№3 めざせ愛騎士(ラブナイト)コォジィ
愛の頂きを目指せ。
旅に出る直前、王城に残る皆は宮殿の門まで見送りに来ていた。
結局、不本意であるが俺はポランたんと離れ離れとなってしまう。
彼女が目を潤ませ、「がんばってくださいね」と言ってくれた以上、やらねばならない。
聞けば今回の目的はデュランダルという聖剣を持って帰るということだ。
しかもその剣は俺が持つそうだ・・・いらなくね。
たいそうな力を持つ剣だそうだが、俺ってチートじゃん、いらなくない。
それで剣を手にすると、クラス(階級)が上がるそうだ・・・上がったところでどうなるんだと、俺は一分一秒でもメロンたんを愛でたいよっと。
そんな妄想をしていたら、メイヤとライヤがこちらに来た。
「よろしくお願いします」
メイヤは言った。
「妹と同じく」
ライヤは小さく頭を下げる。
「わかった」
俺はこくりと頷く。
この二人、それぞれ可愛いのだが、魔法少女の誰かには当てはまらない。
でも、どこかで見たような、まあそれ以上考えると、いろいろアレなのでやめておこう。
エルフ母娘と比べると、この姉妹はたしか双子なのにけっこう違う二卵性なのか。
メイヤの体形はシャロットみたいにすらりとして、出てるところは出ている。
表情にあまり起伏はなく、ザ・侍女およびメイド服を着ているのでザ・メイドといった感じだ。
一方、ライヤは主人に似てしまったのか、同じような食生活を送ってしまった為なのか、体型はぽっちゃりとしている。
顔はこっちが太ってしまった分、横に少しだけ大きい。
よく見ると、右目じりにほくろがある。
少しだけ、ぱっつんのメイド服が痛々しい。
「では、行きましょう!」
旅の案内役、アリエルは意気揚々としている。
「勇者様、お元気で、すぐ帰って来てくださいね」
メロンたんは、寂しそうな眼差しで、じっと俺を見続けてくれている。
「コォジィ頼んだぞ」
シャロットがぐいっと俺の顔を両手で引っ張り、自分の顔に向けさせた。
彼女の隣のエリザがひょいっと顔をむける。
「ダーリン、浮気はダメよ」
「・・・・・・」
「コォジィ様、変わらずお慕いしております」
エスメラルダは静かに目を伏せた。
「(チュー)するかっ!・・・じゃ、いってくる!」
「はいっ!」
女の子たちの声援、胸にキュンと来たこれはいいっ。
「では」
ライヤはにこにこ笑いながら、鎖のついたソリ(車輪がついている)をどこからか持ってきて、鎖の部分を俺に巻きはじめる。
「ポラン様!」
メイヤがメロンたんに促す。
彼女は赤面しながら、
「はい!勇者様ふぁいとっ!」
「うぉぉぉぉおおっー!」
俺は燃えた。
・・・ああ、そういうことね。
火球となった俺はその場で激しく回転しだす。
アリエル、メイヤ、ライヤはソリに乗り込む。
「いってきます~!」
車輪となった俺は猛スピードで進む。
「らくちん!」
三人の快適ドライブの感想が聞こえた。
さぁ、ダンジョンへ。




