№2 ディオラの日常~前編~
男って。
朝の7時、食事の時間。
大広間に長机が二人並べられている。
時間になるとそれぞれのテーブルに康治の嫁たちは腰をかける。
食事の用意はポラン、アリエル、メイヤ、ライヤが行っている。
二手に別れ、二つのテーブルに配膳を行う。
手配が整うと、おのおの自分の席に戻る。
上座に座る康治はいつもなら、「いただきます」の挨拶とともに食事に没頭するのだが、今日は神妙な面持ちをして黙り込んでいた。
「あのう、康治様?」
心配したメイヤが声をかける。
「実は、聞いてもらいたい事がある」
康治は真剣な眼差しで9人を見る。
食卓に緊張感が走る。
「どうしたコォジィ言ってみろ」
シャロットが促す。
康治は静かに頷く。
「分かった。俺、康治は決心した。メロンたんは、まだ14歳。前、俺の住んでいた世界では18歳にならないと結婚は認められない。しかるに俺はここで誓うっ!メロンたんが合法的年齢になるまで、俺はみんなとしないっ!」
堂々宣言した。
周りからブーイングがあがる。
「ちょっと、待て。ポラン第一主義なのは分かるが、アタシ達は夫婦だぞ・・・そういうアレは当然してアレだな・・・年齢的なこともあるし・・・アタシなんか・・・」
シャロットは戸惑い口をつぐむ。
「アタクシはシャロ姉様の貞操が守れるなら依存はありませんわ」
エリザは計算高い顔でほくそ笑む。
「コォジィ殿、ボクはいつでも、この身をあなたに捧げる覚悟がある」
ケイは両手でテーブルをつき立ち上がった。
「真に。主よ、花の命は短し乙女。契り無くして夫婦とはこれ如何に」
デュラ子は紅茶を優雅に啜りながら、抗議する。
「しかしながら、コォジィ様の決意はお強い様子、一方、心と体は別物、ここは実力行使でもよろしいかと」
「そうですわお母様」
エスメラルダとアリエルは顔を見合わせ頷く。
「まぁ、当面今まで通りってことね」
「そうですわね、お姉様」
メイヤとライヤは平静に受け止めた。
「勇者様・・・私はいつでもあなた様を・・・」
ポランは皆を心配し、目を潤ませて言った。
康治は目を背けた。
「いや!俺は決めたんだっ、男に二言はないっ!」
「主よっ!その言。いつまで持つかな」
デュラ子は不敵に笑った。
シャロット、ケイ、エスメラルダとアリエルは納得がいかない表情を浮かべた。
ポラン、エリザ、メイヤ、ライヤは複雑な表情をしている。
「話はこれまで。いただきます!」
康治は両手を合わせる。
皆もそうする。
「いただきます」
様々な思いが交錯する朝食となった。
身勝手な生き物ですね。




