表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/60

閑話ーー2年前の話裏

今日2本目です

一応姉視点なのでサブタイトルには裏と表記してます

未音視点の2年前





「へぇ、ここが新しく出来たショッピングモールなのか」


最近オープンしたショッピングモールを見て弟の和樹が感嘆していた。

確かにかなり立派なところよね。

私が少しゆっくり歩いているのに対しては和樹は少し早足で中に入っていった。それを見て私も少し早足でなるのだった。



中に入り中を見て回る。気になるところが沢山あるから自然と足が速くなる。そうなると母さん達と距離が開いてしまうから一応声を掛けておく。


「ちょっと、遅い!」


「未音が早いのよ」


そんなの言われなくてもわかってるわよ。だけどやっぱり気になるのよね。

ほんの少しスピードを落としたから距離が開くことはないと思うけど...なんて考えてたら和樹が丁度間になるような位置に付いた。多分先に行く私を心配してくれてるのかな?だとしたら嬉しいななんて私は思っていた。




午前中は何処かの店に寄るたりはしたけど何か買うわけでもなく、お昼になったのでフードエリアに移動した。有名な店もあったりしたけど私の好きな物を食べれてとても上機嫌になっていた。

私自身少し現金だなとは少し思ってしまった。




「今から行くのよね?」


「そうね、和樹のテニスの道具なんかを見たいしね」


お昼の予定をお母さんから聞き私は一足早くその用品店に向かった。

中に入る時に1人の女性とすれ違った。高校生ぐらいかな?なんだか凄く切羽詰まった感じがあったけど...

私は特に気にせず中に入った。


少し進むと商品棚の陰から女性店員が倒れこむ様に出てきた。そしてその後から1人の男性ーー高校生ぐらいの人が出てきた。だけどその男性の手には金属バットが握られていた。

その男性の視線と私の視線が合う。その目を見た瞬間私は一歩後ろに下がっていた。

白目のところは何かのせいか充血していた。そして目には意志などみじんも感じなかった。


男性が一歩こっちに来る。私も下がろうとするが腰が抜けたのか尻もちをついてしまう。

そうしている内に距離が縮まり...バットを振りかぶる。私は瞬きすら出来なかった。けど...気が付けば和樹が私の前に守る様に立ち塞がっていた。それを見た私の中の何かがドクンと音を立てた気がした。


和樹は腕をクロスにして受けようとするが右肘あたりに当たったのが見えた。


「うぉっら!」


「ぐぉ!?」


だけど和樹はその男性にタックルを食らわせていた。男性はモロに当たって吹き飛ばす様な形になった。私は和樹から目が離せなかった。とてもカッコいいと思った。

そんな風に見ていると和樹が右肘を抑えていて思わず声を掛けてしまう。


「か、和樹...大...丈夫?」


「あはは、まぁなんとーーッ!」


「和樹!」


多分大丈夫って言おうとしてたのだろうけど痛みが先に来たらしく、顔を顰めている。

私は考えるより先に和樹の元に向かった。少し涙が出てきちゃった。


それから和樹はとりあえずという事で救急車に乗って病院に向かっていった。






1日経って私は和樹のいる病院の病室に来ていた。


「本当に大丈夫なの?」


「まぁ、なんとかね」


私が心配して聞いてるのにはぐらかす様な言い方をされる。別に無理して聞き出す気はないけど...

あ、そうだった


「にしてもあの犯人?覚せい剤の副作用の幻覚が見えていたって本当なの?」


「そうみたいだよ。何かと1番の怪我人が俺っぽいし知っとく権利はあるみたい」


ならあの目も納得がいくわね。


「一応明日には帰っていいって言われてるから心配しないで」


私、いつの間にか暗い顔でもしてたのかしら?まぁ、ここに長居するわけにもいけないからここは帰る方がいいかな?


「...うん、分かった。今日のところはもう帰るわね」


そう言い残し私は病室を後にした。






「やっぱり...辛いものは辛いよ....」


途中で財布を忘れた事に気が付いた私が取りに戻ってきた時に聞こえてきた和樹の言葉。その声にとても悲しいものを感じて私はドアを勢いよく開ける。

和樹は俯いていて開けるのと同時に顔を上げるが関係ない。私は和樹を”守る”様に抱きしめる。


「姉...さん?」


「辛いのなら泣いちゃえばいいんだよ」


私のその言葉を皮切りに和樹は泣いていた。

どれくらいしたかは忘れたぐらいになると、泣き疲れたのか和樹は私に身を預けてとてもリラックスしていた。そして和樹が目を閉じて寝た様な雰囲気をだしていたのから...


「今度は、私が守って...幸せにしてあげるからね」


私はそっと和樹の耳元でそう囁いた。

和樹から帰ってきたのは安らかな息づかいだけだった。

2年前は少しだけブラコン気味だった感じですね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ