第四章 ダンジョンで伝説の剣を探してみました №1 算段と決定
王と王女の会話。
その伝説の剣、デュランダルはエルフ住む神域の森の先にあるガイアの洞窟にあるとされる。
長きに渡り、封印されしその剣は、洞窟の奥深淵の泉に沈められたという言い伝えが残っている。
その剣を手にする者は、星々の力が宿るとされている。
「なるほど、そうでしたか。やはりアーサー王が」
ディオラ王国玉座の間にて、ディオラ王はエルフの女王の言葉に静かに頷いた。
グラスに注がれた赤ワインが、少し身を乗り出したディオラ王の動きに合わせて揺れる。
「バーン王朝との戦いは出来れば避けたいものです」
エスメラルダは静かに目を閉じると、潤った長い睫毛が美しく妖艶に見える。
「それは勿論」
「しかし、私が見たところ、英雄コォジィ様の力もなかなか・・・いえ、もしくは」
エスメラルダは最後の言葉を濁すかのように呟いた。
ディオラ王は頷いた。
「さもありなん。今となっては(仮)婿が、バーン王朝に対する唯一の希望となっておる」
ディオラ王のこめかみに深い皴が寄る。
「そうですね」
「聖剣デュランダルの件なのですが」
王は本題へと入る。
「分かりました。神域エルフの森を抜けガイアの洞窟に行けるよう、娘アリエルに手配させます」
「かたじけない」
ディオラ王は深々と頭を下げる。
それから、そっと王はエスメラルダの手をとった。
「どうでしょう。女王エスメラルダ、我ら互いの国が強固となるべく・・・睦まじく
なるというのは」
エスメラルダはにっこりと笑うと、手を握る王の手の甲をきつくつまんだ。
「私の夫はコォジィ様です。ゆめゆめ忘れなさいますな」
「・・・おのれ、(仮)婿ばっかり!」
ここは、前国王の宮殿。
(仮)婿ルーラン=コォジィは、ここに住まいを与えられている。
(仮)嫁たちは巨大な宮殿の各部屋に住んでいる。
夕食の時。
巨大なテーブルに一同が介する。
正面の席に康治。
右にポラン、左シャロットそれからエリザベート、エスメラルダとアリエルが座っている。
メイヤとライヤは給仕をしている。
「父上から勅命が下った」
シャロットは食事前に皆に伝える。
「ガイアの洞窟に赴き、聖剣デュランダルを手に入れよ」
「え~また。どっか行くの」
康治は不満を口にする。
「コォジィ、これは我が国の運命を左右する大事なことだ・・・我慢してくれ。それでメンバーだが・・・なっ、アタシの名前がないぞ・・・どういうことだ!・・・コォジィ、アリエル、メイヤ、ライヤの4名だとう!」
「私は!」
ポランは椅子から飛び上がった。
「メロンたん!」
康治とポランはお互いの顔を見合った。
「・・・決定の国璽がおされているわね。父上何を考えているのかしら」
エリザ(エリザベートは四章から略します)は、ぼそりと呟いた。
エスメラルダは静かに目をふせる。
アリエルは大きく頷いた。
メイヤとライヤ姉妹は戸惑っている。
微妙な空気の中、夕食となった。
このまますんなり旅立つのかっ。




