四百日目
祝、一年・・・じゃない、こっち風に言えば祝、一周期経過!
この世界に来て400日ですよ旦那。人間サイドは今、大混乱に陥っている。最下層かつ労働力を担っていた獣人たちの全消失。また魔法要員を担っていた奴隷エルフたちの消失の損害は計り知れない。
ちなみに人間は精霊魔法を使えない。強欲な者には精霊が力を貸さないからな。
獣人の村を襲い、補充するもすぐさま喰らわれ居なくなる。
下層民を奪った獣人喰らい、エルフ喰らい改め奴隷喰らいの討伐の機運が高まった。その流れに乗って三国が決起する。大軍を持って奴隷喰らいを討伐する事を発表。大歓声に包まれる各都市。
こっちは洞穴を造成中。奥へ行くともう死ぬしかないよね、ってレベルのトラップの嵐になっている。
まず下層は殆どが魔法が使えない。いや人間だって魔力は持っている。元から精霊魔法は使えないが肉体的強化は可能らしい。これを阻害できる。ある程度だけど。
で、三角木馬ならぬ三角足場。時にはのぼり、時には下がり。落ちれば毒液に加え尖った金属の棘とご対面。
粘液の中を延々と歩き、最後は潜ると言う粘液の道。
武器防具なんて関係ない。食べ物も即座に腐らせる腐れ迷路。
その他諸々。準備は順調。入口も近隣の街から中心に向かう一直線上かつオレンジ領域の奥近くに配置。それとなく誘導するようキノコさんたちを配置してあるので大丈夫だろう。
あと、囚われの花妖精4名の意識がほぼ完全に治った。問診など、まあ医者じゃないので気持ち悪い所はないか、とかしか聞いていないが、確認した上で元の里へと帰って貰う事に。向うでは家族のご対面となり感動の再会をとなった様で。
ついでに安全な子作り方法も伝えた。ミールの子の状態も安定している。問題無いだろうと判断した。
とまあそんな日々を送る。おれの菌糸虫モドキ討伐はまだまだ先になりそうな感じなので、のほほんと待っている。病原菌でも撒いて中止にしようかと思ったが、このままでは永遠に花妖精が狙われる。と言う事で一計を企てて見た。
簡単に言えば、妖精汁・・・イリさん、舌を叩かないでください!
妖精の老廃物改め清水の互換物質の作成および配布。妖精を狩る必要がなくなれば妖精は安全になる。と言った具合だ。
妖精の聖水の互換液は俺の薬毒生成にて可能だった。いや、可能になったと言うべきかもしれないが。とりあえず効果は清水に比べて弱いが、人間達が使う分には十分な性能お発揮する事だろう。で、これら清水を落とすのが、俺の触手モドキ達。
そしてそれらは俺の作った洞穴、まあぶっちゃけて食道もとい触道で触虫を倒せばもれなくゲット、と言う事になる。
あれだなダンジョン経営ってやつだ。
ダンジョンの原資は押し寄せる人たちが放つ魔力。そして大変残念なことにお亡くなりになった方々が原料となります。自分たちが欲するもののために自分たちの命を捧げる。なんと言う素晴らしい世界。
上手く行くか分からんけどね。とりあえず何もしないよりはいいだろう。これで妖精たちが安全になるなら問題無かろう。
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数日後、里へ戻っていた妖精たちが俺の下へ戻って来た。イリ達経由で理由を聞くと、どうも助けて貰ったお礼がしたい。との事だ。イリ同様に意志疎通の魔法を使ってもらおうかと思ったが、イリが良しとしなった。どうやら嫉妬らしい。
なので直接の会話はイリとミールのみ。あとはイリ達経由で話を通すことに。
で、いきなり触手マッサージをご所望された。戻って来た理由ってコレじゃね?
まあ俺としても魔素を得られる訳で問題無いんだが。マッサージは楽しいしな!
妖精の清水の対価として精蜜を提供する事にする。イリ達の食すモノより数ランク下の物になるが、そのクオリティはそこらの花から得られる物では無いらしく、それでも大変喜ばれた。
付近の警戒や魔物を狩って俺へと捧げるのを主務として貰う事にする。あとは妖精たちの食糧の調査等も手伝ってもらう。
まあイリ達の作業要員だな。これで色々と捗る事だろう。
忠誠度や貢献度によってはイリの御手付きに・・・と言う話らしい。どうもイリ達の持つ力が膨大なものになった結果、かなり魅力的な存在に見える様で。モテモテですか、そうですか。
子育て中のミールも最近落ち着いたからか、イリとアツアツな事を再開している。里の妖精たちに対して子作り実演みたいな事をしているためか、見られるのが良いらしく。どんどん変態していっているな。うむ。
その作業の手伝いをしている新人4人は溜まる一方。そんな状態に耐えれる訳も無く、この前4人が一つに、と言うとても眼福な事態に。イリ達が参加するのも時間の問題かもしれない。
そうそう、赤子フェロモンも特定できた。他の拠点で養生している妖精たちにも嗅がせた結果、改善がみられるように。暫くすれば理性もはっきりしてくるだろう。意識が戻れば当人同士で話もするだろうし、そうすれば解放しようと思っている。
実に順調である。




