№6 まんまとエルフの森へ迷い込みました
そこは白い霧の世界~。
康治と三人娘はエルフ神域の森へと足を踏み入れた。
アグラモアが率いるエルフの精鋭弓隊は、木々に身を隠し、コォジィ達を執拗に狙う。
彼は大弓に一気に四本の矢を番え同時に一気に放つ。
矢は風を切り、唸りを上げて四人を襲う。
「トントントン(豚、豚、豚)ファイヤーウォール(炎の壁)」
康治は炎の壁をつくり3人を守る。
矢は炎の壁に吸い込まれ、焼けて灰になる。
それからエルフ兵士達が次々に矢を射かけられる。
頃合いを見計らい、アグラモアは右手をあげ、兵達に合図を送り引き揚げさせる。
「完全に狙われている」
「正確に狙撃されています!」
ポランは叫んだ。
「くそっ、ゴルゴ13かっ」
「んっ?」
エリザベートは首を傾げる。
「あ、ごめん」
「とにかく、あっちだ!」
シャロットは走る。
神域エルフの森は奥へ進むほど、次第に霧が濃くなっていく。
「シャロ姉様・・・」
エリザベートは姉と並走しながら声をかける。
「ええ、後続の兵達とは完全にはぐれてしまうわね」
シャロットは表情を曇らせ、危惧を口にした。
「さすがは神域エルフの森・・・ってね」
エリザベートは感心する。
「とにかく今は、逃げないと」
後続のポランが息を切らせて言う。
再びエルフ兵による弓の一斉射撃がはじまる。
「トントントン(豚、豚、豚)ファイヤーウォール(炎の壁)」
康治の炎の壁で、敵の攻撃を回避しながら、先へと進む。
森を進むごとに、霧はその濃度を増し、皆の完全に視界を奪い去った。
先頭を進むシャロットは一寸先も見えない、白の世界に苛立ちを隠せない。
「どうやらとみんなとはぐれてしまったようだ」
彼女は一人、森の中に佇み呟いた。
「こっちだ」
シャロットはぐいっと手を引っ張られる。
「はうっ、コォジィ・・・」
二人は森の中を進んでいく。
「シャロ姉いる?」
エリザベートは恐る恐る前方にいるであろうシャロットに聞く。
「ああ」
シャロットはエリザベートの手をとった。
「はあああ(シャロ姉だ・い・た・ん♡)」
妹は喜びで完全に舞いあがる。
「このままでは、はぐれてしまう。いくぞっ」
「はいっ!」
「勇者様・・・みなさん・・・おーいっ!」
ポランは懸命に、みんなを探す。
「・・・っ!」
むやみに歩き続け気付けば、エルフ達に周りを囲められていた。
「あなたたち・・・」
康治の目の前から一気に霧が晴れ、視界が広がる。
樹齢数千年の大木から現れたのは、エスメラルダとアリエルの母娘だった。
「夢で見たふたり・・・」
みんなどうなる?




