№10 死合いが終わって
長い戦いであった。
「これにて、両者の健闘を称え合い、死合いの終了とします」
虎徹は両陣営に整列を求めた。
ディオラ陣営10名(内、重傷者アグラモア、ローリアン整列出来ず)。
円卓の騎士12名、騎士の意地として負傷した騎士も整列する。
ディオラの観客は両陣営に惜しみない拍手を送る。
歓声と拍手でボロボロのコロシアムの壁が軋む。
「これは、早急にどうにかせねば」
ディオラ王は殴り合いでボコボコになった顔で苦笑する。
「両陣営いざっ!」
虎徹は「戦」旗を高々と掲げる。
円卓の騎士達は剣を掲げる。
康治達は思い思いに、剣を掲げたり、拳を突きあげたり、胸に手を当てたり、観客に手を振ったり、笑顔を見せ勝利を喜ぶ。
「死合い終了っ!」
虎徹は胸を張って宣言をした。
彼はディオラ王、アーサーと握手をし、康治の元へやって来た。
そっと、手が差し伸べられる。
康治はぎゅっと握り締める。
「いい試合でした」
「ああ、虎徹もナイスジャッジに、ナイスマイクパフォーマンスだった」
虎徹は恥ずかしそうに頭を掻く。
「いやあ・・・ところでコォジィ殿は、さらなる高みを目指されるのか」
「俺はこのままでいいよ」
「・・・そうですか・・・はは、それもまた、いいでしょう・・・しかし」
「ん?」
「いえ」
(稀代の英雄をほっておけるほど、この世界は平和ではない・・・)
虎徹は口をつぐんだ。
ケイはそっと円卓の騎士団から離れ、康治達へと向かおうとする。
ランスロットが背後から声をかける。
「・・・ケイ様」
「みんな、すまないボクは」
「皆の者!」
ガウェインは皆に叫ぶ。
「おう!」
騎士達は胸に剣の柄を当てる。
アーサーは静かに言った。
「我ら円卓の騎士、離れていても心はひとつ」
騎士達は片膝をついた。
「真におめでとうございます!」
「姉上、お幸せに」
「アーサー・・・みんな」
ケイの目から大粒の涙がこぼれる。
彼女は三叉の槍を高く高く掲げて、仲間に別れを告げる。
彼女は康治の元へと走った。
こうして、前代未聞の凱旋、結婚式、死合いという日またぎの長い二日間は終了した。
疲労困憊、皆の胸に去来するものは。
康治は、そして乙女たちは・・・。
八章結び。
次章はゆるめにいきます。




