№6 決着
迷い込んだ森の中。
霧の臭気を吸い込んだ騎士達に幻覚の症状が現れる。
「これはっ」
パーシヴァルの目に映る光景は、聖杯探索に失敗し苦渋を舐めた日々、そしてようやくガラハット達とともに聖杯を手にした瞬間、
「馬鹿なっ!」
そこにはあるはずの聖杯がなかった。
「おのれっ!」
憤りと怒りで、パーシヴァルは幻覚を打ち破った。
ガラハットは幻覚の中にいる。
それは酒池肉林の日々、彼は鼻の下を伸ばし、幻覚の世界を満喫し溺れる。
「・・・・・・」
・・・こつん。
パーシヴァルは剣の柄でガラハットの後頭部を叩いた。
「痛っ!」
「失礼」
「これは」
正気に戻ったガラハットは呟く。
「エルフの幻惑にハマりました」
「そうか、実に良き、まぼろし」
「・・・私は最悪でした」
「!」
次々と放たれた矢が、勝機に戻った騎士達を襲う。
母娘ともに得意の弓で攻撃をする。
パーシヴァルは二刀流の剣技で矢を払う。
ガラハットは、大斧を地面に叩きつける。
地が裂け、樹海が消える。
「ガラハット卿、上!」
パーシヴァルは叫ぶ。
上空に飛び上がり降下したアリエルは、ガラハットの頭部にミドルソードの一撃を加える。
「ぐっ!」
よろめきながら、気を失い倒れるガラハット。
「やった?」
アリエルの着地を狙い、パーシヴァルは剣を向ける。
が、背後からエスメラルダがショートソードで攻撃する。
彼は後方の攻撃を背中に左腕をまわし剣で止める。
右手で剣を振ると、剣圧で衝撃波が生まれ、アリエルは吹き飛ばされる。
コロシアムの壁にぶつかり、アリエルは崩れ落ちる。
「アリエルっ!」
母は叫ぶ。
「エルフの女王よ・・・まさかここまでとは、だが、これで終いだ」
パーシヴァルは両手に持つ剣を左右にだらりと垂らした。
「おーっと、おひさしぶりです。解説の虎徹であります。私、熱戦のあまり不覚にも無口となっておりました。二対二の死合いも、いよいよクライマックス決着の時かっ!パーシヴァル卿のこの構えは、無から静そして動、必殺の!」
「The right of light and darkness!(光と闇の一撃)」
パーシヴァルが剣を振ると切っ先から、右手の剣から光、左手の剣から闇が発する。
光と闇がエスメラルダを飲み込む。
「Maximum reflection!(最大反射)」
エスメラルダは、全魔力を放出し、パーシヴァルの一撃を止める。
一撃と反射がせめぎ合い、二人の間で力の比べ合いとなる。
「ぐぬぬぬ!」
「うううう!」
やがて、膨張するエネルギーは二人の間で大きくなり、破裂した。
行き場を失い暴走する衝撃波を、二人はまともに受け崩れ落ちる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
4人は立ち上がる事が出来ない。
「この勝負引き分けっ!」
虎徹は宣言した。
引き分け、ちょっと多くね。




