私は幸せなハーレムエンドをむかえてみせるんだから~!!
家に戻ってきた私たちは、おみやげのプリンをみんなで食べた。
その後、私の部屋でゲームをしている。
私とチョコとバニラにステラで4人いるのでパーティーゲームをすることにした。
普段一人でゲームするのであまり種類はないけどね。
でもこのゲームなら一本でたくさんミニゲームが入ってるし十分でしょう。
ということで、とあるすごろく系のゲームをすることにした。
まぁ、私が持っているゲームなので、もちろんかわいい女の子が出てくるわけですけどね。
プレイヤーがそれぞれヒロインを選び、すごろくを進めながら仲を深めていくゲームです。
ゲーム終了時点でヒロインの好感度が一番高いプレイヤーが勝ち。
「こんなゲームあるんですね~」
「初めて見たぞ」
バニラとチョコも珍しいゲームに興味がわいてるみたいだ。
さっそくゲームをスタートして、ヒロインを選択する。
私は即決で大和撫子系キャラを、チョコは天真爛漫なキャラを選択。
バニラはちょっと迷ってのほほんとしたキャラ、ステラは内気なキャラを選んだ。
もしかしてそれがみんなの好みだったり?
最初はチョコの番から。
1~8のルーレットが回り、ボタンを押してそれが止まる。
5が出て、5マス進む。
止まったマスで簡単なデートイベントが発生し、好感度が上昇。
バニラとステラもそれぞれ順調に進んでいく。
一方私はいきなり1を出してしまう。
しかしそのマスではラッキーイベントが発生し、一気に好感度が上昇。
これは幸先の良いスタートを切れたと思った。
その後もみんな順調に進み、イベントやミニゲームをこなす。
しかし、それを合わせても私の初回に得た好感度より少ない。
「あのラッキーイベント、バランス悪すぎじゃないですか~?」
「なんかそうだよね」
バニラが言うように、みんなかなりのペースで好感度が上がってるのに全然追いつかない。
私はあれから全然上がってないけど、それでもまだ余裕があるくらいだ。
しかし、それもここまでだった。
今回私が止まったマスが最初と同じラッキーイベントのマスだった。
何が起きるのかな? と楽しみにしていると、かわいい女の子が現れた。
なぜかヒロインじゃない女の子とのイベントが進む。
そしてミニゲームをクリアすると、その女の子がヒロインに追加された。
「あれ? ヒロインが二人になった」
「あ~、マスターが浮気してるぞ~!」
「お姉ちゃんはゲームでもお姉ちゃんですね!」
いやいや、なにそれ、私がいつ浮気したの?
「浮気じゃないよ、私はいつだって本気だよ」
「お姉様……」
ステラがジト目をむけてあきれ顔をしている。
あん、その目がたまらないよ!
そんなアホなことを思いながらゲームを続ける。
みんなが順調にヒロインとの好感度を増やしていく。
それに対し、私は順調にヒロインの数を増やしていった。
いやいやちょっとなにこれおかしいよね!?
「……」
「……」
「あのみなさん、そんな目で見るのやめてもらえませんか……」
私が望んでこんなことになってるわけじゃないから!
進むのはルーレットだから!
「告白を受けない選択肢あるじゃないですか……」
「うぐっ」
た、確かにステラの言うように断れるようにはなってる。
でもその選択肢がひどい。
『はい』という選択肢と、もう片方の二択なんだけどね。
それが『君なんか眼中にない』とか『何勘違いしちゃってるの? ププ』とか。
とてもじゃないけど私には選べないよ……。
「私はこの子たちを傷つけたくはないんだ」
ちょっとカッコつけたポーズを添えて言ってみる。
冗談交じりだったのに、なぜかステラには「かっこいいです……」と高評価。
気を取り直しゲームを再開する。
みんなが私の最初に得た好感度を追い越していき、ついに最下位になってしまった。
私のほうは相変わらずヒロインの数を増やして、なんと14人になった。
いや~、まずいよねこれ……。
どうしようね……。
そのままゲームを進め、ついにステラがゴールにたどり着く。
続いてチョコ、そしてバニラがゴールする。
順位で好感度がプラスされるようだ。
みんなから少し遅れて私もゴールへ。
そして結果発表とエンディングイベントが始まる。
順位ではなく好感度のポイントでイベントが変わるみたいだね。
ステラとバニラのエンディングは結婚、チョコは恋人だった。
そしてダントツ最下位の私の番。
「これはハーレムエンドかな?」
「そんなわけないでしょ……」
かすかな希望を口に出してみたら、バニラに即否定された。。
わかってますぅ~。
でもどんなエンディングになるんだろう?
画面に私が最初に選んだヒロインの女の子が現れる。
そういえばしばらく見てなかったなぁ……。
ひどい話である。
エンディングイベントが始まる。
そこには他のヒロインがみんな楽しそうに話している姿が。
「え? まさかのハッピーエンドですか?」
バニラがそれを見て驚いている。
もしかしてこのゲームの隠しエンディングでも引き当てたのかな?
なんて思ってたら、いきなり画面が真っ暗になる。
そして次の絵で恐るべきことが。
赤い包丁を持ったメインヒロインがぽつんと真ん中に立っていて、あたりは全面モザイク。
まぁ、何が起きたかは検討はつきますが……。
そして血まみれのメインヒロインはこちらに語りかけてくる。
『これしか思いつかなかったの……』
え……、もっと穏便な方法なかったの……?
『一緒に死んで、異世界に転生して結ばれましょう?』
画面が真っ赤になる。
来世じゃなくて異世界へ転生なんだ……。
時代は変わったね~。
画面は切り替わり、陽気な音楽とともに結果発表画面に。
「いや~、楽しかったなぁ~!」
チョコが伸びをしながら、笑顔で言った。
チョコのそういうところ好きだなぁ。
「なんかお姉ちゃんの未来を垣間見た気がします」
「バニラ、なんてことを……」
怖いこと言わないでよね。
「さて一位はステラだね、どう? 楽しかった?」
「はい、とても……」
ステラがふんわりと笑う。
よかった、楽しんでもらえたみたいで。
「そんなステラに、最下位のお姉ちゃんにお願いを一つ聞いてもらえる権利をプレゼントです!」
「そんな勝手に……、ステラ何かある? できることならいいよ」
ステラは少し悩んでから、ぼそっとお願いを口にした。
「今夜一緒に寝たいです」
「あはは、それくらいならいいよ」
「なっ、そんなのずるいです!」
ちょっとバニラ、言い出しっぺが邪魔してどうするの。
しかもチョコとバニラは勝手に横で寝てるじゃない。
「はは、なんかさっきのゲームみたいだなぁ」
「チョコ! 何怖いこと言ってるの!?」
あんな未来はお断りだよ!
「私は幸せなハーレムエンドをむかえてみせるんだから~!!」




