№10 幕引き
なんちゃって、二部完結。
それは、素敵なご馳走に楽しい会でした。
きっと勇者様が凄いから、私はついていくだけで、楽しいこと嬉しいこと・・・たまに辛いこともありますが、こんなご褒美もいただけます。
私は幸せだなあ。
新しいお嫁さんになるヒルダ様とも、今日は色んな話をしました。
勇者様との出会い、シャロット様、エリザ様、アリエルさん、エスメラルダ様、ライヤさん、メイヤさん、デュラ子さん、ケイ様、素敵な人達との出会いに冒険そして戦い。
私ばっかり話してしまいました。
つい、嬉しくて今日は本当に素敵な日です。
明日は私の誕生日なのですが、一日早いバースデーを祝っていただいているような、本当にいい日だな。
ヒルダ様が手招きをしています。
私は、すっと椅子から立ち上がりました。
隣の大好きな勇者様に、
「私、明日で15歳です」
「えっ?」
「あと、3年ですよ」
「・・・うん」
勇者様は照れ臭そうに笑ってくれました。ふふふ。
私がヒルダ様の元に行くと、ゆっくりと私の髪を撫でてくれました。
優しいお方ですヒルダ様は。
「そうだ。リンゴ食べるかいー」
「・・・はい」
お腹いっぱいで、あんまり食べたくはなかったのですが、せっかくヒルダ様が言われているから、せっかくだから食べましょう。
「・・・えっ!」
私は・・・私は闇の中に消えました。
「メロンたん!」
ペンダントが光って、うつろな目になったメロンたんが、ヒルダのすすめるリンゴを食べた。
次の瞬間、俺のメロンたんが倒れた。
俺は無我夢中で駆け寄って、彼女を抱きしめる。
・・・嘘だろ。
息をしていない。
「ほほほほほほ」
ヒルダの高笑いが俺の耳に、ぐにゃりぐにゃりと響く。
「コォジィよ、まんまと騙されおったな。これで、お前も終いだ」
ええええええ・・・意味が分からない。
「ここで、英雄伝説も終焉だ」
「・・・許さん・・・!!」
俺は憎しみに身を委ねる。
「・・・許さん・・・許さん・・・許さん・・・あれっ」
力が出ない・・・ん・・・もう・・・いいか。
俺は諦めた。
メロンたんがいない世界なんて・・・いても仕方ない。
その時、大きな天窓が打ち破られた。
ガラスの破片が3人の上に降り注ぐ。
窓の外に浮かぶ満月に重なり現れたのは、聖剣デュランダルとケイ。
ケイは巨大斬馬刀に変形したデュランダルの上に乗り、広間に降り立った。
「コォジィ殿、ポラン!」
「主!・・・ポラン・・・これは」
ポランは倒れ、抱いている康治の髪は真っ白となり生気がない。
デュラ子は息を飲み、ゆっくりと憤りの溜息を吐く。
「汝、許すまじ」
デュラ子はヒルダを睨みつける。
ちらり、視線を二人へと移す。
「・・・が」
「承知っ!」
ケイは三叉の槍で連撃を繰り出す。
「煌流星槍っ!」
連撃がヒルダに強襲する。
彼女は両手で魔法壁を作り、ケイの攻撃を防ぐ。
「者どもっ!出あえっ!」
ヒルダは叫ぶ。
その間、ケイは素早く二人に駆け寄ると、右手で康治の首襟を掴み引っ張り、左手でポランを抱きかかえ、斬馬刀デュランダルに乗る。
デュランダルは猛スピードで天窓を越え、夜の闇に吸い込まれた。
「・・・まあ、良い」
ヒルダは、割れた窓先の闇空を見つめながら妖艶な笑みを浮かべる。
デュランダルは3人を乗せ、闇夜を切り裂き飛び続ける。
呆然とする康治。
かける言葉がでないケイ。
そして・・・物言わぬポラン。
物語は・・・。
次は東の暗黒大陸編です。
ポランの運命やいかに、出来るだけ早くに復帰させたいと思っていますが・・・。
構想未定(堂々)!
では、引き続き、よろしくお願いいたします。




