エウラとカムイの訓練
本編が四十万字以上のものを投稿してあります。そちらを読んでもらえると嬉しいです。
踏み込んで木剣を横薙ぎにするーーそうすると、突きが首元に飛んできて致命傷を受ける。なので突きや、その他の攻撃を仕掛けた後で、踏み込みながらの薙ぎ払いを打ち込む。
するとエウラは身を屈めながら剣を斜めに構え、上方向へ剣を受け流すと同時に踏み込んで、俺の胴を薙ぎ払った。革鎧を叩く音が庭に響く。
「いいですよ、相手の反撃を喰らわないように本命の前に鋭い攻撃を絡めるのは。ただしその事を悟られぬように、流れの中で自然と連携が組み込める様になるまで練習しましょう」
エウラの行動は素早い。剣を構えている時は、ほとんどすり足で動かないが、静から動への切り替わりが速く、一瞬で間合いを詰めてくる高い身体能力を持っている。
「カムイは上体と足腰の動きがちぐはぐになる時がある。足運びが、剣を構える動き出しの一つだという事を忘れないように」
剣を構える時に、すでに理想的な足の位置取りをし、次に動く事も想定しておくのだとエウラは言うが、簡単な事では無い。
その後も何度もエウラと稽古を重ねる。ーー彼女の、剣を受け流して反撃する技を何としても吸収し、使いこなすようになってみせる。そう思い、何度も違った角度から攻撃を打ち込んでみるが、それらを悉く受け流され、その攻撃の隙を狙って正確に反撃をしてくる。
目も良くないと出来ない技だ。
彼女の攻撃に合わせて剣で受け流そうとしても、そう簡単にはいかない。ぼこぼこになるまで打たれて、何とか動きを予測する事が感覚的に分かる様になってきた。
「結構頑張るじゃん」
腕や脇腹に出来た痣に軟膏を塗っていると、ヴィナーが話し掛けてくる。
「おう、最近はもっと強くなれるんじゃないかと考えるようになってきて、自分でも驚いているくらいだ」
「その割には痣だらけだけどね」
「うっせぇ」
薬を塗り終わると、今度は重い刃引きの剣を手にして、足運びや立ち回りの訓練をする。今日エウラが見せた足運びを何度も何度も繰り返し行って、身体に染み込ませるみたいに教え込ませる。
稽古後の研究が大事だと団長も言っていた。考える事も強くなるのに重要な要素なのだと。旅団に入る前は、ただがむしゃらに剣を振っていただけだったが、今ではどう動けばいいか、反撃を受けないようにーーあるいは反撃する場合は、どう動くといいかを考えるようになった。
たまに団長とも実戦訓練をするが、片脚が義足の団長でも歩幅の短い足の運びで、攻撃や防御、反撃の構えを使い分けている事に気づいた。
「片脚が使えない俺に打ち負かされているようじゃ、まだまだだぞ」
団長はそう言うが、エウラでさえ団長相手に勝率は負けているはずだ。
けどいつかは、エウラにも団長にも認められるような剣士になりたい。そう思いながら今度はレンと実戦訓練を始める。ーーレンも最近は姉と組まなくても一人で戦えるくらい強くなった。
「俺も負けてられないな」
そう言うと木剣を構えてレンと訓練をはじめる。




