一周期と百三日目
時は加速する。はい、キノコ野郎です。各地にて治療を行っていた花妖精たちも意識が戻った。しばらく保護し問題ないかを判断する。そして順次開放していく。まあ団体全員を一気に解放して安全性を高めてはいるが。
各自生まれ故郷へと旅立って行くが、しばらくすると帰って来る妖精がちらほら。
一応、何かあった時のための受け皿として簡易キノコは残してある。でだ。無理やり中に入って来ようとする子たちが結構いる。どうも保護していた頃の記憶はちゃんとあって、精蜜が欲しいご様子。
ちょっとだけ与えてあげたりしていたが、しばらくすると食べ物などを持ってくるようになった。触手に体を擦り付けて来る子も中に居たり。と言うことで、そう言った事をお望みの方々のために専用スペースを設ける方針に変更してみた。
貢物投入エリア。言うなれば口。
清水提供エリア。またの名をマッサージルーム。個人用の小部屋、複数プレイに対応した大部屋も完備。
養生エリア。薬効的効果からぽかぽかと温まる触手湯治場や、大怪我の際にどっぷりと薬液に浸かれる触手治癒池など。
談笑エリア。寝台や味の違う美味しい蜜などを各種提供。
致せりつくせりである。かなり好評の様で、花妖精たちがこぞって訪れる。助けた妖精から口伝で伝わる秘境となっている様子。
この辺りの区分けなどは本体へもフィードバック済み。定期的にお付きの妖精たちもご利用なさっております。
現地の簡易キノコでは最初は混乱するので触手で誘導して理解してもらう。あとは自ら選択して動いてくれるので楽だ。本格的に妖精を誑し込んで生きる魔物になっているような気がする。まあ今更か。
イリ達のお付き妖精たちは、働きによってはイリから卵を託してもらうと言う事になった様で、かなり精力的に活動している。なにやらイリを頂点としたコロニーを形成し始めている様に思える。ちなみにイリの子同士で子を作っても大丈夫なのかと聞いてみたが、特に問題は無いらしい。むしろ出来た子に親が卵を託すのが殆どだとか。遺伝子とかどうなってんだ?
イリが出す卵には遺伝的なモノが含まれていないと言う事だろうか。それなら納得ではあるが。
考えて見れば元の妖精の里も族長が卵を託してたな。それで種として存続できて居た訳だし問題ないのか。花妖精は遺伝的には同一個体なのかもしれないな。
まあいい。花妖精が増えてくれれば俺も助かるし。しかし魔物を狩る量が増えすぎると問題だ。生態系が崩れる可能性がある。と言う事をイリとミールに話しておいた。あまり狩り過ぎないようにとお付き妖精たちにも通達された様だ。
頭が良いミールは、魔物を増やせないかを考え始めている。そう畜産だ。どうすれば魔物を安定して飼えるか悩んでいる様だったので、まず魔物の選別。育てやすさ、必要なエサなど調査をしてみてはどうかと伝える。
キラッキラした尊敬の目を向けて来るミール。何度受けてもこそばゆい視線だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そうそう。勇者様(笑)がお亡くなりになった後、4色のエルフたちがキノコの森へとやって来た。どうやって場所を知ったのか良くわからないが、多分人間の動向を知る術を持っているんだろう。
俺では会話できないので、今回はイリに仲立ちして貰う事にする。
ズゴゴゴ
と音を立てつつデカい菌糸虫を地面から這い出させる。ビビるエルフ。ただ俺の姿を見たことがあるのに気が付いた様で、仰々しく傅かれた。口の中にはイリに待機してもらい、顔を出して貰う。
目を見開いて驚いているエルフたち。そして話し合いを開始。エルフとは話せるらしい。
要約するとこんな感じだった。
助けてくれた事に対する感謝。また出来る限りの事はするので、俺の庇護下に入れて欲しい。と言う事だった様だ。イリも少し前まで同じ境遇だった事もあり、真剣に話を聞き、また話し合った。
最終的には庇護下に入れる方針で決着。エルフ達の居る大森林に俺の分体、簡易版ではないキノコだな。これを配置する方向で話がまとまる。またイリ達、つまり花妖精は自らの体を俺に差し出すことで庇護下に入れて貰っている事を伝える。ちょっと言い方をもう少し変えれなかったのかとツッコミたかったが、概ね間違っても居ないので黙殺。
で、そちらは何を差し出すのか?
と確認した所、エルフ達も同じような事をすることに。
まあ、嬉しいっちゃあ嬉しいんだが。問題は俺が利用できる何かを得られるかどうかだ。なので調べさせて欲しいと伝えた所、赤髪のキリっとしたお姉さんが自ら志願。体液の採取やらを色々とさせてもらった。頭からバックリと触虫に喰われ様はかなりキたようで、同行していたエルフたちが大いに狼狽していた。
どうもエルフは、どこ・・・とは詳しくは語らないが、ある種の極地に達すると、大量の魔力を放出する事が判明。
なので、それを頂くことにする。まあイリ達と変わらずマッサージするだけなのだが。エルフ達の体調などを見つつ頂く事になった。
あとは血液は余り意味が無さそう。体液も微妙。老廃物に関してはイリ達とは違い全く役に立たない事が分かった。まあ予想はしていたが、花妖精たちとは根本的に違う様で、オッキい方はウン君だった。ノーサンキューである。
ちなみにイリ達花妖精のオッキい方は透明なゼリーです。しかもかなり甘く魔素も豊富。
排泄物をどうしてるのか聞いたところ、専用スペースにて飼っているスライムに処理してもらっているとの事。またスライムは魔物にとっての草、つまり食物連鎖の最下位に当たる生き物だそうだ。これって魔物の畜産化に使えるんじゃね?
と言う事で早速ミールへ伝えておく。
最終的にはエルフの排泄物も俺が回収する事になるのかもしれない。当初とは違い、今は舌管しか味を感じないので問題ないんだが、精神的にちょっと躊躇してしまう。最低限ヤロウ共とは分けて貰う事になるだろう。
とりあえず暫くの間は、4色エルフ達に人身御供となって貰う事になった。この4色エルフっ娘たちはエルフの中でも強力な固体だそうで、保有魔力は随一らしい。つまり美味しい贄な訳だ。大量の魔素、ゲットだぜ!
細かい事はエルフの族長会議で決定して貰う。それをまた伝えて貰う事になった。
ああ、魔素提供に関しては野郎は除外してもらっています。ヤロウにマッサージなんてする気は無い!
これは精神的な事もあるが、オスとメスで体の構成が違うのも要因の一つだ。オスは力が強く魔素が少ない。メスは力が弱く魔素が多い。これはどの種族にも総じて言える事だそうで。魔力による筋力強化などは筋肉の量に比例して強化される。よって大概はオスの方が発揮される力は大きい。
しかし強化の際に使用する魔力量にも比例する。総じてオスとメスでほぼ同じ力を発揮できるらしい。ただ、持久力な面ではオスに軍配が上がる様だが。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
エルフ族長会議によって詳細が決まった。魔素を提供するのは志願制としてもらう。まあイリ達から得る魔素でも十分やりくり出来ているので問題ない。また各地の助けた花妖精たちからもかなりの提供を受けているのもあるからな。
余りに若いエルフは体の成長に影響がある可能性が否めないので、両親の同意を得た上での志願となった。
得た魔素量に従って治療薬など各種薬品を提供する事にした。薬品の生成はそれほど魔力も必要ないので問題ない。実際の物質を製造するのは俺の菌魔法で操作された細菌たちだ。応用の幅が広くて使い勝手が良すぎるな。そんな訳で薬毒生成の技能を利用するより低コストで大量生産が可能となっている。
また各種病気の治療薬なども提供していく。これには調査が必要となるが追々拡充していけるだろう。
エルフ側は余りの好待遇に恐縮しっぱなしの様だが、俺にとっては魔素はどれほどあっても損は無い重要な資源。
これを安定して提供して貰えるなら、飴をいくらでも出す所存だ。
まあ持ちつ持たれつの精神だな。一方的な搾取は何も生まないのだよ。
こうなるとヤロウ共に不満が出る。よって貢物を貰えれば同じように薬等を提供する様にした。
食べる事も難しい害獣や、ゴミにしかならない木を枯らす寄生植物でも問題ない。内部に保有する魔素量によって貢献度を決定する。そう、正にゴミが資源となる訳だ。
となると貢献度を管理する方法が必要となる。異世界で定番のギルドカードもといキノコカードを作成する事に。
小さい分体をカード状に形成し、各種情報を記録できるようにしてみた。書き換えは本体であるオレしか出来ない。真っ二つに千切った場合も時間が経てば再生する。持ち主が放出する魔素を吸収。その辺のゴミなどを糧に生きるようにした。まあ成長する必要も無い訳で、殆ど栄養は要らない。定期的に本体へと持ち込んでもらえれば栄養補充も出来る。
そうか、栄養をカード内部で貯めれる様にすればいい。ナイスアイディア。有効期限は1周期としよう。
個人特定はどうするか考えたが、薬毒生成の技能を利用したDNA鑑定を利用する事に。とは言ってもまだ正確に行う事が出来ないが、利用人数が増えてくれば技能が成長するはず。そうすればより正確な判定が出来るだろう。
まだその域まで至っていないので、無くさない様に注意して貰う事にする。
と思ったが、菌魔法を使ってDNAやら魔素パターンやらを上手く取り込んで生きるキノコを作ればいいんじゃね?
と、ふと思いく。うむ、なんとなく上手く行っている。個人ごとに色を変える様に色茸も適度に組み込んでおく。
他人が持っても反応しないなど、簡単な機能を組み込んだ。うむ、なんとかなりそうだ。
貢献度ポイントのレート決定などに苦慮したが、日が経つにつれ安定化。男女でも不満がでない域に到達する事が出来た。まあ基本的に女性優遇です。これは俺の方針。ヤロウ共は汗水垂らして働くものさ。
中には突っかかって来る野郎共も居たが、4色エルフ経由で警告を出して貰っている。余りに酷いなら庇護しないと伝えると、4色エルフたちは顔が真っ青になった。ダークエルフは肌の色の特性上いまいち分からなかったが。
あ、4色エルフっ娘たちの貢献度が偉い事になったので、イリ同意の下、意志疎通を許可されている。
まあ、本体と分体の距離もあるし即時対応するには話が出来る相手が居ないといけないのもあったので仕方ない面もあったが。
エルフっ娘たちだが、庇護下に入る契約の後、代わる代わるでオレのマッサージを受けて魔素の提供をしてもらった。イリ達花妖精に対して毎日の様に実践してきたマッサージはもはや技能と言っても過言では無い。そんなマッサージを受けてしまえばどうなるか。
言わなくても分かるだろう。とても、とても具合が宜しかったようで。
青髪のロリっ子に至ってはローテーションを無視してでもマッサージルームへ入り浸ろうとする始末だ。魔素放出は適度な倦怠感をもたらす。まあキツめのマラソンを走った後の様な感じらしいが。そんな事が毎日続けば体にいいはずがない。もう少し控えて欲しい所なんだが・・・なんと言うか、元の世界では小さい人はエロいと言う俗説があるが、この世界でも当てはまるのかもしれない。
そんな事を考えていた時期が俺にもありました。
青髪ぺたん娘がマッサージに足蹴に通う理由は後日話を聞いた際に発覚した。マッサージによるナニな感覚も要因の一つでしかなく、本質は別にある。
マッサージは俺が生成した薬液ローションを使った言うなれば全身エステだ。日々の活動ですり切れた手。生活の糧を得るために森を飛び回り、出来た擦り傷。碌に手入れされずに色あせた頭髪。魔物との戦闘で負った大きな傷など。
これら女性の敵ともいえる事が回復させることが出来る。大きな傷は時間がかかるが、女性陣にとっては正に福音。
四色エルフっ娘達も、全身エステ後の姿を見て唖然としていた。肌に張りが出て艶やかに光る。髪は光を受けて天使の輪を作る。
それ以来、かなりの頻度で通うようになってくれた。男は知らん。自分で洗ってくれ。薬品はお安く提供しております。
でだ。話を戻すと青髪のロリっ子が過度に通う理由はまた別。それは全身エステによる豊胸効果である。エルフ達は元来、慎ましい胸で有名だが、この世界でも言うに及ばずその特性を引き継いでいた。特に青髪エルフっ娘に関してはそれはもう酷い状態で、もはや絶壁。むしろ凹んでいるのではと言った状態だった。年齢は他の4色エルフ達とそれほど変わらないにも関わらずだ。
低身長は仕方ないが、胸まで無いのは相当コンプレックスだった様で。そんな時、俺のエステを受けた所、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ大きくなったらしい。俺からすると、誤差なんじゃないかとしか思えないんだが、本人からすると衝撃的だったと。
しかし日が経つにつれ、俺にも判るほどの効果が見られたのだ。確かに当初は無乳だった。今ではうっすらとだが厚みが出ている。意志疎通を経由して俺にその事を感謝と共に伝えてきたとき、彼女は本気で泣いていた。
それと合わせて胸を重点的にエステして欲しいと言われたので、ティンと来た。
マッサージのコースをある程度選べるようにすればいいんじゃね?
なので文字を教えてもらい、コースを選べるように絵と文字を組み合わせたタッチパネルモドキを設置。好みに合わせたマッサージを選択できるようにしたところ、大ヒット。豊胸マッサージコースは今や選択されない日は無いほどの盛況ぶりである。
蒼髪エルフっ娘と同様にナイチチで悩んでいた人はかなりいた。爆乳が多いダークエルフはコース選択出来ない様にして欲しいと言う要望がかなりあったが無視している。俺は公平を貫きたい。他意は無い!
ああ、ちなみに同じく解放されてエルフと共に生活している獣人の人たちも参加してもらっています。フサフサの尻尾がツヤツヤになるのが嬉しいらしく、これまた良く利用してもらっております。
保有魔力量としてはエルフには到底及ばないものの、エルフと比べると人数が多いので得られる魔素はエルフといい勝負をしている。
しかし花妖精は圧倒的だ。個体数が少ないにも関わらずエルフ達を超える量を提供してくれている。まあそう言う種族なんだろう。
蒼髪エルフっ娘の目付きが変わりつつあるなぁとか思いつつエステする日々だ。




