表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/70

「"奇跡の会"四天王マクベス」

 ルリさんを馬車の中に残し降りるとフェリーヌさんとルミさんにも相手が【奇術師】かもしれないと伝える。


「ええ~【奇術師】ってそんなこともでき……ても不思議じゃないねシャン君を見ると」

「も、もし仮に【奇術師】だったとしてシャン君は良いの? 」


 ルミさんが尋ねる。確かに【奇術師】の立場を改善しようとして来たオレにとっては厳しい事実だ。でもこうなった以上はやるしかない。敵として出会った時は殺し合うしかないというのはマクベスも口にしていたのだから……


「やるしかありませんね、それで対策ですが……」

「もう対策なんて考えたの? シャン君凄いね~」

「え、ええまあその……上手くいくかは分かりませんが、こちらです」


 とルリさんから借りた手鏡を取り出す。


「これをそれとなく勲章のようにベルトに着けてください、それから敵と出会ったら常に剣も相手の姿を反射する角度を維持するようにしてください」

「そ、そんな簡単な対策で良いの? シャン君」

「多分ですが、動作か何かで身体を操ってくると思うのです。だからそれを鏡で反射してしまえば」

「相手にそのまま返せるってことね、でも奇術で操ってくるとしても音を使うとかの可能性はないの? 」

「音か……自分もかかるからないんじゃないとは思うけど、一応敵が耳栓をしているようだったら塞ぐ感じで用心のために足が速いルミさんに着けておいてもらうか。オレので済みませんがオレ達がおかしかったら連れる人だけ連れてギルドまで馬車で逃げてください」

「わ、わかったわ」


 ルミさんはそう言うと早速耳栓を付ける。その横で不満げなセレン。


「どうしてルミなのよ」

「セレンはリーダーなんだから指揮する必要があるだろ」

「それもそうね! 」


 と何やら納得した様子のセレン。


「でもこれだとルミがセレンの指示を聞けないんじゃないかな? 」

「まあ耳が無さそうならば即外せばいいんじゃない? こういうジェスチャーとかで」


 とセレンが自分の耳を指さす仕草をする。


「それもそうだね~それでこれからどうするの? 」

「突入しましょう、操れるとしたら向こうはAランクの剣士に驚いて街の中に逃げることを想定していたと思いますから」


 ……というかオレだったらそうするってだけだけど。


「ちなみに【奇術師】じゃなかったらどうするのよ」

「そんなの簡単だろ、こっちにはSランクの剣士が三人もいるんだから」

「それもそうね、それじゃあ突入しましょう! 」


 セレンの言葉を合図にオレ達は街へと移動する。街は本当にひっそりとしていたがしばらく進むと驚くことに一列に並んだ人々が道を埋め尽くしておりその中央には見知った顔があった。マクベスだ。


「馬車が見えてから随分と到着が遅いと思ったらSランクの戦士でしたか、ようこそ私の王国へ。これからは素晴らしい兵士として使ってあげますよ」

「貴方の下で働く? ふざけないで」


 セレンが剣を抜きオレが言った通りマクベスの顔が反射されるような角度で構える。

 ……ダメだセレン、マクベスにその作戦は通用しない。

 オレが心で嘆くや否や彼はクスリと笑う。


「なるほど反射でねえ、既に対策済みでしたか」

「どうして、心が読めるの! ? 」

「フフフフ図星のようですねえ」

「あ、貴方こそ語るに落ちたわね。対策済みと言うことは貴方は視界を利用して人を操るということよ」


 負けじとセレンが言い返す。


「まあ、それはそうですがそれならこの人数を使って貴方方を抵抗出来ないようにしてからすれば良い訳で……おや、シャンさんではありませんか」

「シャン君この人知ってるの? 」

「ええまあ」

「なるほどなるほど、お仲間とはこの方達でしたか……如何致します? ”奇跡の会”に加わりませんか? 」

「断る、こんな大きな事件やらかしたせいでオレが積み上げようとしてた【奇術師】の地位向上作戦も効果が大幅減で良い迷惑だ」

「でしたら我々と共に支配をすれば良いではないですか」


 ……正直魅力的な提案だと思う、ここでSランクのオレ達が帰らなければギルドは大混乱の中誰かを寄越す、それに対してSランク三人を加えた大群で迎え撃つことが出来る。でも今のオレには仲間がいる、それは三人だけではない、オレを信じてくれたシャノルマーニュ十二勇将の皆、彼等のためにもここで裏切ることは出来ない。


「なるほど、シャノルマーニャ十二勇将が貴方を信じたというのは分かりませんが概ね貴方の主張は分かりました。ですがそれは彼女達を私が操ったら解決する問題ではないのですか? 」

「それは違う」

「どう違うのですか? 」

「人と言うのは心がある。だから良いんだ、オレだってこの前フェリーヌさんが眠っている時にこっそり触った時はドキドキした。でもそれは心があるからだ、起きないかどうかのハラハラがあったからだ! 仮にあの時フェリーヌさんが操られている状態だったらオレはそんなことは多分きっと恐らくしなかっただろう! 心のない者達で王国を作り上げても寂しいだけなんだ! 」

「…………まあ言いたいことは分かりました、ならば行きなさい皆さん! 」


 マクベスの合図に合わせて背後にいる大勢の軍団ばかりかあちこちの建物から出て来た人々が襲い掛かってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ