№9 私は本日、勇者様の花嫁になります。ポラン
ポランさん~。
私には、もったいないドレスです。
純白のドレスをじっと見続ける私・・・これを着て私は勇者様のお嫁さんになるのですね。
トントンとドアがノックされます。
デュラ子さん・・・ですね。
「ポランそなたが、我が主の思い人だな」
「?」
デュラ子さんは黙ったまま、私をじっと見つめます。
「ふっ、成程、よろしく頼む」
「はいこちらこそ」
次は、エスメラルダさんとアリエルさんが来ました。
「ポランさん」
「はい」
「私達はいつか必ず、コォジィ様を私達のものにします」
「はい、絶対に渡しません」
「ふふ、そうですね、私達も負けません」
それから、ライヤさんとメイヤさん。
二人は慌てて入ってきました。
「ごめん、遅くなって」
「姫様とエリザ様の用意があるから、ちょっと急ぐね」
「・・・ん?」
「ウェディングドレス、一人じゃ着られないでしょ」
「ああ、ありがとうございます」
「さぁ、いきますよ」
私は二人がかりでドレスに着替えさせていただきました。
「ふむ」
「やっぱり可愛いですわね」
「ありがとうございます。お二人も・・・」
「そうだった急がないと」
二人は慌ただしく出ていかれました。
しばらくしてエリザ様がやって来ました。
「ポラ子よ」
「はい」
「アタクシはシャロ姉が命です」
「はあ」
「邪魔したら、承知しないから・・・」
エリザ様はそう言うと、じっと私を見続けました。
「・・・あなた、いいわね」
少しだけ背中がぞくっとしました。
一人だけになった部屋で、私は鏡に映る自分の姿を見ました。
頬が染まり、体が熱くなり体温が少し上がった気がします。
くるっと回転します。
「ふふ、お姫様みたい」
私はくすりと笑いました。
トントンまた扉が叩かれます。
扉を開けると、勇者様でした。
私を見るなり、じっと固まっています。
「メロンたん・・・」
「はい」
「とっても、綺麗だ」
「ありがとうございますっ」
恥ずかしくて顔が燃えるように熱い。
「メロンたん」
「はい」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
私たちは、そっと唇を重ねました。
天にも昇る気持ちです。
唇を離した後は、幸せな余韻が続きました。
「じゃ、行こうか」
勇者様はそっと手を差し伸べます。
私はその手に手を重ねます。
ぎゅっと繋いだ手、いつまでも離したくありません。
「遅かったな二人とも」
式場に入るとシャロット様が腕を組んで待っていました。
私たちはそっと手を離します。
彼女は苦笑しました。
私の耳元で、シャロット様は囁きました。
「互いにおめでとうだな。だが、アタシが、いずれコォジィの1番となる」
「はい、私も」
シャロット様と私は互いに握手をしました。
そして・・・結婚式へ。




