№9 お風呂仁義なき戦い
ポラン無双。
「お背中流しましょうか」
「ちょっと、近づいていいか」
等々、ポランが浴場に立つと、皆のきゃぴきゃぴ声が聞こえた。
「みなさん・・・」
「メロンたんっ!これはっ!」
「・・・なんで・・・なんで私を誘ってくれなかったんですか」
「へっ?」
「久しぶりのみんなDEお風呂タイムなのにっ!」
「・・・あの、メロンたん。これは、みんなが勝手にやって来て・・・ね」
「私は悲しいですっ!・・・・・・」
「・・・もしもし」
「ずるいですう」
ポランは口を尖らせ、拗ねるとお湯に飛び込み、じゃぶじゃぶとお湯をはねながら康治に駆け寄った。
「ここ頂きですっ」
康治が胡坐をかいて座っている上に、お尻から乗った。
お父さんが胡坐をかいている上に子どもが乗る。
ポランはそんなノリだった。
「メロンたん、そこはっ!」
「!」
皆が凍り付く。
それは眩いポールポジション。
乙女たちが狙いつつも、遠慮していた禁断の場所に、無垢な少女が踏み入れたのだ。
「なんと大胆な」
シャロットは呟き、悔しさを滲ませる。
「・・・羨ましい」
と、ケイ。
「ああ、いいお姉様たちの困惑し、多少の嫉妬が見える顔、いいわあ」
別次元のエリザ。
「そんなっ!」
本命の暴挙に驚くアリエル。
「策士策に溺れるという訳ね」
と、冷静なエスメラルダ。
「まあ、お二人は仲が良い事」
「そうね」
メイヤとライヤ。
「我、先を越されたり」
デュラ子のクールな目は沈む。
「どうしました?」
純真なポランは、みんなを気遣う。
「くっ、くうううん!」
もだえ苦しむ康治。
顔は真っ赤、湯の熱さと、興奮、周りの熱気で、茹でダコ状態だった。
「ああ、もう!」
「行くしかないな」
「そうですわね。アタクシもっ!」
「先手必勝!」
「アリエその通り立派です」
「仕方ありません。私たちもいきましょうか」
「はい、お姉様」
「我、おっぱいポロリする也」
乙女たちはついに行動に出る。
康治は沈んだ。
めくるめく、甘い乙女たちに襲われ、湯の中に。
それは、とても幸せな一日でしたとさ。
「・・・勇者様。勇者様・・・っ!?お風呂の中に何故かレバーが?」
「それっ、違う!」
康治、お風呂にて散る。




