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それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第八章 アソッド編
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第六十七話 遭遇

「先生。一ついいですか。この街に向かったブラフマさんを探すのが第一目的ですよね。どうやってこの街からブラフマさんを探すつもりですか。ブラフマさんはこの街を去っている可能性もあり得ますよね」

 クルスが歩きながらアルケミナに尋ねる。

「問題はブラフマがこの街を訪れた理由。それは、この街で狩りを楽しむため。この街の近辺で狩りができる場所は数多いけれど、最初に立ち寄るのは商店街。そこで狩りに必要な槌を買うはず」

「先生。その推理は飛躍しすぎではありませんか。ブラフマさんの絶対的能力は先生の物と同じですよね。思い浮かべた物を瞬時に錬成する能力。それを使ったら、態々槌を買わなくても狩りができると思いますが」

「目的はブラフマだけではない。この街の商店街には、五大錬金術師のブロマイドを取り扱ったファンショップがある。そこに行けばアルカナとテルアカの情報が手に入るかもしれない。商店街で買い物がしたい」

「先生。商店街での買い物が目的なのではありませんか」

 クルスが立ち止まり、隣にいるアルケミナの顔を見る。

「情報収集と買い物。一石二鳥な行動だと思う。私は買い物をするから、クルスはファンショップで聞き込みして」

「えっと。先生。それはどういうことですか」

「そのままの意味。私はアルカナと違ってああいう場所が苦手だから。あそこに行ったら数時間は足止めされる。そういう無駄な時間を過ごすくらいなら行かない方がマシ。クルスは顔バレしていないから、大丈夫」

 アルケミナの話を聞き、クルスが目を点にする。

「先生は幼児化していますよね。だからファンは、アルケミナ・エリクシナ本人だとは思わないのではありませんか。この一か月と一週間、アルケアで旅を続けてきましたが、誰も先生がアルケミナ・エリクシナ本人だとは疑わなかったようですし」

「念のため。ファンショップに通うような熱狂的なファンだったら、この姿を見て一発でアルケミナ・エリクシナ本人ではないかと疑う。そうなったら足止めされる。私はそんな無駄な時間を過ごしたくないから、クルスに情報収集を任せる」

「分かりました。僕はファンショップに行って情報収集を行います。その間先生は、商店街で買い物してください」


 二人が商店街へと向かうその道中、二人が交差点で立ち止まった。その交差点を横切ったのは、見覚えのある二人の男である。

 前髪を七三分けにした高身長の男と、アフロヘアの髪型に黒縁眼鏡をかけた男。

 この二人はラプラス・ヘアとその助手だった。その二人と共に黒いローブを着た数人が歩いている。

 その集団は、アルケミナとクルスの存在に気が付いていない。

「ラプラス・ヘア。まさかこんな所で再会するなんて思わなかった」

 アルケミナが通り過ぎていくラプラスの顔を見つめながら小声で呟く。

 ラプラス・ヘア。彼は、突然変異の第一人者で、絶対的能力者たちを兵士に仕立て上げようとしている。

 ラプラスとアルケミナはサラマンダーにある彼の研究所で対峙したことがあった。

「先生。どうします。もしかしたらラプラスさんは、この街で戦争の訓練をするつもりなのかもしれません」

 クルスが交差点を横切るラプラスの顔を見ながらアルケミナに聞く。

「尾行して悪事の証拠を掴むより、情報収集の方が先」

「分かりました」

 そうして二人は、ラプラスたちを無視して商店街へと足を進めた。


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