僕の考えた最強のプライバシーポリシー
欧州では「欧州の新しい一般データ保護規則 (GDPR)」が発表されている。
この規則は、欧州地域でのプライバシーの扱いに関するものである。
本来、これらに準拠する必要は日本ではない。
だが、無いとはいえ準拠しない場合はコンプライアンス的に良くないものとされ、中国や韓国などの世界から準拠していない企業を叩く勢力が湧いて出てくることは想像に難くなかった。
そのため、G社は、「欧州の新しい一般データ保護規則 (GDPR)」への準拠に向け真剣に取組む姿勢を表明した。
――するとどうなるだろう。
G社は、G社から提供するアプリケーションやライブラリに対して、公表するにあたりプライバシーを公表することにした。
プライバシーポリシーは、サービスをご利用いただく際にユーザーの個人情報がどのように取り扱われるかについて説明するものです。
――逆らうやつはBANである。
実際、プライバシーポリシーを制定せず、放置したおかげで、削除されたアプリケーションは数知れず、ある。
そのため、業界ではその手の話題に敏感になっていた。
そんな中、香川県でネット・ゲーム依存症対策条例が可決、成立される。
つまり、香川県では子どもたちは1日1時間しかゲームができない訳だ。
いまだG社からは言われてはいないが、行政等の圧力によって、プライバシーポリシーに香川県に対するなんらかの対策を入れる必要があるのは、時間の問題であろうと、各社は考えるのであった。
そうでなければ、コンプライアンス的に問題であると、世界中から叩かれることになるのは火を見るよりも明らかだ。なんとしてもカントリーリスクは避ける必要がある。
だが、どうすれば良いのだろうか。
書くとしたらプライバシーポリシーの最後に注記だろうか。
「2020年4月1日、香川県ネット・ゲーム依存症防止法案が施行されました。本ゲームアプリでは個人情報保護の観点から、地域情報を集めておりません。したがって、どの地域でゲームが行われているか特定できないため、カントリーリスクを避けるという観点からすべてゲームは香川県で行われているとみなします」
などと書くのが良いだろうか?
だが、これだと地域情報を集めているようなゲームでは使うことはできないだろう。
だとすればこうなるのだろうか。
「2020年4月1日、香川県ネット・ゲーム依存症防止法案が施行されました。本ゲームアプリではゲームの更新情報を配布するため、A社のクラウドサービスを利用しておりますが、A社は不幸にもその稼働場所について公開しておりません。そのため、カントリーリスクを避けるという観点から稼働場所は香川県で行われているとみなします。そのため、ゲームは香川で行われているとみなします」
これであれば、いかにゲームでGPS情報などを収集していても万能に使えるプライバシーポリシーとなることだろう。
すばらしい。地域でコ〇キング君臨し放題じゃないか。
あとは、成年/未成年の区別か。
「2020年4月1日、香川県ネット・ゲーム依存症防止法案が施行されました。本ゲームアプリではゲームの更新情報を配布するため、A社のクラウドサービスを利用しておりますが、A社は不幸にもその稼働場所について公開しておりません。そのため、カントリーリスクを避けるという観点から稼働場所は香川県で行われているとみなします。そのため、ゲームは香川で行われているとみなします。また、本ゲームアプリではクレジットカードでの決済を行っておりません。同様に個人情報保護音の観点から年齢情報を集めておりません。そのため、カントリーリスクを避けるため、ユーザーは全て未成年であるものと見なします」
これで完璧だろう。
ゲームの世界にやって来た日本人はすべて1日1時間以上遊ぶことができなくなくなる。
しかし、クレジットカード決済があったとしたらこの手も使えなくなる。課金がなければゲームとして存続できないのだから、これも難しいといわざるを得ない。
ならば、これでどうだろうか。
「2020年4月1日、香川県ネット・ゲーム依存症防止法案が施行されました。本ゲームアプリではゲームの更新情報を配布するため、A社のクラウドサービスを利用しておりますが、A社は不幸にもその稼働場所について公開しておりません。そのため、カントリーリスクを避けるという観点から稼働場所は香川県で行われているとみなします。そのため、ゲームは香川で行われているとみなします。また、本ゲームアプリのレーティングは全年齢対象でゲームの主人公は未成年です」
すばらしい。
これでアダルトな薄い本にされることも回避できるだろう。
そうだ。主人公の名前はサト〇でどうだろう。
完璧ではないのだろうか。
こうして、香川県の条例に対応したプライバシーポリシーは全国各地へと広がっていった。
世界は、香川県のせいによりディストピアへと黒く塗り替えられていくのだ――




