旅団員の日常 ーウリス編ー
今日は冒険に出ない日。午前中は部屋や通路、階段の掃除を行うよう言われている。簡単に埃を集めて捨てるだけで良いと言われた。頻繁に掃除する事で汚れる事が少なくなる為だと、リーファさんが言っていた。
今日は昼食を旅団の仲間と取らずに、旅団に入っていない同年代の知り合いと食べる事にした。彼女らは私と同じ狩人で、管理局の出す食用肉の確保の任務を中心に、転移門先で数名の若者とパーティを組んで活動している。
「え、ウリスは旅団に入ったんだ。なんてとこ?」
私が「黒き錬金鍛冶の旅団」だと言うと、二人の狩人仲間は「そんな旅団聞いた事が無い」と互いに顔を見合わせている。
「最近できたばかりの旅団だよ、私の仲間達と一緒に入ったの。その旅団の旅団長とは知り合いだったから」
私の言葉に「へぇーー」と曖昧な相槌を打ち、「で、どうなの?」と尋ねてくる。
「いい旅団だよ、旅団長は優しいし。防具も作ってくれたしねーー少々人使いが荒いけど」
「へぇ、防具が支給されるなんて若手にはありがたいもんね。いいところじゃん」
「でも人使いが荒いってウリスが言うくらいだから、きっつい所なんじゃない?」
などと彼女らは話し合う。
二人は変わり無くやっているようだ。彼女らは冒険よりも動物を狩る事に特化した本来の意味での狩人で、旅団には入らずに管理局の任務をこなしながら、管理局専属の狩人になろうと考えているらしい。確かにそういう部署があるが、あまり大きな部署でも無いし、熊や狼の駆除などを中心に活動するような組織らしい。
主に「鉱山と荒野の大地」で活動していると聞く。確かにあそこなら危険な生き物と言えば熊と狼だろう。
そんな話しをしていると料理が運ばれてきた。この店は管理局と提携している料理屋で、庶民的な価格と味の店だ。このお店を開いたおじさんとおばさんも、前は旅団に入っていた冒険者だったらしく、冒険者志望の若者に旅団の情報などを話したり、若者同士の情報をやり取りする場所としてこの店があるのだと言っていた。
私は卵と塩漬け肉のサンドイッチと薫製肉のスープ。二人はトマトソースの麺にチーズを乗せた物を注文していた。
料理を食べながらふと、彼女らを「黒き錬金鍛冶の旅団」に誘う方がいいのかと考えたが、それは止めておいた方が良さそうだ。彼女らに、冒険に出て魔獣や亜人種と戦闘する覚悟は無いだろう。そんな者を旅団に入れても団長達が困るだけだ。
旅団長も、技術もそうだが何より、覚悟の無い者を旅団に入れる事はできない、そう言っていた。危険な生き物や魔物との戦いを想定しての冒険は、彼女ら生粋の狩人には荷が重い。私も弓の技術だけでは今後は駄目だろうと考えている。
そのうち魔法も覚えなくてはーーお金がいるけれど。
私は狩人である前に冒険者だと思いながら生活してきた。いざとなったら短刀を使って接近戦を行う訓練もした。二人の友人ーーヴィナーとカムイーーと共に旅団にも入った。私達はもっと危険な場所へも冒険に出るようになるだろう、そうなっても私達は大丈夫。
覚悟なら私達は、ずっと前から持っているから。




