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それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第六章 聖なる三角錐編
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第五十二話 脱落者

 一方エルフが脱落したことを知らないメランコリアは、エルフの行方を追うため、建物を走り回っている。

 廊下を走っているメランコリア。その前にマエストロが立ち塞がる。

「メランコリア。お前は誰かに負けたらしいな」

 マエストロはメランコリアの近くで浮いている仮面を指さす。その仮面には1という数字が刻み込まれていた。

「私の能力は、ルクシオンに破られた。欠陥品と言っても差し支えない。それでも戦うのかな」

「あたりまえだろう。俺はお前を殺したい」

 残忍な怪人。マエストロはメランコリアに歩み寄る。その距離が五十メートル以下になっても、マエストロの動きは止まらない。マエストロの狂気は、敵意を超えている。そのため、能力が通用しないのだろうとメランコリアは思った。

 絶対的能力を封じられたメランコリアは無力である。どんなものも切断する絶対的能力者の前では成す術もない。

 メランコリア槌を手にする。錬金術がメランコリアにとっての最後の希望だった。

 だが、その最後の希望は儚く消える。マエストロが手刀で槌を切断したのだから。

 一刀両断された槌は、メランコリアの近くで浮いている仮面に当たる。それにより、仮面が破壊され、メランコリアの体を白い光が包み込む。

「あたしがいうのも何だけど、マエストロは強い狂気を持っている。トールが認めただけのことがある」

 メランコリアはマエストロを褒めると、彼の前から姿を消した。これで現在建物の中にいるのは四人のみとなった。


 狭い部屋にルスがいる。ルスは錬金術で紅茶のセットを召喚し、優雅な午後の一時を楽しんでいた。

 この部屋の壁や床には無数の魔法陣が刻まれている。

 この部屋にラスが入ってくる。ルスはラスが部屋に侵入したにも関わらず、紅茶を淹れている。

「ルスお姉様。バトルロイヤルの最中ですよ。緊張感がありませんよ」

「ラス。何も分かっていない」

 ルスは床を指さす。床には無数の魔法陣が刻み込まれていた。

「僕の能力は錬金術がなければ使えません。相手の錬金術を利用するという手もあるけれど、相手は錬金術を使わない。だから下準備として魔法陣を書いているのですよ。ここは僕だけのエリア。戦いが嫌いという理由もあるんだけど」

「それと紅茶は関係ないように思えますが」

「だって寛いでいないと、罠じゃないかと疑われるでしょう。ラス。僕は分かっていますよ。ラスが最強だって」

「お姉様。僕は嬉しいですよ。決めました。僕もここに残ります。ここを最終決戦の舞台にしましょう」

「それは面白いですね。ところで生き残っている人数が分かりますか」

「エルフが脱落したから、残り五人でしょうか」

「いや。四人だ」

 マエストロが声を出し、ラスとルスがいる部屋に侵入する。

「誰かに勝ったのですか」

 ラスが聞くと、マエストロが歩み寄りながら答える。

「メランコリアに勝った。あいつが絶対的能力を使う前に瞬殺」

 マエストロの言葉を聞き、ラスが握り拳を作る。

「メランコリア。彼女の能力が知りたかったのですが残念です。よくもメランコリアを倒しましたね」

 ルスは怒りを露わにするラスを止める。

「ラス。落ち着いてください。メランコリアの能力は次の機会でいいでしょう」

「ルスお姉様。黙ってください。僕たちの能力で彼を脱落させましょう」


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