Side異世界:条例成立後、香川県民が異世界転生すると、香川県民はこうなる(赤子編)
異世界転移ではなく、異世界転生というと子どもに日本人の魂に宿るというのが基本というものだろう。
香川県民のCは、気づくと赤子になっていた。
赤子であるということは分かる。身体が小さいからだ。
どうやらC――ここでは香川と呼ぶことにする――は、異世界転生したようだ。
若々しい少女が香川をあやしてくれている。
彼女が母親なのだろうか。
「あはは。カガーたん。おかーたんですよー。よしよしー」
そんなことを言ってあやしてくれているのだからきっと母親だろう。
そんな彼女はとても美人だ。
香川も将来、きっと美人になるだろうと疑わない。
香川は手を下腹部に当ててみる。あぁ、きっと美人になるだろう。香川は♀であった。
ここが異世界だということは理解した。
母親の語る言葉が、日本語ではないからだ。
なのに理解ができる。
そこで香川はトラックに轢かれたことを唐突に思い出した。
(やはりトラックか――)
プロジェクトマネージャーは技術者がトラックに轢かれることを常に想定しなければならない。
トラックに轢かれることはよくあることなのだ。
業界では、退職や異動などの隠語であるがリアルに轢かれることもあるまれにはある。
(あぁ、彼らはどうしていることだろうか――)
キーパーソンであった香川が地元からいなくなったら、会社は酷く混乱することだろう。潰れるかもしれない。
だが、それもどうでも良いことだ。
いまは赤子であり、ここは異世界である。
もう地元がどうなろうと関係のない話だ。
香川は目を瞑る。子どもは寝るもだろう。
子どもは寝て育つ。
香川はネタ。
「あなた! カガーたんが! カガーたんが!」
その香川は血を吹いて死んでいた。
生後、およそ1時間が経過していた――




