№2 納得いかないよ(いろいろと)
嫁たちのオコ。
康治とポランがディオラを経って二日が過ぎた。
二人が慌てて宮殿を出て行ったあと、事情を知るエスメラルダにシャロットが問い詰めたことにより、嫁たちは激オコ(怒)した。
玉座の間に王を取り囲み、康治の嫁たちが仁王立ちする。
「ボクの国が、そんなに信じられませんか、同盟関係にあるのに」
開口一番、ケイが憤りを口にする。
「ケイ妃・・・それはだな・・・我が国は弱小国、貴国にはずっと煮え湯を飲まされ続けたのだ。そして此度の同盟もどうなるかも分からん。ディオラが生き残るには念には念をと・・・」
王はしどろもどろに答えた。
「ディオラの事情は分かりますが・・・何故、アメリア公国と・・・かの国の黒い噂を知らない筈はないでしょう」
「公国の事情については承知してます・・・が、バーン王朝も似たようなものではありませんかケイ様」
エスメラルダはしれっと言った。
「女王・・・ボクの国を侮辱するのか」
「いいえ、決して、私たちは国が生き残る為の判断をしたまでです」
「・・・しかし、何故、コォジィをポランと二人っきりで行かせたのです」
シャロットが疑問を口にする。
「それは・・・」
王は決して康治がぐずったからだとは言えなかった。
「我、主の帯剣なり・・・何故、我は留守番をしているのか。皆目納得いかぬ」
デュラ子は不満を口にする。
「・・・それは二人が適任だからだ」
王は苦し紛れに答えた。
「適任?」
乙女たちは同時に口にした。
「そ、そう・・・今回の任務は我ら比較的容易と考えておる。さほど時間がかからない内に二人は成果をあげてくれるだろう」
「お父様、ダーリンとポランが交渉上手だとはとても思えませんが」
エリザは首を傾げた。
「・・・そっ、それは婿殿が英雄だからだ」
「英雄・・・」
メイヤとライヤはその言葉を呟いた。
「いろいろと思惑があるのは分かりますが・・・」
アリエルは母と王を慮った。
「・・・私は二人を追う!」
ケイを決意に満ちた表情で声を荒げた。
「我も行く也」
デュラ子も同意する。
二人は王に一礼をすると、城を飛び出した。
「・・・父上」
「行かせてやれ・・・だが、お前たちまで追いかけるなどと言うなよ。」
ディオラ王はみんなを睨み、強い口調で言った。
「・・・・・・」
黙り込む乙女達。
「此度の任務はそんなに難しいものではない・・・ないのだ」
王は再び自分に言い聞かせるが、心の中に小さなどんよりとした言い知れぬ不安を感じていた。
ケイとデュラ子飛び出す。




