一周期と二百五十五日目
バキューム屋始めました。
まあご想像の通り、アレを吸い取るヤツです。事の発端はいつだったか。ブツが出なくて困っているダークエルフのお姉さんが居た。余りに出ないので、そりゃもう顔色は悪く腹もパンパン。表情も苦痛に歪んでいた。このままでは死ぬ。縋る思いで俺の下へとやって来た様で。
アレを処理するのはちょっと・・・・と思ったが、流石に可哀そうなので、粘液なども動員して吸い出してあげた。どうも腸捻転が根本的な原因だったみたい。うまいこと戻して事なきを得たんだが。
その話が界隈に伝わって、専用コースが設けられるようになってしまいました。もうやだこの人たち。
余り利用されても気分が悪いので、貢献度ポイントを消費する事で利用できるようにしておいた。実施にはそれなりのポイントが必要なのだが、これまた需要が多い。
あ、ちなみにマッサージの特別コースも有料化した。余りに頻度が多く時間もかかるので仕方ない。意外にも不満は出なかった。当人達にとっても過剰サービスだったみたいだ。
男は知らん。一応座薬は作った。その名もサナダ茸。菌魔法で品種改良したキノコだ。もともとサナダムシ宜しく腸に寄生して腹から突き破ると言う恐ろしいキノコなのだが、これを弱体化。ウン君を喰ってくれる様にした。またある程度侵入しつつ成長する力も持っているので腸捻転にも効く事だろう。腸壁を突き破らないよう調整するのは難しかったが、最悪の場合、俺が外部から菌魔法で制御する事でその辺りをクリアできる。
話を戻して、うん詰まりに関しては、肉ばっか食ってるからそうなるんだと思う。とは言っても農場を作るにしても魔物が荒らしてしまうので早々作れない。最近は俺の菌糸網による囲い込みが功を奏して、農場の拡大も進んでいるが、開墾する必要があったりとまだまだ時間が必要だ。
食糧事情が改善すれば、詰まる事も減るんだろうけども。
ああ、吸い取ったブツはスライムの餌になってます。そのスライムを食って畜産魔物が育ち、それを皆が食べる。それってどうよ、と考える事もあるだろうが、元の世界でも野菜を育てるのに堆肥を使っていた。これは牛の糞などを藁などと混ぜて醗酵させたものだ。つまり野菜は元ウン○って訳さ!
ま、微生物が介入する事でウン○から堆肥に変わる。この世界でも同じ様な事はあるが、この場合スライムが介入する事でウン○が餌に変わっている訳だ。なので気にする必要は無い。
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そうそう。人族の軍勢に関してだが、触道への入口が発見された。近隣の街からかなりの人族が攻略すべく集まって来ている。目論見通り、妖精の清水モドキに利用価値がある事が分かり、確保すべく必死に攻略を進めている状態だ。
とは言っても一層目すら攻略できていないが。
ネムリ茸を踏んづけて小隊ごとご就寝コースとなる者が続出。そんな人からは装備一式、カネなども含めて奪取。入口付近の大部屋へ続くトンネル・・・まあ俺の菌糸管なんだが、これを通ってゲロリと吐き出される。
最低限の生活資金として奪った金の一部を返すようにしているが、余りに所持金が少ない場合は足したりもしているな。
そんな感じで追いはぎしまくっているんだが、性懲りも無く再挑戦し腐って面倒なことこの上ない。装備も殆ど補充できていないのに攻略なんて出来る訳無いだろうに。
まあ一層の浅いエリアには細い菌糸しか居ないのでナイフがあれば狩れなくもないが、先ほど話した各種キノコブラザーズの餌食になる訳で。どれだけ強欲なんだよと。
ちなみに入口付近の大部屋にある吐き出し口から逆走しようとしたバカは数えきれないほど居る。ただ、誰一人として帰って来て居ない事を理解した様で、そこからショートカットしようとする者は今や殆ど居ない。
逆走した場合どうなるか。ヌルヌルの菌糸管の下り坂に行きついたが最後、戻る事敵わず毒消化液プールへご招待となっている。
剣を突き刺せば耐えれるかもしれないが、滴る粘液が持ち手に着いたとたん耐えれずすべる事になる。ヌルヌルローションは日々研究を続けており、更なるヌルヌルを目指して精進している所だ。
この洞窟の近くに街を作ろうと画策された事もあったが、その都度、魔物の大軍がなぜか襲い掛かって来るので諦めたご様子。まあ嗾け(けしかけ)てるのは俺な訳だが。キノコの里の領域に勝手に街を作らせる訳にはいかんのだよ。イリ達はエルフ、獣人ももっと囲う必要があるあも知れないしな。
人族たちと言えば最下級民をしていた獣人たちの確保が難しくなった事により、代わりとして同族を奴隷化して利用するように変化した。またこの洞窟の吐き出す精水モドキを手に入れるべく、キリシトール教国軍が同盟軍を武力をもって排除。そして三竦みの泥沼戦争状態へ移った。なんともはや。
欲深い者同士、せいぜい潰しあって欲しい。
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今回はとある人族の冒険者集団の様子を観察したいと思う。男一人に女4人と言うハーレムパーティだ。もげろ!
まだ年若く、12~16と言った感じだろうか。触虫と出合ってはその手に持つ武器を使い、屠っていく。
『くらえっ!!これで20匹目だ!』
切り倒された触虫はゆっくりと地面へと溶ける様に吸い込まれていく。溶けた跡には透明なゼリーのようなものに包まれた玉が残った。人族からは虫玉と呼ばれている触虫のドロップ品だ。これを拾ってハーレム野郎の下へと駆け寄る少女たち。モゲロ!
虫玉を沢山手に入れれた。今夜はタップリと飲んで食べて、ゆっくりと休もうと笑顔を振りまくハーレム野郎。付き従う少女たちの顔が赤く染まる。モゲてしまえっ!
あんな若い少女達とニャンニャンするとは、なんたること。これは許される事でなない。よって妨害させて貰う事にした。
この洞窟は人族たちからは「人喰らいの魔窟」と呼ばれている。エルフ喰らいや獣人喰らいが住まうのでそう呼ばれるようになった。
最近は探索のために侵入する人間を喰らうので「人喰らい」と言う訳だ。
人喰らいの魔窟はある種の筋タブーが存在する。
一つ。入口付近の広場にある排出口と呼ばれる横穴に入ってはいけない。
一つ。壁を傷つけてはいけない。
一つ。色の付いたキノコが黄色の道には進まない。
一つ。大人数で固まって行動しない。
一つ。女性の要員を連れて行かない。
と言うモノだ。これらの禁を破った場合、仲間を失う事になると冒険者の間に伝えられている。ただ、このハーレムパーティはこの情報を仕入れる事無く魔窟へと直接やって来てしまった。魔窟へと進む際に、先人たちが何度も呼び止めたのだが、若いにしては実力が高いため天狗となった男は聞く耳持たず。そして侵入してしまい、俺に検知されてしまう事となった訳である。
『さあ、そろそろもういいだろう。帰ろうか』
と踵を返した時、ハーレムパーティは見てしまう。来た道が塞がり、帰り道が無い事を。周りから窄むように壁を隆起させ戻れなくした。少し、ほんの少しだけ穴を残してあげている。その穴から来た道を覗き見ることが出来る訳だ。
男は剣を取り、壁を必死に切りつける。傷ついた側から壁を動かし、傷を塞ぐ。焦っている焦ってる。
進むしかない。そう結論したパーティは道を歩く。その足取りは重く、全員の表情は優れない。どんどん奥へと進むと、周りの壁の様子が徐々に変化する。土や石で出来た壁の間に、赤黒くそして粘液のような物に包まれた肉質の何かが見える様になって来る。
更に進むと壁の約8割が肉質の何かに包まれた状態へと変化。周りの変化に皆気付いている様で、ブルブルと体を震わせている。
ふと女性の一人が後ろを振り向くと、そこには塞がった道。目を見開くと同時に仲間へと伝える。全員が振り向き、帰り道が塞がれている事を理解するとその場にへたり込んでしまった。
全員が気付いてしまったらしい。そう、この道自体が人喰らいの口の中であることに。
しかし俺は足を止めさせる事を許さない。塞いだ壁からじわりと粘液を染み出させる。それはゆっくりと流れ、一部がハーレム野郎のケツに付着。チリチリとした音と共に衣服が溶ける。
違和感に気付いた男が飛び上がり、状態を確認。そして絶句する。今まで歩いて来た道からとめどなく粘液が染み出て来る。そして溶け、痛みが走るケツ。戻れない。戻れば溶かされる。粘液を避けるため進むしかないパーティは我先に奥へと走り出す。
パーティの先頭を走っていた身軽な少女の姿が消える。気付いた時にはもう遅い。そこにはすり鉢状の広場、数多の触手らしきものがうごめき、中央には大きな穴が開いている。触手は手に持った明かりに照らされヌタヌタと輝く。その明かりもすぐさま手放してしまう事になったが。
この部屋はアリ地獄もとい触手地獄だ。特製ローションに足をとられ、すり鉢を滑るハーレムパーティ。響き渡る絶叫。なんとか逃れようと触手を掴むもヌルヌルかつ柔らかい触手は掴む事が出来ず。
ブラックホールへと落ちる恒星のようにすり鉢を円形に滑り、穴へと近付いていく。ちなみに上手く回りつつ穴に落ちる様、入口を外縁部に沿う形で配置してある。ルーレットの玉を入れる様な角度で侵入するように調整してあると言えば判りやすいだろうか?
デュルデュルと音を立てつつ滑り、そして一人、また一人と穴へと落ちて行く。
『きゃぁぁぁぁ』
『いやぁぁっ!いやぁああぁぁぁ?!』
最後はハーレム野郎が剣を刺してなんとか落ちる事を回避したが、触手によって持ち手にローションを塗り付けられ、一本、また一本と指を剥がされて最後は穴へと一直線に落ちて行った。
これにてハーレムパーティの殲滅が完了である。
ちなみにハーレムパーティは拘束した上で女性陣にはタップリと触手プレイを楽しんでもらった上でお帰り願った。期間はたったの1週間。食事睡眠付きの致せりつくせりコースだ。まあ俺を討伐するために来た訳だし罰としてしっかりと受け止めて貰う。ハーレム野郎に関しては拘束してその状態を延々と見てもらうと言う放置プレイを楽しんでもらった。涙して叫ぶ姿から察するに、大変満足してもらった様だ。
よきかな、よきかな。
あ、男は脱水症状の直前、だいたい三日くらい経過した時、衣服を全て溶かした上で先に排出口から返してあげた。一階の入口広場には多数の冒険者が準備のため屯っている。そんな中を素っ裸で滑り出て壁へとぶつかる男。それを見た周りの者たちは爆笑の渦。コメディアンへの転職をおすすめする次第だ。
触手プレイをたっぷりと楽しんでもらった女性陣は、拘留期間を終えた後、ちゃんと服を着せた上でお帰りしてもらった。
俺は紳士。変態と言う名のな!
お帰り願ってから2週間後、そこには魔窟へと懸命にトライする女性4名のパーティがあった。その容姿は皆美しい。肌は艶やかで髪は光輝く。女性のみのパーティとは思えない、そう男のみのパーティを超える虫玉を手に入れて帰って来る。武器らしい物を持っていないにも関わらず虫玉を手に入れて来るため、その秘密を知ろうと後をつける者が後を絶たないが、なぜか見失ってしまうのだ。
そしてポツポツとであるが、女性のみで構成されたパーティが増えて行く。男たちはみな不思議に思っているが、何を聞いてもふわりと笑顔で濁される。
ある街の酒場。元冒険者の男はこう語ったと言う。
女喰らいの魔窟と。




