「くる人が減って、久しぶりの会話だったんです」


 なきながら、女神さまはそっとせい水を女性に渡しました。


 まぁいいか、と女性は女神さまをなぐさめてから再び走り出しました。


 いわを飛び越え、山を駆け上り、山賊三人を打ち倒し、灼熱の太陽に眩暈がしながらも走った。


 にんげんとは思えぬほどの速さで走り続け、途中で落ちたりんごを拾い、人を襲う狼を退治しました。


 ちかから湧く水をすすり、ついに妹の元に帰ってきた女性。


 をちかたからようやく戻った彼女は、泥だらけでした。でも、泉のせい水だけは、手放していませんでした。


「すまない、遅くなった」と言いながら、女性は妹にせい水を飲ませようとしました。しかし、弱った妹は飲むことができません。


「ごめん」と一言、女性は口移しでせい水を飲ませました。すると妹の体が光りはじめます。


 しみわたるように体全体が光った時、妹は目を覚ましました。


「まさか、ありがとうお姉さま」感謝する妹に、女性も笑顔がこぼれます。


「しごく天晴れだ!さすが我が妃!その愛に、私も加えてくれ!」おうじさまは2人に祝福のキスをしようとしました。当然、2人は怒ります。


 タコ殴りにされたおうじさまですが、女性は見捨てず、おうじさまは尻にしかれることになりました。

1本目と同じく各段落の最初の文字を上から順に読んでみて下さい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 基本一話完結だけど物語が繋がってる時もあるんですね! 更新楽しみにしてます!
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