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第29話

俺は美しい肢体を抱きとめた。

身体が弱っているのか足元が覚束ない。


「これを着ろ。」


上着を上から被せる。


「うん。」


彼女の状態を見る限る早く休ませた方がいいと判断した。


「早く戻るか、あ、名前聞いて良いか?」

「ユハナ」

「ユハナかいい名前だ。行くぞ!」


俺がそう言ってユハナを背負う。


「待って」

「ん?どうした?」

「あれ」


ユハナが俺をわざわざ呼び出して指を指したものは。


「水晶?」

「ううん! 違う。魔力石。」


綺麗な丸い石が落ちていた。


「あれに私の魔力が備蓄されてる」

「ああ、それをお前に入れなおせばいいのか?」

「違う」


ユハナが首を振ったのが分かる。


「あれは、もう私の元には戻れない」

「じゃあどうするんだ?」

「あなたが貰って」

「俺が? いいのか?」

「うん、あのままにしても朽ち果てるだけ」

「朽ち果てる? 俺が持ってても朽ち果てるんじゃないのか?」

「うん。だからあなたが私の魔力を喰らって」

「魔力を喰らう?」


鬼の力は取り込んできたが、他人の魔力を取り込んだことはない。


「そう、あなたならできる……気がする?」

「なんで疑問形なんだよ!」

「あなたを……信じてる?」

「だから! はぁもういい。取り合えず持って帰ってから考えよう」


俺は先送りにして後で考えればいいやと思った。


「だめ!」

「ん?どうしてだ?」

「私から離れたからあの石はもうすぐ壊れて魔力が霧散してしまう」

「まじか……」


どうやら時間がないようだ。

鬼の力も取り込めたから魔力もいけるのか?

取り合えずやってみた方がよさそうだ。


俺は魔力石を手に取り鬼の力を吸い取る時と同じように吸ってみる。


「お! いけそうだな!」

「え!」

「なんでビックリしてんだよ! お前がやれっていったんだろ?」

「う、うん。だけど普通人の魔力を吸うと酷い激痛が襲うはず。最悪廃人になる」

「おい! 何てこと俺にやらせてんだ!」


時すでに遅く、魔力を吸いきってしまった。


「あなた何ともない?」

「羅栖墓だ!」

「ん?」

「俺の名前! 教えてなかっただろ?」

「羅栖墓……分かった」


ユハナが小さく微笑んだ。


「それに俺は絶好調だ!」

「そう、私眠たいから寝るね!」

「おい! ってまあいっか」


ただえさえずっと捕まっていたのだ休ませてやろう。

ユハナは小さな瞼を閉じた。


「戻るか」


俺はボス部屋から出た。

ここから自力で降りるのは面倒だなと思っていたら、なんと外に先生が待っていた。


「先生! まっててくれたんですか?」

「羅栖墓君!」


先生が抱き着いてきた。


「心配したんだから!」

「心配かけてすみません。ちょっとボス部屋の奥の方に女の子がいまして保護してきました」

「へ?」


先生が間抜けな顔で俺を見ていた。

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