№2 急転直下、死合いへ挑む乙女達
やれるのか、おいっ!
死合いとは、文字通り互いが、死力を尽くし死するまで戦う、古来の闘技法である。
この世界において、死合いは結果、命を奪い合うという残酷、野蛮な闘技として固く禁じられている。
アーサーはそれをしようと言うのだ。
「死合いだと・・・」
ディオラ王は言った。
「その通り、今すぐ、ただちに行う・・・だ」
アーサーは冷徹に言い放つ。
「それは認められん!命の取り合いなど」
「ディオラ王・・・あれもダメ、これもダメでは埒があきませんな・・・良いでしょう。私はただシャロットを娶り、あなた方に私達の圧倒的な力を見せ、この選択をした事を後悔させるのみ!戦いにおいて、負けを認めれば敗北、命まで取りますまい、良いか!皆の者!」
「はっ!」
円卓の11人の騎士は、剣を合わせ高々と掲げると誓った。
「でも、こっちは勇者様を入れても9人しか・・・」
ポランは緊張し、困った顔をしながら呟いた。
「大丈夫だ、ワシも出る」
「父上!」
シャロットは驚く。
「ほう」
アーサーは怪しく笑った。
「私達もいるぞ!」
エルフの勇士アグラモアと隊長ローリアンが手をあげ立ち上がった。
「これで12対12だな。よかろう、死合いをはじめるぞっ!」
「アーサー・・・お前は」
康治はやるせなさで彼を睨む。
「く、く、私は諦めの悪い男だ。それに英雄はやはり二人はいらぬ!」
皆は、そのまま闘技場へと移動する。
結婚式という晴れの日に死合いをするというのだ。
8人の嫁たちは、控室でウェディングドレスを脱ぎ、戦いの装束へと着替える。
脱ぎ置かれた美しくも可憐なウェディングドレスを見ると、みんなは一抹の寂しさと悔しさを感じるのだった。
「とんでもない事になりました」
ポランは呟いた。
「大丈夫、私達は勝つ、そして結婚式の続きをしようじゃないか」
シャロットは皆を鼓舞する。
「アタクシのシャロ姉様、絶対に渡しません」
エリザの瞳が燃えている。
「やはり、アーサー王は動きましたか・・・しかし」
エスメラルダは、表情を曇らせながらも希望は捨てていない。
「お母様・・・勝ちましょう!」
アリエルは力強く言った。
「私達は、姫様、エリザ様、コォジィ様・・・みんなを御守りします。ねぇ、姉様」
メイヤは決意する。
「ええ」
ライヤは大きく頷いた。
「我、デュラ子、主の目の前に立ちはだかる者は、何人たりとて容赦せぬ」
デュラ子は静かなる闘志をその身に滾らす。
シャロットはみんなに右手を差し伸べた。
「すまないみんな、私をこの国を、そしてコォジィとの未来を守ってくれ!」
「はいっ!」
8人の手が重ねられる。
そして、皆は言った。
「コォジィ~!」
「ふぁいっ!」
8人の嫁たちは、光射す闘技場への道を歩きだした。
やれますっ!




