第八章 死合いの行方と戦いの後は №1 ポランは戦う
ポラン戦います。
第八章 死合いの行方と戦いの後に
№1 ポランは戦う
「メロンたん行くなっ!」
観客席から叫ぶ康治。
しかし、彼女は振り返らない。
「主よ。女にも戦わねばならぬ時があるのだ」
デュラ子はいつの間にか、剣から精霊の姿に戻り、どさくさに紛れて康治の膝に頭を乗せ膝枕の恰好になっていた。
「いつの間にっ」
「よかろうもん。我、主の膝枕により回復すること山のごとし」
「・・・そりゃ、良かった」
「私達もこうしていると安らぎますわ」
「エスメラルダ!アリエル!」
エルフ母娘は、康治の逆側の肩に二人仲良く寄り添い頭を置いている。
「お前たちまで・・・まぁ、いいけど」
「そうですね。落ち着きますね、お姉様」
「この背中、やっぱりぷにぷにで気持ちいいわ」
「・・・メイヤ、ライヤ」
姉妹は康治の背中に、互いの背中を合わせ休んでいる。
エリザは康治の頬っぺたをぐいっと両手で引っ張ると顔を覗き込んだ。
「勝てば、シャロ姉様は必ず戻って来る。今はポラ子・・・ポランの戦いを見守りましょう。ねっ、ダーリン」
「・・・・・・ああ」
康治のざわついた心は、少しだけ落ち着いた。
乙女たちと共に戦いの趨勢を見守ることにした。
「ポラ村の巫女にして、萌えっ娘ド根性娘ポランっ!対ガヴェイン卿!・・・死合い、はじめっ!」
「よく逃げずに、戦いを選んだな。萌えっ子よ」
「私は逃げません。萌えっ子でもありません」
「萌えっ子を萌えっ子と呼んで何が悪い。お主、萌えの自覚はないのか、確信犯ではないのか」
「・・・なんですか、それは」
「・・・まぁ、よい戦いに己が趣向など無意味というもの。萌えっ子よ。すぐに楽にしてやる。・・・ライジング・・・」
ポランは駆けだすと、技を発動すべく身構えるガヴェインの間合いに迫った。
「速い!」
「騎滅!(きめつ)」
「だが、弱い」
ポランはお祓い棒をガヴェイン目掛けて祓う。
彼は攻撃を鎧に受けるが意に返さず、技を繰り出した。
「ライジング・リスペクト!」
辺りが光に包まれ、彼の必殺技の衝撃でコロシアムが揺れる。
「メロンたん!」
康治は叫んだ。
やがて光が収まり、彼は目を凝らす。
(いた!)
小さな少女が。
「危なかった~」
「なっ、萌えっ子どうやって、私の攻撃を避けた」
「走って避けました」
「なっ、そんな馬鹿な!」
デュラ子は康治の膝枕から立ち上がる。
その空いた場所を狙い、乙女たちは、ちょっとした争奪戦を繰り広げられた。
「どれ、ちょっと行ってくるか」
デュランダルに変異した彼女は、ポランの元に向かう。
ポランの前にデュランダルは飛来した。
(娘・・・いや、ポランよ。我を使え)
デュランダルはポランの脳内にテレパシーを送り会話する。
「デュラ子さん・・・」
ポランはデュランダルの柄を握りしめる。
すると、彼女の周りに光が溢れる。
大きな白い翼がポランの背に生え、少しだけ背が高くなり、髪は深い緑色となる。
さらに結婚式に着ていた純白のウェディングドレスを彼女は身に纏っていた。
「あっ、あれはメロンたんの最終形態マジ最高、最強っ、メロンエンジェルあんどプリンセス!!!最終回だけの一回こっきりのスペシャル状態。まさか、この世界で見られるとは、ありがたや、至福まさに至福なりっ!生きててよかった!」
「何言ってるの」
ライヤの言葉も聞こえず、康治は興奮しまくる。
「皆の者、固唾を飲んで見守れいっ!」
「・・・・・・」
「・・・だそうです。」
解説を奪われた虎徹は寂しそうに言った。
その背中は哀愁を帯びていた。
(よいか、ポラン)
「はい」
「なんだ、なんだ、この急展開は!」
ガヴェインは戸惑いを隠せない。
「行っくよ~。ポラン、ファイナルあたっく、れぼりゅーしょん(最後の攻撃、革命)!」
ポランはデュランダルを一閃する。
剣身から星々の煌めきが浮かぶ。
流星の一撃が、ガヴェインを貫いた。
「まっ・・・さ・・・か・・・っ!」
ガヴェインは、ポラン渾身の一撃を受け仰向けに崩れ落ちた。
「・・・勝者っ!」
「待てっ!」
アーサーは血相を変え、勝ち名乗りを上げようとする虎徹に向かって叫んだ。
ポランの大変身とアーサーのクレーム(チャレンジ)。




