№7 アメリア公国へ入国。女王ヒルダに謁見する
女王ヒルダ。
康治とポランは一週間の珍道中の後、アメリア公国領へ。
二人は意外にも熱烈な歓迎を受け、すんなりとアメリア城へと入る。
ほどなくして、玉座の間へと通される。
「なんか、上手くいきすぎですね」
「そだねー。でも俺ら日頃の行い、いいじゃん」
「・・・そう・・・ですけど」
「ま、なるようになるよ」
「・・・あっ、来ましたよ」
ポランは声を潜めた。
アメリア公国女王のヒルダである。
ゴスロリBK漆黒のドレスに身を包み、スカートはパニエで膨らみをおび、トレーンで裾が地から2mくらい広がっている。
頭はベールヴェール、その上に王冠をかぶっている。
上質のケープのマントをはおり、オーバーニーのソックスの上から、黒いブーツを履いていた。
従者が黒のパゴダの傘を室内なのに彼女にさしている。
髪の色は真っ白、しかしながら顔はまだ幼さが残り、赤い眼が見る者を惹きつける。
不老の女王の名の通りヒルダは見目も若く、歩みも優雅で悠然と玉座に座った。
「ウエストサンガイアの英雄ルーラン=コォジィですね」
「ああ」
康治はぶっきら棒に答えた。
「・・・そうですか」
「お逢いしたかったのですのー」
ヒルダは玉座から駆け寄り、康治に抱きついた。
突然の豹変ぶりに二人は圧倒される。
「まあ、なんという美男子、そしてっ、この若い男の柔肌っ!」
ヒルダはペタペタと康治の身体をボディタッチしてくる。
その手つきは、おじいちゃんが若い女子を触るが如くだった。
「いやあ」
彼もまんざらでなさそうだ。
「もう」
頬を膨らませるポラン。
「・・・・・・はっ」
ヒルダは我に返ると赤面をし、すすすっと数歩さがり三つ指をついてお辞儀をする。
「コォジィ様・・・いや、あえて、アナタと呼ばせていただきますー」
「・・・へっ?」
「予をアナタ様の10番目の妻にしてください」
「はあ!」
康治はいつもの展開ながら驚く。
「勿論、第一夫人にもお願いしますわ」
ヒルダはポランにウィンクをする。
「わ・・・私は別に・・・」
「では決まりですわー」
ヒルダは康治に抱きついた。
彼女は両手をまわし康治にくっつくと右肩に顎を置く。
「ふふ、幸せですわー」
彼女は笑顔を見せながら、緋の目は妖艶に光っていた。
また嫁が増えたのかな。




