№7 地底よりの使者ベルゼバブ
その時、コォジィ探検隊の見たものはっ。
「うけけけけ!はれ~ほれ~っ!」
狂乱しているアリエルだった。
「これは・・・この光は」
大量に降り注ぐ光の粉を見上げ、ライヤは呟いた。
「鱗粉・・・光の」
メイヤはそう言うと、顔をしかめた。
「うけけけけけっ!」
アリエルは光の周りをぐるぐると走っていた。
「これっ、光の粉は、おそらく錯乱、幻覚作用があります!」
メイヤは、アリエルの異様な状態と、光の鱗粉の放つ独特な匂いに確信を持って喋った。
「コォジィ様!」
ライヤは叫ぶ。
「?俺なんともない」
「あっ、そ、ですか」
姉妹は同時に言う。
「ふふふ」
「誰っ?」
「我の眠りを妨げる者・・・すなわち万死に値するなり」
「メイヤ、ライヤ、アリエルを」
「はい!」
姉妹は駆けまわるアリエルを挟み撃ちにして取り押さえると、ライヤは手刀で彼女の
首筋を一閃して気絶させた。
康治はそれを確認すると、声のする方へと足をすすめる。
「でてこい!」
「ふ、我の鱗粉が効かないとは、其方、只物ではないな・・・我が名は地底に住まう蠅の王、ベルゼバ・・・ぶっ」
「ぎんっ!」
康治はベルゼバブの口上が終わらぬうちに、目力を口にした。
蠅の王は瞬時で固まり、身動きが取れない。
「あわわわわっ!」
康治はベルゼバブの頭上へと飛び上がり、すべての両手の指を組み、少しだけ振り上げると、
「ずっと、潜って寝てろ」
ベルゼバブの頭上に叩きつける。
「ぐもももももっ!」
一点に地が裂け、ベルゼバブはさらに地底深くに送り込まれる。
「あでぃおす」
「さすがは、コォジィ様」
「でも、真っ暗・・・これからどうしたら」
康治はポランの写真を胸ポケから取り出し、暗闇の中じっと見て、自身を奮い立たせる。
彼の赤髪が燃えると、周りが照らしだされる。
「大丈夫」
康治はそう言うと、手ごろな大きさの岩を見繕うと抱えて、姉妹の前におろした。
「これに乗って」
「まさか・・・」
気絶しているアリエルを抱え、姉妹は岩の上に乗る。
「ふん」
康治はぶんっと岩を、上空へとほおり投げた。
彼はジャンプし、自分も岩に飛び乗る。
「でっ、伝説のももももしろしろ(桃○白○)みたいな・・・っ!」
岩はぐんぐん上昇し、丁度、落とし穴を塞ぐ形で止まった。
ようやく雷撃から回復したドワーフは目を丸くする。
「よう」
康治がそう言うと、ドワーフ達は蜘蛛の巣を散らすかのように逃げ出した。
80年代、テイストはいかが。




