№8 エルフ母娘の誘惑
私たちのモノになりなさい。
樹齢数千年の大木から現れたのは、エルフの女王エスメラルダと娘のアリエルだった。
「久しぶりです、英雄コォジィ様」
「魔法少女ブルーこと月影ワルツたん」
「・・・だから何ですか、それは」
「いや、すまん。つい」
康治は頭を下げた。
「コォジィ様、私たちの英雄となりなさい」
「・・・ん?ちょっと何言ってるか分からない」
「じきに分かりますよ」
エスメラルダは妖艶に微笑した。
「要は私たちのモノになりなさいということです」
アリエルは康治をびしっと指さした。
「ああそういう事、でも俺にはメロンたん・・・が」
突如周りから、薄桃の煙に覆われる。
「これは、強力な媚薬入りの煙です。いくら英雄といえども、回避は不可能」
エスメラルダは確信に満ちた表情で言い放つ。
「な、なんだか気持ちが高ぶる~アゲアゲ⤴」
二人はニヤリと笑った。
「美しきエルフの女王、エスメラルダ」
エスメラルダは後頭部に両手を組み、身体を張ってセクシーポーズを決める。
「そして、その娘アリエル、さぁ、私たちのモノになりなさい」
アリエルはウィンクを決め、投げキッスをする。
「・・・なんで?」
「なんでって、今、気持ち高ぶっているんでしょう」
「そうだよ」
「だったら、襲いなさい。好きになさいまし」
「・・・なんで」
「くっ、あの強力な媚薬が効かないとは、かくなる上はアリエ」
「はい、お母様、エルフの禁呪法インプリント(刷り込み)を発動します」
「よくてよ。シャニング・ブライト(輝く光)」
エスメラルダは両手をかざし、眩しい光を発する。
「まぶし・・・」
康治は視界を光に奪われた。
「我らは母たる者。そなたの目が開く時、親愛なる情愛が迸るであろう。インプリント!」
アリエルは詠唱し、禁呪法を発動した。
眩しさに視界を奪われた康治は、光が収まるとゆっくりと目を開いた。
そこには、母娘。
「・・・・・・マ・・・マ・・・マ」
「そうよ」
「おいで、ぼうや」
二人は十中八九、康治が掌中に落ちたと思った。
が、
「きゃあー!」
ポランの叫び声が、辺りの森中に響いた。
「この声は!」
康治はその声に瞬時で我に返った。
康治、我に返る。




