№5 一死合い目。エルフの勇士アグラモアVS円卓の騎士ボールス①
アグラモア対ボールス。
「では、俺が行こう」
アグラモアが立ち上がる。
「アグラモア、お願いします。けど、絶対に無理はしないで」
エスメラルダは、彼にそっと手を添える。
「はっ!女王様」
彼は頷き一礼する。
弓の弦を何度も指で弾き、張り具合を確認すると、静かにコロシアムの中央にむかう。
「アーサー様、行きます」
円卓の騎士、ボールスはアーサーに深々と頭を下げた後、振り返るとエルフの勇士を見つめ、静かに笑った。
「頼むぞ、ボールス」
「はは、有象無象の者どもなど、このボールスの敵ではありません」
「油断は禁物だ」
「承知!」
歓声が鳴りやまぬ中、コロシアムの中央でアグラモアとボールスは対峙する。
「二人ともよろしいか?」
虎徹は二人に戦闘準備の確認をする。
「おう!」
「よろしい」
虎徹は頷くと、古代バーン文字で書かれた「戦」と書かれた大旗を、右手一本で高々と掲げ、左手はマイクを持ち小指一本を立たせる。
「それでは、第一死合い、エルフの最強スナイパー勇士アグラモア対、円卓の騎士そして聖杯の騎士にして、さすらいのガンマン、ボールス卿、いざっ!死合い開始ッ!」
「戦」旗が振り下ろされた。
死合い開始と同時に、アグラモアは後ろにステップを踏みながら、距離をとりながら弓を持ち、矢を番える。
「くらえ!」
一の矢を放つと同時に矢を番え、目にも止まらぬ速さで矢を連射する。
「おおっと、アグラモア選手、高速の矢の連射、まさに高橋名人もびっくりの16連射であります!」
ボールスは一の矢をかわすと、最小限の動きで、射出される矢のすべてを避けた。
「まさに、マトリックスいちいち例えが古いかっ、虎徹よ。その反省は次回に活かすのだ。今は戦いの趨勢を見るべし、見るべしっ」
「はは、所詮その程度か」
ボールスは、懐から拳銃を二丁取り出すと、両手をクロスさせ、引き金を引いた。
「でたっ!ボールス選手の必殺技、グランドクルス!この世界に不釣り合いの凶器で狂気の一撃っ、炸裂なるかっ!」
「むっ!」
アグラモアの眼前に二つの銃弾が迫る。
戦いの行方はっ。




