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それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第八章 アソッド編
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第六十九話 聞き込み

 店内の中央にレジがあり、その周囲には五つに分かれたブースが設置されていた。

 レジを中心に四分割されたブースの端にテルアカのブースが設置されていると言った方が正確なのかもしれない。

 申し訳程度に窓際へ設置されたテルアカグッズ専用コーナーは、他の五大錬金術師のブースと比較すると、圧倒的に狭い。

 実際クルスが店内を一周した結果、テルアカのブースのみ人が一人もいなかった。このことからクルスは、テルアカが五大錬金術師の中で一番人気がないということを再認識した。

 店内を一周し、間取りの確認を済ませたクルスは、レジの前に立つ。

 レジには一回一千ウロボロスで五枚の限定イラスト五大錬金術師ブロマイドがゲットできるという内容の、ガチャが設置されていた。

 あの少女は、このガチャに五千ウロボロスという大金を投下したのだろうと、クルスは思う。

 それからクルスは、当初の目的である聞き込みを開始する。

 

 クルスが最初に接触したのは、アルカナのブースの棚の前で腕を組み悩んでいる男だった。

「すみません。少しいいですか? 」

 唐突に見知らぬ女が声を掛けてきたため、男は驚き声を出す。

「何だい」

「アルカナさんを最近どこかで見たなんてことはありませんよね」

「行方不明のアルカナちゃんの居所を突き止めようとしているのか」

 男が聞き返すとクルスは首を縦に振った。

「はい。僕はこう見えてアルカナさんのファンなんです。アルカナさんは一か月くらい前から行方不明ですよね。それでファンとして気になっているんですよ。どこかに隠れ家みたいな場所があって、熱気が冷めるまで雲隠れしているのではないかって思うのですが」

 クルスは咄嗟に嘘を吐きながら事情を説明した。男はクルスの言葉に騙され、両手を一回叩く。

「そうか。ファンとして一度でいいから本物に会ってみたいよな。だったら面白い情報があるぜ。シルフにあるカフェでアルカナちゃんに似ている店員が働いているらしい」

「それは本当ですか? 」

「本人かは分からないが、友達の証言だ。間違いないと思う」

「そうですか。そのカフェの名前は分かりますか? 」

「悪いが店名は忘れたよ」

「ありがとうございます。その証言だけでも収穫がありました」

 クルスは男に頭を下げ、密にガッツポーズを取る。

 それからクルスは店内にいる五大錬金術師ファンたちに聞き込みを行う。だが有力な証言を得ることができなかった。


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