一万五千七百三十周期
あれから一万五千周期もの時間が経過した。色々とイベントが発生し、休む暇すらなかった。嘘だけど。
イリとミール、紫は五千年ほど経過した頃に寿命を迎えて土へと還った。妖精種で五千年は前例がないらしく、生き神様になっていたが。二人の子孫に当たる者たちは今も俺の傘の中で暮らしている。
紫も次代への種を残して旅立った。今は進化を繰り返し、殆ど人種と変わらない姿へと変化している。というか、人種たちと手を取り合って暮らしている。
人種たちはあれから大戦や発明を繰り返し、魔工学を発展させ、今や宇宙へと飛び出す存在となった。この星すら楽に破壊できる力を得た訳だが、その様な事は起こすことは無い。
何故なら俺が居るから。
俺は星の守護者として祀られている。魔工学が発展し人々が外宇宙へと意識を向け始めた頃、大きな彗星がこの星へと直撃するイベントが発生した。俺は絞り上げた力をフル活用し、これを防ぐ事に成功。
ぶっちゃけて肉壁となっただけ。あれは死ぬかと思った。本気で。余りの質量爆撃によって地軸がずれたりと偉い事になったが、なんとかなった。まあ、そんなこんなで祀られている。
宇宙へ飛び出した皆は、この星を聖地としている。銀河系をまだ掌握できている訳では無いみたいだけど、そろそろ別の生命体を発見しそうな雰囲気だ。
どんな生物が居るのか楽しみだったりする。できれば友好的な種であって欲しい。
そうそう、一万周期とちょっとした頃、別次元からの侵攻があった。侵攻と呼べるものかは分からないが、どうも生命体の持つ力を吸い取って集めるのが目的だった様だ。気付くのが遅かったら皆喰われていたことだろう。
まあ俺は星ごと包むように菌糸を這わせてるから、すぐに分かった。そんなクズみたいな事をしてくれるヤツにはお仕置きが必要、と言う事で、転移元の世界を特定して逆侵攻をかけている真っ最中だ。
どうも何層もの世界を渡航して来ている様なので、追うのにまだまだ時間がかかりそうだが、力の流れを逆探知しているので逃す事は無い。掌握された世界、いや汚染された世界と言えばいいだろうか。その世界を元に戻す作業を行わないと、すぐ復活しやがるので困ったものである。
今は半自動的に修復するように仕込んだ菌類を送り出す方向で進めているが、時間が全然足りない。
まあ、いい暇つぶしにはなっているのでいいけどね。
あ、別世界では生物とは出会い済み。色々居る。世界を見るのが楽しい。
何れ別の世界の話でもまとめた本でも出そうかな。
おしまい
ここまでお読み頂きありがとうございました。
続編などは書くかは判りませんが、機会があればと存じます。
ちなみに本小説概要の≪生きのる≫は≪なまきのこる≫と読みます。




