第七章 風雲コロシアム、乙女たちの戦い №1 ライヤ挑みます
デュラ子、ボンバイエ。
第七章 風雲コロシアム、乙女たちの戦い
№1 ライヤ挑みます
「!」
「おーっと!なんというスピードだ!まさに音速の貴公子っ!ベディヴィア卿が仕込み杖でデュラ子選手に襲いかかる。ついにデュラ子無双の終焉万事休すかっ!」
デュラ子は刹那、剣に形態を変えて難を逃れる。
ベディヴィアの剣が聖剣にはじかれる。
「しまった」
ベディヴィアが呟いた瞬間、デュランダルはスライドする。
一撃に集中するあまり無防備となった彼の延髄に、剣の柄が一閃される。
「こっ、これは、まさかっ!あの伝説のグラディエーター燃えるファイティングスピリッツ、Imoki(芋木)の十八番、延髄斬りが炸裂!まさにこれはっ、実況者冥利に尽きるっ!私ここで、このような技が見られること、感動を禁じ得ない!おおう、怒涛の涙で眼鏡が曇って、戦いの行方が分かりません・・・デュラ子っ、ボンバイェッ!」
「・・・・・・」
ベディヴィアが崩れ落ちると同時に、聖剣デュランダルも地に突き刺さり、そのまま動かない。
「・・・・・・」
虎徹は涙で濡れた眼鏡を拭くと、両者の状態を確認する。
「この死合い、引き分けっ!」
戦いの決着を見守ったライヤは静かに席を立つ。
「では、行ってきます」
「姉様・・・」
メイヤは、潤んだ瞳で姉を見つめる。
「ライヤ、無理だと思ったら、すぐ負けを認めなさい。必ず無事で戻ってくること」
エリザは、大切なライヤに言葉をかける。
「無理するなよ」
康治の赤髪はもうすでに燃え始めている。
傍らには聖剣デュランダルが横たわっている。
「はい。必ず戻ります」
ライヤは愛する仲間に頷いた。
「では、いきますか」
「トリスタン頼む」
「アーサー様!必ず勝利を!」
長槍を持ち、トリスタンは颯爽とコロシアムへ向かう。
「第八死合い目!ディオラが誇る最大にして最強の侍女の一人ライヤ対、円卓の騎士にて数多の逸話伝説を持つ男トリスタンっ!」
「娘、覚悟せよ」
トリスタンは長槍をライヤへ向けた。
「私も本気でまいります」
「戦」旗が振られる。
「はじめっ!」
「スイ、スイ(水、水)ウォーターアタック(水攻撃)!」
ライヤのかざされた両手から、大量の水が放たれる。
「・・・・・・」
トリスタンは、水勢に向かい軽く長槍一突き入れる。
たちまち水の魔法、かき消される。
「どうした娘・・・これで終いか」
「チ・チ・チ(地、地、地)グランドフォール(地の穴)!」
ライヤの魔法発動により、トリスタンが立つ地面の周りがくり抜かれる。
「はっ」
落下するトリスタンは不敵に笑った。
ライヤに勝機はあるのか。




