二百六十三日目
ミールのお腹がかなり大きくなった。当社比で直径3倍といった所だろうか。今のところ順調に遷移している模様。また、あれから俺は更に大きくなった。直径は約4mほどだろうか。なんかもうキノコじゃないね。でかいスライムって感じですな。
その後、更に17名の花妖精の奪還に成功。各地に配備した簡易キノコにて養生中だ。特に問題は起こっていない。栄養満点の蜜を食べ、妖精たちの肌艶は良くなっている。最初はなすがまま。でもしばらくすると、蜜を与えれば舐め取ってくれる。
理性は戻っていないが、本能的な反応が見られるので大きな前進だ。
何度も妖精を奪取した結果、俺の作った退路管は人間の間で「妖精喰らい」と呼ばれる存在になったらしい。どれだけ強固な防衛を行っても、中に入られて妖精を喰われる。花妖精の老廃物で儲けていた者たちからすると恐怖の代名詞となりつつある様で。
一回、すべて金属で囲われた部屋に閉じ込められていた事があったが、どうやっても妖精が出すブツを取る必要がある。また食糧となる蜜を補充する必要がある訳で。
そんなときに大量の妖精喰らいが出現し、粘液でヌタヌタにされてにっちもさっちも行かなくなった状態にされて、まんまと妖精を喰らわれた商人が居た。莫大な金をかけて作った部屋が無駄となり、茫然自失となったのが笑えたな。
いやはや、本当にあれは楽しかった。護衛は立つ事すらできず、生まれたての鹿状態。武器もつかめない。ヌルヌルローションプレイ。すばらしい効果だ。ちなみに商館全体がヌルヌルになりました。
でだ。これ以上妖精を失うと、高級治療薬が作れない訳で。加えて花妖精たちに芋蜜の製造技術が広く伝搬した結果、防衛に力を割くように行動が変化。最近は花妖精を捕まえる事がとんでもなく難しくなっている様子。
焦った国は大規模な妖精狩りを決行。軍を派遣するとの情報を得た。まあ情報元は俺なんだが。
派遣元はカスペール帝国。その側に鬱蒼と茂るカスペール大森林への侵攻。700kmほど離れているので人員を送る訳にもいかず。どうしたものか。
でだ。もうぶっちゃけキャパシティオーバーなんですよ。範囲が広すぎて、情報が処理しきれないの。
面倒臭いので、軍の後方支援物資に疫病菌を植え付けて見た。菌自体はどこにでも居るありふれた菌だが、一定量を超えると嘔吐、腹痛、発熱、そして下痢を起こす。結構長期にわたって。
さあ、帝都よ。動員数1万の軍人が織り成す下痢便祭りを楽しむがいい!
と言うことで侵攻の阻止に成功しました。
『なにやってるのよあなた・・・』
なにを!?
花妖精が襲われないよう効率的な方法で軍の侵攻を止めたんですよ!
呆れられる結われは無いはずだ!
『そうじゃなくて・・・楽しんでるでしょ?』
はい。すごく楽しかったです。帝都の惨状を見て欲しかった。もうね、溢れてるのよアレが。そして疫病が疫病を呼んで大混乱ですよ。そこに来て、誰が流したか知らないけど噂が噂を呼んで尾ひれがついて帝都を駆け巡る訳で。そうこんな感じに。
『病気に初めてなったヤツは軍人らしい。』
『疫病は軍が持ってきた。軍が来なかったらこんな事にはならなかった!』
で、市民は軍を集めた皇帝様に激オコな訳で。暴動を抑えようにも下半身がゆるゆるの軍人ではどうにもできず、今や修羅の国と化していますぜ。へへへっ。
『はー・・・あなたなら、人間を滅ぼす事も簡単そうね。』
まあ頑張ればなんとか。でも俺の力が及ばない様な超人は何人も居る。現に疫病の中でもピンピンしてる女騎士とか居るしね。ありゃあ相当高レベルなんだろうね。人間は悪いかもしれないけどさ、命を奪うのは良い事ではない。自然に任せるのが一番だろう。
藪を突いたら竜が出たなんて事もありえるのがこの世界。疫病と言っても死ぬ事は殆どない。下痢が続くだけ。
ちなみに混乱に乗じて帝国へ攻め入ろうとするバカな国々は同じ疫病をプレゼンツしてあげた。
帝国の下痢便祭りは世界へと羽ばたく!
『でも、私たちのためにそこまでしてくれてるのよね。』
うむ。感謝するが良い。まあその辺は持ちつ持たれつってやつですな。奪還した花妖精の皆さんからも毎日の様に素晴らしい魔素を提供して貰ってる。お蔭でココの防衛も、菌糸網の拡張も出来る。みんなが居なければ干上がってます。
『そう言って貰えると助かるわ。ずっと頼ってばかりな気がして辛かったの。』
こんなキノコと共に歩んでくれるだけでも十分ですはい。イリもミールも、あとみんな可愛らしいしな。役得である。
『キノコが私たち妖精を可愛いなんて、本当に変。じゃあ可愛い私から、いつものアレを捧げさせて貰うわね?』
イリの出すアレは格別である。魔素的な意味も込めて美味しく頂きました。
一番最初に奪取した妖精たちも連日マッサージを行っている訳だが、最近反応が見られる。目にもうっすらと光が灯っている気が。良い傾向だ。あと何か一つハマる何かがあれば覚醒する様な気がしている。
今日も大量の魔素をゲット。花妖精との共生がこんな事になるとはなぁ。世の中どうなるか分からんもんですな。
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最近ご無沙汰なミールにソフトマッサージをしつつ過ごしていると、新しい街へと菌糸が到達した模様。あ、ミールさん大きくなりましたね。胸が。準備万端なご様子で。
話を戻して、街の中央には白亜に塗られた神殿みたいなのが見えるな。街中の掌握を開始。情報をまとめると宗教国家、その名もキリシトール。どこの甘味料なのかと。
キリシトール教国は一神教で、主神キリシトールを祀る宗教。キリシトールが人間を作った。人間以外はすべてゴミ。と言った、まあテンプレな宗教のご様子。帝国でも奴隷は居たが人間、獣人など関係なく居た。まあ獣人の方が比率は高かったが。キリシトールでは獣人は奴隷階級として制定している様だ。周りの獣人の集落を襲っては奴隷にしていると。なんと業の深い。
奴隷には隷属魔法が用いられる。この魔法の秘儀を持つのがキリシトール教国、と言う事らしい。神の御業とか言ってるらしいが、古代魔法技術でも手に入れたんだろう。白亜の神殿内部を漁っていくと、居るわ居るわ、大量の花妖精。どんだけだよ。ざっと50か?
隷属魔法では縛ってないのか?
いくら時間が経てば理性を失うと言っても・・・何か理由があるみたいだが。
しかし、これまた大量に集めたもんだな。さてどうするか。もう神殿ごと潰すのも手なんだが・・・あ、教皇らしき人物発見。そして周りを固める四人。
一人目、金髪の金目。テンプレ勇者様と言った出で立ち。なんか赤い鞘に入った剣をお持ちで。
二人目、青髪のロリっ子。耳が長いな。エルフ?
三人目、緑髪の貧乳。これまた耳が長い。
四人目、黄土髪の爆乳。健康的に焼けた色黒の肌。これまた耳が長い。ダークエルフか?
テンプレハーレムパーティか。これは金髪野郎はブッコロ決定だな。なんかエルフの傍らに浮かぶ人型の何か。精霊っすか。人型とか初めて見たわ。あれだろ、テンプレ宜しく上位精霊ってヤツなんだろ。
でも精霊って同族殺しをするような者には従わないと聞いたんだが、獣人とかは同族じゃないからセーフなのかね?
精霊は俺から逃げる傾向がある。まあ魔素吸収が原因なんだが。魔素吸収が働くのは本体の場合、体表から1mほど。それを超えると一気に効果が減衰する。磁力線みたいなもんか?
周りから魔素を吸わなくても花妖精の皆さんから頂くアレで賄えているんで、まったく吸ってない。魔物肉を頂く時も吸ってるけど、妖精のアレに比べたら雀の涙。
とりあえずナニ話してんだろ。暫く情報収集と行きますかね。
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うーん、まとめると、この大陸にある国は大きなものが3つ。ココと帝国と王国。あとは小国が適度に。キノコの里に一番近い近隣の街は王国所属と。で、3国に捕まっている花妖精はこの国を除くと殆ど残っていないみたいだな。
あとどうも精霊はエルフと契約を行っているご様子。で、エルフは隷属魔法で縛ってると。もうエルフたちの目から光が消えてる。逃げる事も出来ず使われる日々って所だろうか。
金髪のハーレム勇者は人間で本当に勇者らしい。とは言っても教皇が認めた勇者って事みたいだが。勇者には絶大な権限が与えられ、ほぼ何をしてもいいみたいだな。街中の人を切り捨てるのも余裕。ただそれをすると市民感情が宜しく無いので、控えていると。
そう、控えてるだけ。昨夜はお楽しみでしたね、状態だ。
なんだかなぁ。私たちが考える正義が正しい。We Can Do It!
とか聞こえてきそうだ。
でだ。問題なのがどうしてそんな奴が俺たちの住むキノコの里に来る事になっているのと。
どこで情報が漏れたんだ?
精霊・・・精霊か!?
調べて見ると答えは単純。会議室みたいなところに地図があった。妖精喰らいが発生した順を地図へ落とし込むと、綺麗に円形になり、中央に俺たちの場所がある。と言うのが一発で判る。まったく考えてなかったわ。
で、変なキノコが守る領域があると言う情報を加えれば、導き出される答えは一つ。妖精喰らいの巣、または妖精に関する何かがある。と言う結論に至った。まあそうなるわな。
冒険者の大隊が侵攻に失敗した情報もふまえ、少数精鋭で突破を試みると。で、その人員として勇者(笑)とその奴隷エルフが向かう予定っと。危なかった。この情報を知らなかったらなにも対策が取れないまま、防衛網を突破されていたかもしれない。
早急にこの四人組の情報を集めねば。今回はヤバいかもしれん。
なんてな。まあ大丈夫だろう。




