№5 ドジっ娘(こ)アリエル
アリエルさんはりきる。
「く、こんな所にも罠が」
アリエルは洞窟の小石に躓き転んだ。
「アリエルさん大丈夫ですか、もう4回目ですよ」
ライヤは心配して声をかける。
「さすが、伝説のお宝が眠るダンジョン、トラップも一流ね」
「聞いてますか~。ちょっ、コォジィ様、寝たままで歩かないでください」
メイヤはダブルツッコミを二人に入れる。
「もうお腹いっぱい、メロンたん」
「いい夢、見てるのね」
メイヤは薄目で冷ややかに笑った。
「変わりましょうか、前」
ライヤは先を行くアリエルに尋ねる。
「大丈夫っ!」
「転ぶたびに、灯りが消えるんで」
「もう、転ばない、多分!」
アリエルはそう言うと、どんどん先へと進む。
「はあ」
ライヤは溜息をつく。
「んっ!奥の暗がりに何かいるっ、ドワーフだわ!」
小さな戦士ドワーフ達は、奥へといかせまいと鉄のハンマーを身構えている。
「あっちへいきなさい!」
アリエルの声にドワーフ達は奇声を発して応じようとしない。
「この先に何かあるのね、言っても聞かないなら成敗するのみ」
アリエルはミドルソードを抜いた。
「アリエルさん!」
「そこを通しなさーい!」
アリエルはドワーフ目掛け駆けだした。
彼女の目にドワーフ達が一瞬、笑ったかのように見えた。
「えっ!」
次の足を踏みだした時、右足に地面の感触がなかった。
「うわーっ!」
「馬鹿め!落とし穴だ!」
ドワーフの高笑いが響く。
「アリエルさんが落ちちゃった・・・コォジィ様起きてー!」
メイヤは康治を揺さぶるが、目を開けようとしない。
「メイヤとりあえず下に降りましょう。アリエル様をほおっておけないわ」
「はい、でも底が深かったら」
「大丈夫、半寝している。コォジィ様を先に落として、クッション代わりになってもらうわ」
「そっか、コォジィ様は無敵ですもんね」
二人は顔を見合わせ頷いた。
「でも、ドワーフさんには仕返しをしないとね」
「ええ、お姉様」
メイヤとライヤは互いに片手をドワーフにかざす。
「バチバチサンダーアタック(ばちばち雷攻撃)!」
二人の手の平から、雷が発生しドワーフに雷撃を与える。
「ぐぎゃ!」
「では、いきましょう」
寝ながら歩く康治を放置し、そのまま歩かせ先に落とし穴に入れる。
直後、二人は落とし穴に飛び込みアリエルの元へ向かう。
落とし穴にGO。




