№8 アメリア城のお風呂にズームイン
ズームイン。
「しっかし、この世界の風呂は、どこも温泉みたいにバカでかいなあ。慣れないよ」
康治はアメリア城の大理石のお風呂に入っている。
周りを見渡し思わず、独り言を呟いた。
「そうですねー。私の村にもこんなに大きなお風呂はありませんでした」
脱衣所からポランの声がする。
「!」
「お邪魔しまーす」
ポランはタオル一枚、身体に巻いて、康治の隣に入る。
「なっ、メロンたん」
「いいじゃないですか、減るもんじゃないし。裸の付き合いですよ・・・それに私たちは夫婦ですよ」
「メロンたん、俺は君の18歳の誓いを」
「わかってます!・・・けど」
ポランは立ち上がり、康治の前に立つ。
「あっ」
ポランのタオルがぽろんした。
「・・・!」
つーと康治の鼻から鼻血がでる。
「わわわっ」
慌ててポランは、タオルで身体を隠す。
「あらあら、仲睦まじいことですこと」
声の主はヒルダだった。
彼女は一糸まとわぬ裸で、悠然堂々とやって来た。
整ったあまりに美しい身体・・・だが、それは作り物のように感じる。
康治とポランはそう思った。
女王は二人の間に割って入る。
「なっ!」
「予もよかろう。コォジィの妻だから」
「むう」
すぐ、ポランの頬が膨らむ。
「ほほ、妃ポランよ。そうむくれるな。そなたさっき言っておったであろう、裸の付き合いと」
「・・・聞いていたんですか・・・そうですけど・・・そうじゃ」
「予もコォジィの妻であるぞ」
ヒルダは念を押す。
「むう」
嫉妬と湯のぼせで、ポランの頬が赤みを帯びる。
「・・・ほほ、よい、よい。ポランは可愛いのう」
ヒルダはポランをぎっと、大きな胸で抱きしめた。
「わ、私は・・・ぶくぶく」
ポラン顔を半分、湯につけ息を吐いた。
「あっ!」
二人のやりとりをよそに、限界に達した康治は、血がのぼり静かに湯の中へ消えて行った。
「勇者様っ」
「コォジィっ」
(ふっ、男冥利に尽きるな)
彼は、湯の中でガラにもない事を思った。
フェードアウト。




